経営理念ってなに?⑧バリュー編その5
前回は経営理念における「バリュー」浸透のための4つのコツをお伝えしました。
前回の記事はこちら:経営理念ってなに?⑦~バリュー編その4~
今回は「バリュー」を浸透させるための具体的な仕組みについて4つご紹介したいと思います。
4つの具体的な仕組みは、次のとおりです。
①理念研修
②バリューディスカッション
③デイリーラインナップ
④人事評価制度への組み入れ
順番に解説いたします。
まず、論理的理解を深めるためにバリューを含めた会社の理念ついて学習します。
理念の構成要素であるミッション、ビジョン、バリューについて、どのような意味があり、どのように関係しているのかを理解できるようにします。
それぞれのバリューについて、以下の4つのステップでディスカッションを行います。
1.もっとも伝えたい要点は何か?
2. 実践すると、それぞれのステークホルダー(お客様・会社・仲間・家族・取引先・社会・自分など)にとってどのような影響があるか?
3. 現状できていること、できていないことは?できていない場合はなぜできていないのか?
4.すぐに取り組めることは何か?
自らの考えを声に出して話すことで、自分の思考を整理できるため、記憶に定着しやすくなります。
また、他のメンバーと意見交換することで感情的な理解に繋がり、印象に残りやすくなります。
そして、チームでバリューを共有しているという一体感が得られ、前向きにバリューを捉えることができるようになります。
これは1日に1回バリューと向き合う機会を作ることを言います。
具体的には、朝礼の場で1つのバリューについてポイントや解釈などの発信を行い、思い浮かんだ気付きや感想を全員が簡単にシェアする取り組みのことを言います。
朝礼で集まる機会がなければLINEやチャットワークなどのツールを活用して行うのも良いでしょう。
1日に1回の取り組みが厳しい場合は、1週間に1回のウィークリーラインナップとして取り組んでも良いと思います。
これは部下がバリューを実践したことについて上司がフィードバックを行うためのものです。
バリューは実践することが大事なのですが、実践してもしなくても、なんのフィードバックもない状態だといずれ実践を止めてしまいます。
それを防ぐためには、自分の行動を映す鏡として他者のフィードバックが必要となるのですが、その手段として人事評価制度にバリュー評価を組み入れるのです。
ただし、フィードバックを行う機会が確保できるのであれば、いきなり人事評価制度に組み入れるのではなく、面談、1ON1ミーティングに代えてもOKです。
フィードバックを仕組化できたのであれば人事評価制度に組み入れ、バリューの実践が仕事ぶりを評価する上での重要な指標として会社は位置付けていることを示すのが良いでしょう。
以上がバリューの浸透の具体的な仕組みについてです。
バリューのポイント
今回5回にわたってお届けしたバリュー編のポイントをまとめました。
■日々の仕事において、どのように考え、どのように行動すべきか、望ましい思考や行動を言葉にしたものがバリュー。
■バリュー策定において、スタッフの価値観をできるだけ反映させるようにすることが自分ごととして浸透させていくためのポイント。
■論理的理解、感情的理解、頻度、他人に教えること、この4つを取り入れた取り組みを行うことがバリューの実践に繋がる。
■バリューを実践することで、視野が拡がり、仕事をする上で大切にすべきものの優先順位もつけやすくなり、その結果として組織としてのスムーズな意思決定や行動が可能となる。
経営理念ってなに?総括
さて、今回でバリューのお話、そして理念のお話はおしまいなのですが、最後にマザーテレサの言葉で締めくくりたいと思います。
「言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。」
「行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。」
「習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。」
「性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。」
思考がどのような順番で運命に繋がるのか?これを順を追ってイメージしてみてください。
これまでお話ししたバリューは望ましい思考や行動のことです。
つまり、バリューを整えることによって、その先のことが変化し、運命までも変えてしまう可能性を示唆しています。
「思考は実現する」「思考が変わると運命が変わる」とだけ聞くと大げさな感じもしますが、マザーテレサの言葉を順を追ってイメージすると、妙に納得させられるのではないでしょうか?
若い時はこのような言葉にしんみりすることはなかったのですが、歳を重ねる中で、親戚や知り合いが亡くなったりしてきますと、その人たちや自分の人生を振り返る機会も増えます。
そんな時にこのマザーテレサの言葉を振り返ると心に沁みてきます。
今の自分、今いる環境、それらを決めてきたものは、生まれてから今に至るまでに積み重ねてきた思考に基づく行動の結果なんだろうなというのをつくづく感じます。
そう考えますと、若い時から両親や恩師、友人、コミュニティ、書籍などを通じていかに良い思考に触れ、自分のものにしておくかが大事だと思います。
次回からは、コーチングについてのコラムをお届けします。お楽しみに♪
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