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退任登記できない?権利義務取締役についてのポイント

1.はじめに

取締役が任期満了また辞任によって退任した後も取締役としての権利義務を有することがあります。
これを権利義務取締役といいます。
取締役は、任期が満了したときや辞任したときに退任しますが、それでは会社としての運営が滞ってしまうことがあります。
これを防ぐため、会社法では次のように定められています。

2.会社法でどのように定められているのか?


このように、取締役が退任することで法令や定款で定めた取締役の員数を満たさなくなった場合は、後任の取締役が就任するまでは取締役の権利義務を有したままとなります。
これは、取締役が任期満了または辞任によって退任することで、取締役の全員がいなくなる場合や法令または定款で定めた取締役の員数を満たさなくなったケースが想定されます。

取締役会設置会社では3名以上の取締役が会社法上必要となり、取締役会非設置会社では、定款の定めがない限り1名以上の取締役が必要です。
この規定があるため、取締役に任期満了や辞任といった事由が発生しても、権利義務取締役になる場合は退任登記をすることができません。

また、代表取締役が取締役としての任期満了や代表取締役の地位を辞任することで代表取締役が不在となったり、定款で定めた員数規定を下回ることとなる場合には、代表取締役についても権利義務を有することとなります。代表取締役は取締役の地位が前提となっているからです。
取締役を退任して、権利義務取締役とならない場合は、権利義務代表取締役とはなりません。

3.権利義務取締役の退任日はいつになるのか

権利義務取締役は後任の取締役が就任すれば退任登記が可能となります。
この場合、退任の日付は後任の取締役が選任されることで権利義務取締役から解放された日ではなく、任期満了または辞任の日となります。

4.権利義務取締役は辞任・解任できるか

権利義務取締役は会社法によって定められたものであるため、任意に辞任や解任をすることができません。
株主からの解任請求もできないという最高裁の判例もあります(最判 平20.2.26)。
権利義務取締役に退いてもらいたいときは、後任者を選任することになります。

5.最後に

いかがでしたでしょうか。
今回は権利義務取締役についてポイントを概説しました。
ご参考になれば幸いです。
 

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