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合同会社と株式会社、登記の違いから見るメリット・デメリット

会社を設立するとき、多くの方がまず思い浮かべるのは「株式会社」ですが、近年は「合同会社(LLC)」を選択する方も増えているようです。どちらも法務局で登記をすることで初めて会社として認められますが、その登記内容には違いがあり、そこから会社の特徴やメリット・デメリットも見えてきます。今回は、登記の観点から両者を比較してみましょう。

 

1. 設立登記に必要な事項の違い

株式会社と合同会社はいずれも、商号(会社名)、本店所在地、事業目的、資本金などの基本的な情報を登記します。株式会社では「取締役」「代表取締役」といった役員構成を登記しするのに対し、一方、合同会社は「社員(出資者)」とそのうち業務を行う「業務執行社員」の氏名を登記する仕組みになっています。このように、株式会社と合同会社ではいくつかの点で違いがあります。

 

2. 設立コストの違い

登記にかかる登録免許税にも差があります。株式会社は最低でも15万円、合同会社は6万円です。また、株式会社では定款に公証役場での認証が必要ですが、合同会社では不要です。そのため、初期費用を抑えたい場合には合同会社が有利といえます。

 

3. 信用力と社会的イメージ

登記簿に「株式会社」と記載されることで、取引先や金融機関からの信用が得やすい傾向があります。歴史的に「会社」といえば株式会社が主流であったため、社会的な認知度の差はまだ大きいといえるでしょう。対して合同会社は、設立しやすい反面、「小規模事業向け」と見られることもあります。ただし、近年は外資系企業の日本法人が合同会社を選ぶケースもあり、必ずしもマイナスではありません。

 

4. 役員変更登記の違い

株式会社の場合、役員には任期があり、任期満了ごとに変更登記が必要です。例えば取締役の任期は原則2年とされており、非公開会社では定款に定めることで最長10年まで延ばせますが、それでも一定の周期で登記申請が必要です。
一方、合同会社には任期がなく、社員の加入・退社がない限り、変更登記の必要が生じにくいのが特徴です。長期的にみると、登記の維持コストを抑えやすい点はメリットといえるでしょう。

 

5. 利益配分の柔軟性

登記簿そのものに利益配分の方法は記載されませんが、株式会社と合同会社では仕組みが異なります。株式会社は持株比率に応じて配当が決まりますが、合同会社では出資比率にかかわらず、定款で自由に配分方法を定められます。小規模の仲間内で起業する場合には、柔軟な運営が可能です。

 

6. まとめ

株式会社と合同会社は、どちらも法務局での登記をもって会社としてのスタートを切ります。しかし、その登記内容や設立後の登記申請の要否、社会的な信用力に違いがあり、結果として事業運営のスタイルにも影響します。初期費用や維持コストを抑えて柔軟に事業を進めたいなら合同会社、対外的な信用力や資金調達を重視するなら株式会社といった選び方が考えられるでしょう。
会社設立は将来の経営にも関わる大きな判断です。登記の違いを理解したうえで、ご自身の事業に合った形態を選ぶことが大切です。