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相続した不動産の売却は相続登記を省略できる?

2023.04.05

1.はじめに

花田司法書士不動産の登記記録には権利変動の過程を正確に反映しなければならないという原則があります。
例えばAさんがBさんに土地を売却し、BさんがCさんにその土地を売却した場合でも、Bさんを省略してAさんから直接Cさんへの所有権移転登記をすることは認められないということです。

このように、途中を省略することは原則としてできません。

では、相続した不動産を売却するケースではどうでしょうか?
相続登記には費用や時間がかかります。
できることなら省略したいとお考えになるでしょう。

「親が住んでいた実家の土地建物を相続したのですが、売却するつもりです。相続登記は必要ですか?」とご質問いただくことがあります。
このような場合について今回は解説します。

2.相続人が売却した場合

相続した不動産の売却といっても、誰が売却したのかによって相続登記が必要かどうか異なります。
まず、相続人が取得した不動産について、相続登記を省略して売却し、被相続人から買主への所有権移転登記をすることはできません。

有権の移転が被相続人から相続人へ、相続人から買主へと変動しているためです。
たとえ、被相続人が亡くなって相続が発生した直後に売却した場合でも、相続登記を省略し、被相続人から買主への所有権移転登記をすることはできないのです。

3.被相続人が売却していた場合

生前に被相続人が不動産を売却し、所有権は買主に移転しているが、所有権移転登記はなされておらず、不動産の登記名義が被相続人のままになっている場合はどうでしょう?
この場合は相続登記は不要です。

このケースでは相続人が権利を取得していないからです。
被相続人から買主への所有権移転登記を行う義務は相続人が承継しています。
そのため、相続人全員が登記義務者として被相続人から買主への所有権移転登記手続きを行うことになります。

相続登記の義務化

4.さいごに

相続登記と買主への所有権移転登記を同日に申請することはできますが、相続登記に何らかの問題があり、完了しないとなると、売買による所有権移転登記も完了しません。
相続した不動産について売却の予定がある場合は、相続登記を事前に完了させておくと、このようなリスクを回避できます。
どこかのタイミングで相続登記をしなければならない以上、時間的に余裕があるうちに相続登記を進めておくのがおすすめです。

相続登記が完了するまでには時間がかかることもあります。
相続関係を明らかにする戸籍謄本の収集など、揃えないといけない書類が多くあるからです。
不動産の売却をスムーズに行うためにも、相続登記の手続きはお早めに進めておくことをご検討ください。

 

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