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問題社員の異動・配置転換による法的リスクとは?正当性と注意点を労務に強い弁護士が徹底解説

2025.10.22

どの職場にも、周囲と軋轢を生んだり、業務遂行に支障をきたしたりするいわゆる「問題社員」の存在に悩む経営者・管理者は少なくありません。注意指導を重ねても改善が見られず、配置転換や異動によって職場環境を変えることで改善を図ろうと考える方も多いでしょう。
しかし、「問題社員を異動させたい」という意図が明確すぎる場合、法的なトラブルに発展する可能性があります。
本記事では、問題社員の異動・配置転換に関する法的な基礎知識から、実務上の注意点までを労務に強い弁護士が解説します。

もくじ

1. なぜ問題社員の配置転換が必要になるのか

1-1. 配置転換・異動の基本的な目的とは

企業における配置転換や異動は、単なる人員の調整だけではありません。 本来の目的は、以下のような観点からの組織全体の最適化にあります。

  • 人材の適性に合わせた業務配置
  • キャリア形成やスキル拡張の機会提供
  • チームバランスや業績の是正
  • モチベーションの再構築や関係改善

つまり、あくまで組織運営上の合理性に基づく措置であるべきであり、個人的な感情や処分的な意図が前面に出てしまうと、法的なリスクが高まります。

1-2. 問題社員が職場に与える影響

問題社員への適切な対応を放置してしまうと、次のような弊害が生まれます。

  • 周囲の社員の士気低下・離職率の上昇
  • 顧客や取引先とのトラブル増加
  • 組織のガバナンス低下・管理責任の問われ方

一人の社員の振る舞いが、企業全体の信頼性や労務環境に波及することもあるため、「何も対処しないこと」がリスクになる場面もあります。

1-3. 異動による状況改善とその限界

異動や配置転換は、問題社員との直接的な衝突を避けながら、改善を促す方法として有効です。 ただし、「異動させれば全て解決する」というわけではありません。

  • 異動先で新たな問題を起こすリスク
  • 本人の意欲や納得感が伴わない場合の逆効果
  • 対象社員が「報復人事」と捉えて不満を抱くケース

このように、配置転換は万能ではなく、正当性・手続き・配慮をもって進めなければならないという前提を忘れてはいけません。

2. 「問題社員」とは何を基準に定義されるのか

2-1. 企業が抱える問題社員の類型

問題社員というくくりには、法的な明確な定義はありません。実務上は、次のような類型に分類されることが多いです。

勤務態度不良型

遅刻・早退・私語・報連相の不備など

能力不足型

業務遂行能力が著しく劣り、改善も見られない

非協調型

上司・同僚との関係悪化、指示への抵抗・無視

コンプライアンス違反型

守秘義務違反、SNS炎上など
異動・配置転換の判断においては、客観的に行動が問題であるかどうかが重要となります。

2-2. 就業規則との整合性と判断基準

問題社員対応は、就業規則に照らして合理的に説明できる必要があります。具体的には、次のような点が判断材料となります。

  • 職務内容や勤務態度に関する明文化された規定
  • 注意指導の履歴・改善機会の提供の有無
  • 他の社員との比較における一貫性

こうした事前のルール整備と運用実績があることで、異動や配置転換の正当性がより高まります。

3. 配置転換の法的根拠と企業側の裁量

3-1. 労働契約と就業規則上の人事異動条項

多くの企業では、就業規則や雇用契約書に「会社は業務上の必要に応じて人事異動を命じることがある」という条項が存在します。これは、企業にとっての「人事権」の一部とされています。
ただし、この人事権は無制限ではありません。異動命令が権利の濫用と評価されれば、無効と判断される可能性もあります(後述の判例参照)。

3-2. 配置転換における「業務命令権」の限界

雇用主は労働者に対して、雇用契約に基づき業務命令を行うことができる一方で、 労働契約法第3条5項では、「労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない」と定められており、権利の濫用は認められません。
そのため、業務命令権の行使にあたっては、

