
ご相談をお伺いする中で、「私は遺言書を作った方がいいのでしょうか?」というご質問もよく受けますが、当事務所としてはご家族ができたら基本的に遺言書は作っておくべきだとアドバイスしております。
ご家族ができたら、万が一の際に残された家族が金銭的に困らないように生命保険に入られる方がほとんどですよね?
遺言書もそれと同じことで、万が一の時に、自分の資産をどうやって家族に残すのかをきちんと記録しておくことで、残されたご家族への負担を減らすことができます。
また、遺言書は年齢を重ねてから準備をするものだと思っておられる方も多いのですが、遺言書は一生に一度作るものではなく、ご自身の状況に応じて作り替えていくものですので、現時点でのご家族の人数や財産内容でまずは作成してみて、その後、5年~10年ごとに内容を見直し、必要に応じて書き換えていくのが一番効果的だと考えています。
遺言書を作成しないことにより想定されるリスク
令和2年度に亡くなった方で自筆証書遺言書を作成されていたのは約1.3%、法務省が過去に実施した調査では55歳以上の6割以上が「遺言書を作成する気はない」と回答しているなど、遺言書の普及率は低く、遺言書を作るということに必要性を感じている方はそこまで多くないのが現状です。残された家族にとって遺言書が無いと困ることとして、以下のようなことが挙げられます。
①財産の全容が分からない
ご本人しか知らない口座や財産がある場合、相続の手続きが難航します。
配偶者が先にお亡くなりになり、お子さんのみが相続人だったが両親の財産を全然把握しておらず、相続の手続きをどこまでやればいいのかも全く分からずお手上げ状態というケースもあります。
②実際の相続の手続きが大変
相続手続は、相続人全員で話し合いをして手続きを進めていくのが基本です。
ですので、銀行の口座1つを解約するにも、相続人全員の署名押印が必須となります。
相続人が複数いらっしゃり、それぞれが遠方にお住まいの場合などですと中々手続きがスムーズに進まないことも多く、困ってご相談に来られる方も多いです。
遺言書があり、かつ遺言執行者まで指定されていれば、遺言執行者の署名押印のみで相続手続きが進められるのですが、「遺言執行者」という存在自体も馴染みがないので、そこまで普及していないのが現状です。
③家族同士で揉める原因になりかねない
亡くなった方の意思が分からないとなると、どうしても揉め事になりやすいです。
うちは揉めないからといって遺言書を作っておられない方も多いかと思いますが、本人は大丈夫だと思っていても、いざお金の話になると予想に反して争いになることは本当に多いです。
遺言書作成の流れと種類
遺言書には、「自筆証書遺言」と、「公正証書遺言」があります。
それぞれメリット・デメリットがありますので、ご自身に適した方を選びましょう。
自筆証書遺言
自筆証書遺言とは任意の用紙に自筆で書いた遺言書のことで、故人の自宅などに保管することが多い傾向にあります。費用が発生しないため手軽に作成でき、自宅で保管することで好きな時に書き直すことができます。
デメリットとしては、不備があった場合に無効になってしまったり、せっかく遺言書として残していても筆跡が本人のものかどうかが争いになるケースや遺族が発生してくれなかったりして結局想定していた相続が行われないリスクがあります。
公正証書遺言
公正証書遺言は、生前に公証役場に出向き、公証人に口頭で遺言内容を伝え、内容を記載してもらうものです。遺言書の原本は公証役場が保管します。自筆証書遺言と比較して、公証役場が関与するため遺言の有効性が担保されるというメリットがありますが、公証役場から遺言の内容について十分なアドバイスをもらえなかったり、書き直しをしたくても手続きが面倒だったりというデメリットもあります。
当事務所でおすすめしている遺言書の作成方法
当事務所では、専門家に監修してもらった内容で自筆証書遺言を作成し、法務局にて保管するのが一番良いと考えます。
一昔前までは公正証書遺言が良いですというお話をさせて頂いていました。
自筆証書遺言も公正証書遺言も、いずれにしても効力は変わらないのですが、保管方法および検認の必要性という観点からは自筆よりも公正証書で遺言書を作成したほうが良かったためです。
ですが、2020年7月から法務局で自筆証書遺言の保管制度がスタートし、保管方法と遺言書の検認の観点からも公正証書遺言と比較して何もリスクが変わらなくなり、もちろん効力としても変わらないという状況になりました。
となると、わざわざ公正証書にして数万円の手数料を払う必要性はなく、
専門家と相談しながら遺言書の文案を作って、好きなタイミングで自筆で清書し、お近くの法務局に保管しに行く。
内容を変えたいなと思ったら、また専門家に内容を相談していつでも気軽に書換え。
といったように、自筆証書遺言の形が一番低コストで、十分な遺言書が作れると考えています。
※上記は必ずしも全員に当てはまるわけではありません。判断能力に疑義がありそうなど、自筆で遺言書を残すことにリスクがある場合は、例外的に公正証書遺言での作成をアドバイスするケースもあります。
遺言書の書くべき内容
一番気になられるであろう、「結局遺言書の内容って何を書けばいいんですか?」「書く内容ってどう決めたらいいですか?」というところについてですが、
遺言書の内容を決めるにあたっては、考えないといけないことがたくさんあります。
・遺産として何があるかを特定させる
