経営理念ってなに?⑦~バリュー編その4~
前回は経営理念における「バリュー」の策定方法についてお伝えしました。
前回の記事はこちら:経営理念ってなに?⑥~バリュー編その3~
今回は「バリュー」を浸透させるための4つのコツについてお伝えしたいと思います。
4つのコツは、次のとおりです。
②感情的理解
③頻度
④教える機会をつくる
順番に解説いたします。
バリューを読んだときに意味が理解できるか?作られた意図を読み取れるか?ということです。
前回のブログで紹介した、とある病院のバリュー”私たちは明るい笑顔と心配りで、患者様の不安を安心に変え、快適な医療を提供します”を例にすると、
「うちの医院は単に患者様に好印象を与えるためだけに笑顔を大切にしているのでなく、患者様の不安を安心に変えるために笑顔を大切にしているのだ。そして、そんな笑顔が快適な医療に繋がるのだ」
と理解できればOKです。
勉強会などを活用して理解を深めていきたいところです。
他のスタッフの話を聴きながら、体験や実例に結び付けて学習することを指します。
その中で
「うわっ、これは私に足りない!」
「これは体感したことがある」
「この思考があの時にあれば…」
というような感情が湧けば記憶に残ります。ここで大事なのは、バリューについて仲間と意見交換をする中で、
「確かに」
「そんな経験をしたんだ」
「それは私にはない考え方だ」
というような情報を得ることです。そうすることで感情が動き、記憶に定着するのです。
先ほどのバリューの例でいきますと、あるスタッフが「前勤めていた病院で患者様から『あんたの笑顔は特に固いねえ。なんだかロボットみたい』って言われショックだったの。確かに深く考えずニコニコしていたので、それからなぜ笑顔が大事なのか、笑顔で相手にどうなってもらいたいのかを考えるようになったわ」という話を他のスタッフにしました。
すると、それを聞いたスタッフの一人は「確かにロボットとか言われたらショック!」というような感情になり、このエピソードが頭から離れなくなったそうです。
それ以来、そのスタッフは笑顔を大切にする理由を常に意識しながら患者様の応対をするようになったのです。
これが仲間と意見交換することで得られる感情的理解です。
やはり論理的理解と違ってインパクトが強いため、記憶の定着がより促進されやすくなるのです。
これはもう説明するまでもないですが、接する頻度が多いほど、視覚や聴覚を通して脳に焼き付きますので、より記憶として残りやすくなります。
アメリカ国立訓練研究所が発表した研究結果に「ラーニングピラミッド」というものがあります。
下になるほど学習効率が良くなっていくのですが、その一番下が「他の人に教える」です。
つまり、これが物事を記憶したり定着させたりする上で一番大事だということです。いきなり教える立場になると、最初は上手くいかないことがほとんどですが、教えるという行為の中で自分に足りない情報が何なのかが分かるようになり、それらを集めるようになります。
そのような行為を繰り返していくと、段々と理解が深まり、考えが体系化されていくことで、より記憶に残りやすくなります。
ですので、後輩などにそれぞれのバリューの意味や意図、自分の実体験などを踏まえて教えることができるようになれば、そのバリューは完全に自分のものになっていると言えるでしょう。
バリュー浸透のコツは理解していただけましたか?
次回は、そのコツを踏まえて具体的にどのような仕組みを作ればよりバリューが浸透していくのかについてお話をしたいと思いますので、お楽しみに♪
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