  • 労働者の合理的利益を不当に害しないこと
  • 社会通念に照らして相当であること

が必要となります。

3-3. 労働契約法・判例法理から見る正当性要件

配置転換の適法性が争われた判例の多くでは、次の要素が判断基準とされています。

  • 業務上の必要性があるか(部署や職種の変更が合理的か)
  • 労働者にとって過度な不利益がないか(通勤・生活・健康等)
  • 不当な動機・目的(懲罰・退職強要)がないか

これらを総合的に見たときに「社会通念上相当と認められるかどうか」がカギになります。

4. 実務で注意すべき配置転換の要件と判断軸

4-1. 勤務地変更・業務内容変更の合理性

配置転換においてまず確認すべきは、その異動に業務上の合理的な必要性があるかどうかです。 合理性を判断する際の観点は以下のとおりです。

  • 対象部署の人員体制・業務状況
  • 異動先の職務内容と本人のスキルや経験の適合性
  • 同種異動が他の社員にも行われている実績

例えば、問題社員1名だけが遠隔地の支店に異動させられるような場合、「業務上の必要性」としての合理性が問われます。

4-2. 配置転換が与える不利益の大きさと配慮

配置転換には、「本人の生活・健康・家庭環境」などに大きな影響を与えることがあります。 法的には、こうした影響を「不利益」として捉え、過度な不利益があれば異動命令は無効とされる可能性があります。
以下のような事情は特に慎重な配慮が必要です。

  • 介護・育児との両立が困難になる異動
  • 長距離通勤を強いる配置転換
  • 心身の疾患によって業務遂行が困難になる懸念

本人に一切相談せずに一方的に命じるのではなく、「配慮義務」を果たした記録を残すことがリスク回避に有効です。

4-3. 配置転換が無効となる事案の例

例:社員が上司のパワハラを内部通報した直後に、関係のない部署へ配置転換されたケース

→ 「不当な報復人事である」として無効と判断
このように、業務上の必要性が乏しく、問題社員への懲罰的な意図があると認定されるよう場合は、配置転換が無効となることがあります。

例:家庭の事情(病気の家族の介護)を無視して遠方への異動を命じたケース

→一方的な異動により「生活への過度な支障」が生じたとして、損害賠償請求が認められた
配置転換における配慮義務を軽視すると、単にその配置転換が無効となるだけでなく、賠償責任にまで発展するリスクがあります。

例:評価制度上のスコアを下げる目的で降格的な配置転換が行われたケース

→合理性に欠けるとして無効と判断
評価や人事制度と異動の整合性が問われる場合、社内制度との一貫性が重要となります。

5. 配置転換の前にやるべき対応と準備

5-1. 指導記録と勤務態度の証拠化

問題社員の配置転換を検討する前提として、「改善指導がなされたこと」が重要な事実になります。 そのため、次のような記録を残すことが非常に有効です。

  • 日時・内容が明記された注意・指導記録
  • 面談シートや指導報告書(署名欄あり)
  • 改善を促す具体的指示や支援内容の記録

適切な改善指導を行っていない、対応記録も不十分というような状態で配置転換や異動を命じると、本人から不合理な異動だと反論されやすくなります。

5-2. 面談・改善機会の提供と実施

配置転換の前には、本人との面談による改善機会の提供が非常に重要です。
問題社員に対して「ちょっと時間ある?話そうか」といった口頭ベース・非公式な面談が行われることはよくあります。
しかし、これは後から証拠にならず、本人にも「正当な形で注意を受けた」という認識が残りづらい傾向があります。

異動や配置転換の前提として「改善の機会を与えた」「注意指導を行った」という企業側の正当性を示すためには、以下のような公式な記録整備と意図を持った面談であることが重要です。

  • 会議室など私的でない場所で、一定時間を確保して実施
  • 面談の日時・場所・参加者・内容を記録に残す
  • 面談記録票・議事メモなどに内容を残し、本人確認を得る
  • 面談内容が客観的・業務的なフィードバックで構成されている

面談では、本人の状況や主張を丁寧に聴き取りつつ、企業として本人に対して何を求めているのか・何をどう改善してほしいのかを明確に伝えましょう。

5-3. 人事異動の「必要性」と「妥当性」の説明力

指導や改善機会の提案、面談などを段階的に実施したうえで、それでも最終的に異動を命じる場合は、本人に対して以下のような内容を文書および口頭で丁寧に説明することが不可欠です。