・今の状態で相続税がどの程度かかりそうなのかを見ておかないといけない(相続税の試算)
・これから資産がどのように動いていきそうなのかを見ておかないといけない(資産構成の将来像)
・不動産を共有にすると処分で揉めかねないので共有にしないような決め方を
・遺留分が発生しないように/発生するとなった際に揉めないように配慮する
・生命保険をどう使うかを考えていく(非課税枠、相続税原資、遺留分原資)
といったように、一言で「遺言書を作る」といっても、裏では色々な事を考えています。
ですので、遺言書の内容をこうやって決めればいいよというのは本当にケースバイケースで、専門家が知識と経験に基づいて考えていくものになるので、「こう考えるんですよ」と共通した回答はできないんですね。
正直なところ専門家以外の方がこの辺を完璧に考えるというのは、なかなか厳しいですし、こういった所をきちんとフォローするために弁護士がいますので、そこはしっかり頼っていただきたいです。
当事務所では、法的な部分だけでなく、税金・登記の観点からも内容をご提案していますので、お一人お一人にとってベストな遺言書の内容を一緒に考えていきましょう。
Nexill&Partnersの遺言書作成サポートの特徴
遺言書作成を専門家に依頼する場合、「どの士業に相談すべき?」「誰に相談してももらうアドバイスは一緒?」などのお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。
結論として相談する先によってもらえるアドバイスの範囲・質は大きく異なります。
一般的な弁護士や行政書士の場合には、遺産分割における法的な有効性をベースとしたご提案に留まりますが、遺言書を作成するうえでは相続税や資産管理等も検討しながら進めることが重要になります。Nexill&Partnersでは、ヒアリングさせていただいたご本人の意思を最優先としながら、実現に向けて総合的な観点からサポートを行います。
①相続税も踏まえた幅広いアドバイス
当事務所の遺言書作成サポートでは、事前準備として相続税シミュレーションを行います。相続人と遺産情報をもとに二次相続まで考慮して、最も相続税が節税できる遺産の分割方法を検討いたします。また、今後の資産運用や相続において紛争を発生しにくい遺産分割方法をご提案させていただきます。質の高い遺言書作成のための事前準備を徹底して行うことが特徴です。
②ワンストップを生かした相続分野の豊富な対応実績
当事務所は複数士業で構成されるワンストップ事務所です。法律事務所として遺産分割をはじめとして「争族」問題を対応してきたからこそ、遺言書作成におけるポイントも熟知しています。またグループ内で税理士法人、司法書士法人を含めた5士業法人を運営しておりますので、相続税や相続登記に関するご相談まで幅広く対応が可能です。1つの窓口で完結できるという利点から、多くの方の相続に関するご相談に対応してまいりました。過去の対応実績を踏まえて、ひとりひとりにとって最適なご提案を日々行っております。
③遺言執行者の選任を含めた遺言書促進プランもご用意
遺言書で遺言執行者を選任しておくと、死後の相続手続きについて遺言執行者が一貫して行うことができるため、当事務所では遺言執行者への選任も含めた「遺言書促進プラン」をご用意しております。本プランをご活用いただく場合には、66,000円にて遺言書作成を行います。将来的に発生する遺言執行費用を積み立てていくことができる制度で、事前の備えとして多くの方にご利用をいただいております。
※「遺言書促進プラン」に関する詳細は別ページにてご紹介をしております。
遺言書作成の費用とサポート内容
当事務所にご依頼いただく場合の費用とサポート内容の詳細は下記となります。
弁護士費用
遺言書作成 | 198,000円 |
遺言書作成促進プランを使用される場合 | 66,000円~ |
サポート内容
遺産分割方法ヒアリング | ・家族関係や財産について ・遺産相続の考え方・価値観について ・遺言書作成の必要性・方針に関するアドバイス |
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事前準備 | ・法定相続人・遺産確定 ・相続税シミュレーション ・遺産分割方法決定 ・遺言執行者の選任 |
遺言書案の作成 | 【自筆証書遺言の場合】 ・内容について協議・文案作成 ・自書していただいた遺言書の弁護士チェック 【公正証書遺言の場合】 ・内容について協議・文案作成 ・公証役場とのやりとり代行 ・公証役場への弁護士による同行 |
遺言書保管 | 保管方法について確定 ・当事務所にて提携先金融機関の貸金庫での保管も対応可 |
遺言書作成に関するご相談はNexill&Partnersへ
遺言書作成については総合的な観点から作成をしておくことで、相続発生時のトラブルを防ぐだけではなく、相続税等への対処もしておくことができます。弁護士法人Nexill&Partnersでは、グループ一体となって総合的なアドバイスが可能です。初回相談は無料で対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
また当事務所では、「相続LOUNGE」の運営も行っております。「いきなり弁護士に相談するのは不安」という場合には、情報を収集する場としてもご活用できますので、ぜひお立ち寄りください。