プロマーケット上場における労務・人事制度整備の重要性
プロマーケット上場準備において、労務・人事制度の整備は、単に「従業員対応のための内部管理」にとどまるものではありません。
上場企業として、「従業員をどのようなルールで管理しているのか」「労働環境や処遇が適正に設計・運用されているか」といった点は、経営の健全性や持続性を測る重要な指標として評価されます。
特にプロマーケット(TPM・TOKYO PRO Markert/FPM・Fukuoka PRO Market)では、数値基準以上に、「人に関する管理が適切に行われているか」という観点が重視されるため、労務・人事制度の整備は、上場準備の中核的なテーマの一つとなります。
上場時に労務・人事制度がチェックされる理由
労務トラブルは、企業価値や上場後の信頼性に直結するリスクです。
未払残業代やハラスメント問題、不適切な人事運用が表面化した場合、上場審査だけでなく、上場後の継続的な評価にも影響を及ぼします。
そのため上場準備では、下記のような点が実務的に確認されます。
●労働関係法令を遵守した制度設計になっているか
●実態として、その制度が運用されているか
●問題が生じた場合に、是正できる体制があるか
J-Adviser/F-Adviserの役割と関与方法
労務・人事制度に関して、J-Adviser(FPMではF-Adviser)は人事・労務制度の中身の個別具体的な設計に携わる立場ではありません、
あくまで、「労務管理に重大な法令違反やリスクがないか」「労務トラブルが常態化していないか」「上場後も安定した労務管理が期待できる体制か」 といった観点から、
現在の体制がプロマーケット市場への上場企業として適切な状態にあるかを確認することに留まるため、実際の制度設計や是正対応については会社側で実行する必要があります。
労務管理の個別論点について、J-Adviser(F-Adviser)が具体的な対応を行ってくれるわけではないことを理解したうえで、上場準備を進めていく必要があります。
労務・人事制度面で整備すべき事項
では、具体的に自社で整備・修正対応等が必要となりやすい点はどういった点でしょうか?
ここでは、J-Adviser/F-Adviserへのご相談段階で、企業として大枠を決めておく必要がある整備すべき事項の例をご紹介します。
就業規則等の各種規程の整備
プロマーケット上場準備においては、就業規則や賃金規程、育児・介護休業規程などの各種規程が、現行法令および実態に適合しているかが確認されます。
特に問題になりやすいのは、下記のような点です。
●事業拡大等に伴い、実態と規程が乖離しているケース
●法改正に対応できていない古い規程
●規程はあるが、従業員に周知されていない状態
規程については、単に書面として整備されているだけではなく、実際にその規程どおりに日常の人事・労務対応が行われているかが重要で、審査の際もその点が重視されます。
従業員の評価制度と報酬体系の明確化
プロマーケット上場準備では、従業員の評価や報酬が、恣意的・属人的に決められていないかが確認されます。
具体的には、下記のような例が挙げられます。
●評価基準が明文化されているか
●評価結果が処遇(昇給・賞与等)にどのように反映されるか
●管理職ごとに評価のばらつきが生じていないか
中小企業や成長企業では、「社長や役員の判断で決めている」「総合的に見て判断している」という運用が多く見られますが、
その判断の考え方や基準を、会社として説明できない状態は、上場準備においてリスクと評価されやすくなります。
評価制度は、完璧な仕組みである必要はありませんが、少なくとも評価と報酬が、一定の考え方・ルールに基づいて運用されていることを説明できる状態にしておくことが重要です。
労務管理体制の強化
労働時間管理や有給休暇管理など、日常的な労務管理の仕組みも上場準備において重要な確認ポイントです。
例えば、「残業時間が適切に把握・管理されているか」「管理職の労働時間管理が形骸化していないか」「労務トラブルが発生した際の対応窓口が明確か」といった点が確認されます。
労務管理については、勤怠記録や台帳が正確に記録されているだけではなく、実際の労働時間や休暇取得の状況が、その記録と乖離が無いかという点についても確認されます。
人事部門の体制構築
企業規模が拡大すると、労務・人事に関する業務が特定の個人に依存せず、組織として管理できているかが重視されます。
具体的には、下記のような例が挙げられます。
●労務・人事に関する窓口や責任者が明確になっているか
●就業規則や労務管理について、誰が最終的に判断・対応するのか
●問題が発生した際に、経営層や外部専門家へエスカレーションできる体制があるか
必ずしも専任部署が必要というわけではありませんので、体制として機能する仕組みがあるかという観点が重要です。
例えば、日常的な労務管理は社内担当者が行い、法的判断や制度設計については社労士や弁護士と連携する、といった形でも体制として機能していれば問題ありません。
【要チェック】プロマーケット上場で指摘を受けやすいポイント
ここからはプロマーケット市場への上場に特化して、特に指摘を受けやすい点についての具体例をご紹介します。
指摘後に改善を行う際には多くの時間を要する内容もあるため、早い段階から確認をして改善に向けた対策を検討しておく必要があります。
ポイント①:ストックオプション等の福利厚生制度の整備
ストックオプションや各種インセンティブ制度について、制度設計や付与条件が曖昧なまま運用されているケースは、上場準備において指摘を受けやすいポイントです。
税務・労務・会社法の観点を横断して整理する必要があります。
ポイント②:労働環境の適正化
長時間労働や有給休暇の未取得、ハラスメント対応の不備などは、労務DDで必ず確認されます。
特に指摘を受けやすいのは、「忙しい部署だけ例外的に黙認されている」「管理職だからという理由で実態把握がされていない」といった暗黙の運用が放置されているケースです。
この点は上場審査の際も必ず確認をされるため、該当する場合は速やかな是正対応が必要となります。
ポイント③:労使関係の安定化
労働組合との関係や、従業員からの不満・トラブルが常態化していないかも、重要な確認ポイントです。
問題がある場合には、その背景や対応方針を整理しておく必要があります。
加えて、何らかのトラブルが生じた場合に会社として適切に対応できる体制があるかどうかも重要ですので、そこも含めて構築をしておきましょう。
Nexill&Partnersでサポートできること
Nexill&Partners Groupでは、弁護士法人・社会保険労務士法人を含む体制を活かし、労務・人事制度の事前整備をワンストップで支援しています。
社労士資格を有する弁護士も在籍しており、以下のような法的観点と実務運用の双方を踏まえた対応が可能です。
●労務DDの実施
●就業規則・人事制度の見直し
●労務管理体制の整理
●上場を見据えた制度設計の助言
それぞれプロマーケット上場準備の段階に応じた支援を行っておりますので、詳細は個別のサポート内容ページをご覧ください。
労務・人事制度の事前整備は当グループにご相談ください
労務・人事制度は、就業規則や評価制度といった書面や制度を整えるだけで完結するものではなく、
日常の労務管理や人事運用の見直しを伴うため、短期間で一気に是正することが難しい領域でもあります。
「制度はあるが、運用に自信がない」「プロマーケット上場準備として、どこまで整えるべきか分からない」といった段階からでも、ご相談いただけます。
法務と労務の両面を理解した専門家が関与することで、上場準備を見据えた現実的な整理が可能となりますので、まずは一度、当グループにご相談ください。