  • なぜこのタイミングでの異動なのか
  • なぜこの部署・業務なのか
  • 本人に対して、企業として何を期待しているのか

これにより、企業として正当な理由・手続きをもって異動を命じたという正当性を担保することができますし、本人が後日不当だと主張した際でも、企業側の異動命令が社会通念上相当であったことを第三者(裁判所など)に説明しやすくなります。

6. 配置転換後のトラブル回避と対応

6-1. 異動命令拒否への対応方針

配置転換の命令に対して、本人が明確に「異動できない」「納得できない」と意思表示するケースがあります。このような場合、企業側は次の3点を基本方針として対応することが重要です。

  • まずは異動命令の趣旨・必要性を再度丁寧に説明する
  • 就業規則に基づく業務命令であることを明確にする
  • 正当な業務命令を拒否し続けた場合のリスク(懲戒など)も周知する

ただし、即座に懲戒処分に進むことはリスクが大きすぎるため、弁護士に相談の上で慎重に進めるようにしてください。(補足セクション参照)。

6-2. 労働組合・代理人との交渉リスク

労働組合がある企業では、異動に対する組合の介入や団体交渉要求がなされることがあります。特に問題社員が組合員である場合、配置転換を「不利益取扱い」「組合活動妨害」と主張されるリスクがあります。
このような場面では、

  • 事前に就業規則に沿った人事権の範囲であることを明確にしておく
  • 異動の合理的理由を文書で説明する準備をしておく
  • 弁護士や社労士と相談しながら団体交渉に対応する

といった交渉リスクの管理体制が不可欠です。

6-3. ハラスメント・報復と捉えられない配慮

異動後、対象社員が「異動はパワハラだ」「報復人事だ」と主張することがあります。 そのように受け取られないためには、異動前からの手続き・記録・配慮が重要です。

  • 面談やフィードバックを通じた十分な改善機会の提供
  • 人格否定や威圧的態度を伴わない説明と対応
  • 異動理由や期待される役割を具体的に伝える

こうした配慮の積み重ねが、「不当性のない、誠実な配置転換であった」と外部から見ても納得される対応へとつながります。

補足:異動命令に反論された場合の対応フロー

配置転換の通知に対して、対象社員から反論や拒否の意思が示されることは、実務上よくあります。企業としては感情的に対応するのではなく、冷静かつ法的に正当性のあるプロセスを踏むことが重要です。以下に、反論があった場合の対応フローを整理します。

1. まずは反論内容を正確に把握する

本人が異動を拒む理由は様々です。通勤距離や家庭事情、異動先への不信感、異動理由への不満など、背景を丁寧に聴き取ることが必要です。 この段階での「傾聴」は、後の説得力や社内的正当性を高める意味でも重要です。

2. 配置転換の必要性と配慮の有無を再確認する

企業側が異動命令を出すにあたって、業務上の必要性があるか、そして社員の不利益に対して合理的な配慮をしているかを見直しましょう。以下が確認のポイントです:

  • 異動の業務的合理性(なぜその職種・部署なのか)
  • 生活面・通勤距離・健康などへの配慮があるか
  • 同様の配置転換が他社員にも行われているか

3. 正式な業務命令として改めて通知する

反論が続く場合には、「これは企業の就業規則に基づく正当な業務命令である」旨を明記した配置転換通知書を交付することが有効です。 この際、「懲罰的意図ではないこと」「改善の機会として捉えていること」など、背景と配慮も文書上で伝えることで、不要な感情的対立を避けられます。

4. それでも拒否が継続する場合の対応

それでも本人が従わない場合、労務提供義務違反(業務命令違反)として懲戒処分や退職勧奨の検討対象になる可能性があります。 ただしこれは重大な判断であるため、次のような観点を踏まえ、弁護士や社会保険労務士と協議のうえ慎重に対応する必要があります。

  • 指導歴・面談記録・説明の有無
  • 異動の必要性と配慮の程度
  • 社内的な整合性と他社員への波及影響

対象の従業員から反論があるからといって、異動が不当になるわけではありません。
従業員が不満を持っていたとしても、異動が客観的に妥当であれば、法的には正当な異動命令と認められます。
そのためには、企業側が「必要性があり、配慮し、説明を尽くした」ことが記録に残っていることが重要です。

