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登記識別情報とは?――昔の権利証とどう違うのか、失くしたときはどうなるのか

2025.11.11

不動産を購入したり、相続や贈与で名義を取得したりすると、登記が完了した後に法務局から「登記識別情報通知」という書面が交付されます。
以前は「権利証」と呼ばれていたものに相当しますが、見た目も仕組みもまったく異なります。
このコラムでは、登記識別情報とは何か、そして紛失したときにどうすればよいのかをわかりやすく解説します。

 

1. 「登記識別情報」とは何か

登記識別情報とは、不動産の名義人(登記名義人)であることを証明するための重要な情報です。
12桁の英数字で構成されており、実際には紙に印字された「通知書」という形で交付されます。
通知書には「登記識別情報通知書」と書かれており、表面には「この面を開封しないでください」という注意書きがあり、重要な番号部分はシールなどで隠されています。

この番号自体が「本人確認のカギ」となるため、実際に登記をする際(売買や抵当権設定など)に本人が真正な所有者であるかを確認するために使われます。

 

2. 昔の「権利証」との違い

登記識別情報は、2005年(平成17年)の不動産登記法改正により導入されました。
それ以前は「登記済権利証(とうきずみけんりしょう)」と呼ばれる書類が交付されていました。
両者の最大の違いは、「情報の形」と「法的な意味合い」です。

旧来の権利証は、「登記簿に登記が完了したことを証明する紙の書類」であり、その原本に登記所の受付印が押されていました。
しかし、紙そのものに特別な効力があるわけではなく、あくまで“登記済である”ことを証明するものでした。

一方、登記識別情報は、紙そのものではなく、そこに記載された「番号」自体に意味がある点が特徴です。
つまり、見た目の書面をコピーしたりPDFにしたりしても、その番号が漏れれば悪用されるおそれがあります。
逆に言えば、通知書を紛失しても番号を誰にも知られていなければ、すぐに権利が奪われることはありません。

 

3. 紛失したときはどうなる?

登記識別情報を紛失した場合でも、すぐに所有権が失われることはありません。
ただし、その後に売却や担保設定などの登記を行う際には、本人確認が通常よりも厳重になります。

登記識別情報を提示できない場合、代わりに「本人確認情報」や「事前通知制度」などの手続きを経て、本人であることを証明する必要があります。
これらの手続きは、登記所が名義人本人に書類を送付し、意思確認を行うなど、通常より時間がかかる仕組みになっています。

また、第三者に登記識別情報が知られてしまった場合は注意が必要です。
知らない相手に登記手続きをされるリスクを防ぐため、速やかに登記識別情報の“失効申出”を行うことができます。
法務局の手続きにより、その番号は無効化され、以後は利用できなくなります。

 

4. 登記識別情報を安全に保管するには

登記識別情報通知は、通常A4サイズ1枚程度の書面で交付されるため、つい他の書類と一緒に保管してしまいがちです。
しかし、他人に番号を見られると不正利用の可能性があるため、コピーやスキャンデータの保存は避けましょう。
また、紙のまま長期間保管する際は、封を開けずにそのまま保管することが推奨されます。
開封して番号を確認する必要はほとんどありません。

最近ではオンライン申請の普及に伴い、登記識別情報を電子データとして扱うケースもありますが、基本的な考え方は同じです。
「番号が本人確認のカギになる」という点を忘れず、厳重に管理することが重要です。

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