| 業種 | 人材紹介・派遣事業 |
|---|---|
| 企業規模 | スタートアップ企業 |
| カテゴリ | ガバナンス・コンプライアンス・規程整備 |
| 担当弁護士 | 中山 恵 |
| ご契約方法 | フレックス顧問契約 |
ご相談時のご状況
今回ご紹介する依頼者様は、当事務所の顧問先の企業様で、退職した社員が保有する株式の集約を検討されておりました。当初は会社による自己株式の取得(買い取り)を希望されていましたが、法的な財源規制や、取得に伴い関係者に生じる税務リスクの整理が課題となっていました。また、将来の経営体制を見据え、特定の役員に対する功労報奨として、法的な裏付けのあるインセンティブ支給体制を早期に整備したいというご要望を抱えていらっしゃいました。さらに、過去に行われた株式譲渡についても、適切な税務処理が行われているか現状把握が必要な状況にありました。
解決・改善に向けた当事務所のアドバイス・対応
まず、株式集約のスキームについて、直近の決算書に基づき法的な精査を実施しました。会社による買い取りについては、剰余金の状況から財源規制に抵触するリスクを指摘し、代替案として代表者個人への無償譲渡スキームを提案しました。税務面では、一括譲渡による高額な課税を避けるため、数年間にわたる分割譲渡案を提示しました。その際、税務当局から定期贈与とみなされ初年度に一括課税されるリスクを回避するため、将来の譲渡内容に不確定要素を残すための覚書の活用や、毎期ごとに契約を締結する実務的な運用を助言しました。
役員への報酬体制については、税務上の否認リスクを抑えつつ、明確な算出根拠を設けるために役員退任慰労金規程を新規に策定しました。規程作成にあたっては、依頼者様の意向を反映し、役位ごとの実務実態に合わせた算出基準の調整などの細かな整合性チェックを行ったうえで納品を行いました。
加えて、過去の譲渡履歴についても確認したうえで、税務リスクの有無を指摘し、速やかな是正に向けた法的助言を行いました。
適正な事業運営にあたってのポイント
株式の譲渡や集約を行う際は、単なる当事者間の合意だけでなく、会社法上の財源規制や株主の平等性といった手続き面での適正化が不可欠です。特に親族外や役員間での無償譲渡が伴う場合、意図せぬ贈与税の発生を防ぐために、事前のシミュレーションに基づいた慎重なスキーム設計が重要となります。
また、役員に対する慰労金等の支給は、規程に基づく明確な根拠がなければ、不相当に高額であるとして税務上の経費性が否定されるリスクがあります。将来の事業承継や経営体制の変更に備え、規程を早期に整備し、コンプライアンスを徹底することが、結果として円滑な企業運営と節税対策の両立につながります。当事務所では、法務と税務の境界領域においても、他専門家と連携しながら最適な体制構築を支援いたします。