7. 異動の目的と制度設計の整合性

7-1. 人事評価制度との一貫性

配置転換は、社員の能力や適性に基づく人事措置である以上、人事評価制度との整合性が非常に重要です。 たとえば、

  • 異動先での評価基準が曖昧である
  • 異動によって著しく評価が下がる
  • そもそも評価制度に異動の扱いが明記されていない

といった状況があると、「恣意的な人事」「降格目的の異動」と疑われかねません。
そのため、配置転換が行われた場合には、

  • 評価の基準が引き続き明確に設定されているか
  • 本人が不利にならないための移行措置が講じられているか

といった制度面の整合性にも注意を払いましょう。

7-2. 組織的な人材戦略の中の配置転換とする

問題社員対応のための異動であっても、特別扱いとならないよう、全社的な配置転換制度や人材育成ポリシーの一部として位置づけることが理想です。

  • 定期異動制度が存在しているか
  • キャリア形成と人材配置を意図した異動を他社員にも行っているか
  • 問題社員のみが対象とならないバランスが取れているか

これにより、なぜこの人だけ?という主張への説得力が強まります。

7-3. 人事権行使の一貫性を支える体制構築

配置転換を円滑かつ適法に実施するためには、企業側が「人事権の根拠」と「その行使の一貫性」を制度的に裏づける体制を整えておくことが重要です。とくに、雇用契約書や就業規則に異動・配置転換の規定が存在するかどうかは、法的な正当性の評価に直結します。

雇用契約書・就業規則における記載の重要性

多くのトラブルは、「異動させたいが、雇用契約書に勤務地や業務内容が固定で書かれていて動かせない」といったケースで生じます。
雇用契約書に「勤務地:東京本社」「業務内容:営業業務に従事」としか書かれておらず、異動や配置転換、職種変更の可能性について一切明記がない場合、企業が一方的に変更を命じることは原則としてできません。
ただし、以下のようなケースでは、契約書に異動条項がなくても企業の判断が認められる余地があります。

  • 就業規則に異動・転勤・職種変更の規定がある
  • 職種や業界の慣行から、異動が予定されていたと評価される(例:総合職採用)
  • 本人の過去の異動経験や黙示の同意がある

とはいえ、これらはあくまで「例外的に可能」とされるケースであり、契約や社内制度の明確な根拠がある場合に比べて、紛争リスクが格段に高いことは否定できません。

制度的な整備で正当性を補強する

人事権を安定的かつ一貫性のあるかたちで行使するには、以下のような社内整備が求められます。

整備対象 内容
雇用契約書 業務内容・勤務地の変更可能性を明記
(例:「会社の定める業務」「会社が指定する就業場所」など)
就業規則 異動・配置転換・転勤・職種変更に関する根拠条文を整備
人事方針・社内ガイドライン 配置転換の実施要件・目的・フローの明文化
実務運用の記録 異動命令に至るまでの過程(指導記録、面談記録、配慮措置)の保存

これらが一貫して運用されていれば、仮に社員から「異動命令は不当だ」と主張された場合でも、企業側は「正当な業務命令である」ことを裏付ける根拠を明確に提示できるようになります。

特に中小企業やスタートアップ企業では、創業当初の雇用契約書に異動条項がなく、また就業規則が簡素または未整備であることも少なくありません。
このような場合、まずは雇用契約書や就業規則の見直しを行い、異動・転勤の可能性についての明示的な条項を整備しておくことが必要でしょう。

8. 職種・業務内容別に考える配置転換のポイント

8-1. 営業職や対外対応業務に従事する社員の場合

営業職やクライアント対応に関わる社員の場合、外部への影響が大きく、問題社員による信頼失墜のリスクは深刻です。 異動によって営業から内勤職に転換するなどの措置は、取引先との関係維持や社外評判の保護という合理性が認められやすい一方、職種変更が過度であれば降格的異動とされるリスクもあるため注意が必要です。

8-2. 管理部門(経理・総務・法務など)での対応パターン

管理部門では、社内の機密情報や権限に関わる業務が多いため、信頼性の低下は組織全体に影響します。 このような部門の問題社員を異動させる際は、情報アクセス権や業務分担の再設計も同時に行い、他社員への悪影響を最小限にする実務対応が求められます。

