労災保険ってなに?⑤~保険給付編~
前回のコラムでは通勤災害における通勤の「合理的な経路及び方法」の定義について解説を行いました。
これまでの労災についてのコラムはこちら:コラムカテゴリ『労災保険 』
今回は労災保険の代表的な保険給付について解説していきたいと思います。
太郎君の給料は月給約30万円、年間賞与90万円、年収で450万円くらいだったとします。
(1日あたりの平均賃金を約1万円とします)
①療養補償給付
太郎君は仕事中に転んで骨折をしてしまい、病院に治療に行きました。
A1.負担はありません。
労災保険では自己負担はなく、労災保険が病院に10割を支払ってくれます。
ー 全額労災保険からお金が出るので安心ですね。
②休業補償給付
太郎君の骨折は状態がひどく、1カ月ほど会社をお休みしないといけなくなりました。
なにか労災保険からの給付はありますか?
A2.休業4日目から1日につき約8千円の給付を労災保険から受けることができます。
(休業3日目までは会社が1日につき約6千円を支給してあげなければいけません)
ー 1万円満額はもらえないものの、プライベートのケガの休業であれば医療保険では1日につき6千6百円くらいしか貰えないのでありがたいですね!
③障害補償年金・一時金等
A3.障害の程度によりますが、年金または一時金が貰えます。
障害等級8~14級の場合⇒一時金(668万円~75万円)
ー 働けなくなる不安はあると思いますが、年金など貰えると少しは安心ですね。
④遺族補償年金・一時金、葬祭料
A4.遺族の人数や年齢によりますが、年金(294万円~183万円)+ 一時金300万などの保険給付を受けることができます。
また葬祭料として61万5千円を受け取ることができます。
加えて労災就学等援護費として子供達の学費を1人あたり月額、小学生1万2千円~大学生3万9千円を受け取ることができます。
ー 残された遺族の悲しみが消えることはないでしょうが、金銭面において多少の安心材料にはなるのではないでしょうか。
まとめ
日本の経済は、それぞれの会社で働いている社員さんの頑張りで支えられていると言っても過言ではありません。
その頑張っている社員さんに万が一のことがあった時のセーフティネットがないと、社員さんは安心して働くことができませんし、死亡事故の場合であれば残された遺族の生活も一変してしまいます。
その金銭面においてのセーフティネットが労災保険なのだと思います。
私の銀行員時代の同僚が業務中の交通事故、後輩が通勤時の交通事故で亡くなったのを思い出しました。
二人とも独身男性で20代後半と若く、とても元気でした。
決して危険な職種ではないはずですが、交通事故は職種に関係なく誰にでも起こりうる事故であることを痛感しました。
ご両親も社会人になった子供の成長を楽しみにしていたでしょうから、突然のことでさぞかし無念だったと思います。
このような悲しいことがないように、自分のために、そして自分の家族のためにも慢心せず、気を引き締めて普段の生活を送っていきたいものですね。
記載内容は投稿日時点のものとなり、法改正等で内容に変更が生じる場合がございますので予めご了承ください。