解決事例一覧

【IT業】準委任契約による人材受入れを在籍出向へ見直し、契約・労務管理体制を整備した事例

2026.08.14
業種 IT業(システム・ソフトウェア開発)
企業規模 従業員50名以下
カテゴリ 契約書
担当弁護士 坂本 志乃
ご契約方法 フレックス顧問契約

ご相談時のご状況

顧問先企業様から、他社の従業員を一定期間受け入れ、自社の従業員と一緒に業務を行ってもらいたいとのご相談をいただきました。
当初は、相手方企業との間で準委任契約を締結し、その従業員に自社の業務を行ってもらう方法が検討されていました。
もっとも、実際の業務では、顧問先企業様の従業員が、受け入れた従業員に対して日々の作業内容を説明したり、業務の進め方について具体的な指示を行ったりする必要があることが想定されていました。また、勤務時間についても、顧問先企業様の業務時間に合わせてもらう必要がありました。
そのため、契約書上は準委任契約としていても、実際の働き方によっては労働者派遣に該当する可能性があるのではないかという懸念が生じていました。
そこで、業務に対する費用をどのように設定すればよいのか、勤務時間をどちらの会社が管理すべきなのか、受入企業からどこまで直接業務上の指示を行うことができるのかといった具体的な運用方法を含め、適法な形で人材を受け入れる方法について当事務所へご相談いただきました。

解決・改善に向けた当事務所のアドバイス・対応

まず、準委任契約などの業務委託契約については、契約書の名称だけでその法的な性質が決まるものではなく、実際にどのような形で業務が行われるのかが重要であることをご説明しました。
例えば、受入企業が相手方企業の従業員に対して、「今日はこの業務を行ってください」「この時間まで勤務してください」「今日は残業してください」といった個別具体的な指示を直接行う場合には、契約書上は準委任契約であっても、実際の運用との間にずれが生じる可能性があります。
準委任契約として運用するのであれば、受入企業から相手方企業の責任者へ業務上の要望を伝え、その責任者から従業員へ指示を行ってもらうなど、指示系統を整理する必要があります。
しかし、今回予定されていた働き方を確認すると、受入企業側が日常的に業務内容を指示することが予定されており、準委任契約に合わせるために指示系統を変更すると、かえって実際の業務を進めにくくなる可能性がありました。
そこで当事務所から、無理に準委任契約として運用するのではなく、出向元企業との雇用関係を維持したまま、出向先企業の指揮命令のもとで勤務する「在籍出向」の形態に変更する方法をご提案しました。
その後、顧問先企業様と相手方企業との協議を経て、在籍出向の形態で進めることとなり、当事務所において出向契約書を作成しました。
契約書では、出向期間や勤務地、所属、業務内容などの基本事項だけでなく、出向中の労働時間、休憩、休日、服務規律、給与、社会保険、労災、交通費、出張費などについて、出向元企業と出向先企業のどちらが対応するのかを整理しました。
さらに、出向期間を途中で終了したり延長したりする場合の取扱い、出向期間中の住居に関する費用、出向終了後の復職、秘密保持、個人情報の取扱いなど、実際に出向を開始した後に問題となり得る事項についても定めました。
その結果、当初予定していた準委任契約に実際の働き方を無理に合わせるのではなく、予定している業務の進め方に適した在籍出向の仕組みへ見直すことができました。また、出向元企業と出向先企業の役割や費用負担についても契約上明確にし、実際の労務管理まで含めた人材受入れの体制を整えることができました。

適正な事業運営にあたってのポイント

他社の従業員に自社の業務を行ってもらう場合には、準委任契約や請負契約、労働者派遣、在籍出向など、さまざまな方法が考えられます。
このとき重要なのは、契約書の名称だけで判断するのではなく、実際にどのような働き方を予定しているのかを確認したうえで契約形態を選択することです。
例えば、準委任契約を締結していても、受入企業が相手方企業の従業員に対して、勤務時間や具体的な作業内容、残業の有無などを日常的に直接指示している場合には、契約内容と実際の運用が一致しているか慎重に確認する必要があります。
一方で、受入企業が直接業務上の指示を行うことを前提として一定期間勤務してもらうのであれば、準委任契約に無理に合わせるのではなく、在籍出向など、実際の働き方に適した別の契約形態を検討した方がよい場合もあります。
また、在籍出向を行う場合にも、出向元企業と出向先企業との間で単に「従業員を出向させる」と合意するだけでは十分ではありません。出向期間や業務内容、給与、社会保険、労働時間、休暇、費用負担、懲戒、復職などについて、それぞれの会社がどのような役割を負うのかを事前に整理しておくことが、出向開始後のトラブル防止につながります。
当事務所では、企業間で人材を受け入れる際に、準委任契約、業務委託、労働者派遣、在籍出向のいずれが実際の働き方に適しているのかという契約形態の検討から、出向契約書等の作成、給与・社会保険・休暇などの具体的な労務管理に関するアドバイスまでサポートしております。
他社の従業員を受け入れるにあたり、「準委任契約で進めて問題ないのか」「実際の働き方が労働者派遣に該当しないか不安がある」「在籍出向を行う場合にどのような契約を締結すべきか分からない」といったお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

050-5799-4475 受付時間:9:00~18:00
Web予約 24時間受付
資料ダウンロード