8-3. 現場作業者・技能職社員の異動での注意点

製造・物流・建設現場などでは、異動が安全性や生産効率に直結します。 配置転換の実施にあたっては、

  • 技能や免許の有無
  • 業務負荷のバランス
  • チームメンバーとの連携状況

など、現場特有の観点からも配慮する必要があります。誤った配置による事故やトラブルの発生リスクは、法的責任にもつながりかねません。

9. 問題社員の異動や配置転換に関連するよくある質問(FAQ)

Q1. 異動命令に従わない社員を懲戒処分にできますか?

A. 就業規則に「会社の業務命令に従う義務」が明記されており、かつ異動命令が合理的で社会通念上相当と認められるものであれば、命令拒否は懲戒処分の対象となり得ます。 ただし、配慮義務や業務上の必要性が不十分な異動命令であった場合、懲戒処分自体が無効と判断される可能性もあります。慎重な検討と記録整備が不可欠です。

Q2. 退職に追い込む目的で異動させることは違法ですか?

A. はい、違法です。いわゆる「退職強要」として、不当労働行為やパワハラに該当する恐れがあります。 企業としては、改善のための配置転換であることを文書・手続き上も明確にし、「辞めさせるためではない」という前提を行動と言葉で示す必要があります。

Q3. 配置転換通知書には何を記載すべきですか?

A. 配置転換通知書には、以下のような項目を含めるのが望ましいです。

  • 異動の発令日と適用日
  • 配置転換先の部署名・業務内容・勤務地
  • 異動理由の概要(業務上の必要性)
  • 今後の処遇(給与・待遇の変化の有無)

記載内容が曖昧だと、後から異動の正当性を証明することが困難になるため、慎重に作成する必要があります。

Q4. 問題社員の配置転換に同僚や取引先が巻き込まれることが不安です。

A. 異動によって周囲の業務や社外対応に影響が出る可能性がある場合、業務遂行に必要な範囲で事前に関係者との調整を行うことは重要です。
ただし、対象社員に関する個人的な情報や問題行動の詳細を共有することは避け、本人の名誉やプライバシーに十分配慮したうえで、あくまで人事上の通常異動として説明することが基本です。
また、異動先でのスムーズな受け入れや再発防止のために、必要に応じて業務分担の見直しやフォローアップ面談を検討しましょう。

Q5. 異動先の部署でも問題行動が繰り返された場合、次はどうすればよいですか?

A. 配置転換後も問題行動が継続する場合には、再度の注意指導・記録の蓄積を行った上で、懲戒処分・退職勧奨など次の段階に進むことも検討されます。 ただし、いきなり解雇に踏み切るのではなく、「段階的に改善機会を提供した」記録が重要となりますので、弁護士等の助言を得ながら慎重に進めましょう。

10. 本コラムのまとめと当事務所でのサポート内容

問題社員の存在は、企業にとって非常にセンシティブでかつ長期的な経営課題です。
その対応として「配置転換」は有効な選択肢のひとつですが、方法を誤れば法的トラブルに直結する重大なリスクを伴う行為でもあります。
本コラムでご紹介したとおり、配置転換を適切に行うためには、次のような観点が必要です。

  • 就業規則や人事制度に基づいた明確なルールの存在
  • 本人への事前説明や配慮を含めた手続きの適正性
  • 記録(面談・注意・異動理由書等)の残し方
  • 異動後の業務定着・再発防止のための社内体制

そして何より、企業が一方的に判断するのではなく、第三者の視点(弁護士・社労士等)を交えた対応体制を整えておくことが、長期的な労務リスク回避につながります。
当事務所では、社労士資格を有する弁護士を中心に、問題社員対応に関する法的支援だけでなく、配置転換の制度設計支援・就業規則改定・社内研修・懲戒制度構築までをワンストップでご提供しております。
労使紛争になってしまった場合の対応だけでなく、予防法務・労務の観点からのご支援も可能です。
「配置転換で問題を解決したいが、何から始めればいいかわからない」「異動命令を出したが、トラブルにならないか不安だ」というようなお悩みがある場合は、まずは一度ご相談ください。

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