Googleマップやポータルサイト、SNS、比較サイトなどで公開されるレビューは、情報としての価値を持つ一方で、ときに事実無根の内容や悪意のある投稿が企業や個人の信用を著しく傷つけることもあります。
こうした口コミを見て、「何とかして削除したい」と考える方は少なくありません。しかし、削除依頼をしても対応されない、投稿者が不明で対処できない、削除の基準が分からない──そんな悩みを抱えている企業・事業者は数多く存在します。
本記事では、口コミ削除の具体的な方法を7つの手段に整理し、それぞれの対応方法・注意点・法的視点からの助言をわかりやすく解説していきます。
もくじ
- 1. なぜ口コミが問題になるのか?|放置のリスクと削除の必要性
- 2. 口コミの削除依頼の基本的な考え方
- 3. 削除依頼の方法7選|目的・状況別に分類して解説
- 4. 削除できる口コミと削除できない口コミの境界線
- 5. 削除依頼を成功させるためのポイントと注意点
- 6. 弁護士に依頼するべきタイミングと理由
- 7. FAQ|口コミ削除に関するよくあるご質問
- 8. 当事務所の口コミ削除対応サポートのご紹介
1. なぜ口コミが問題になるのか?|放置のリスクと削除の必要性
1-1. 信頼や売上に直結するネット上の口コミの影響力
現代の消費者は、商品やサービスを選ぶ前に口コミをチェックすることが当たり前になっています。特に飲食・美容・医療・士業・教育などの分野では、顧客の来店・契約の意思決定に直接影響するほどの力を口コミが持っています。
たとえば、Googleマップで検索して表示された店舗に低評価が並んでいれば、それだけで来店を敬遠されることもあります。逆に、高評価の口コミが多ければ、安心感を持って選んでもらえる可能性が高まります。
ネット上の口コミはデジタル時代の“企業の評判”そのものであり、口コミ対応はブランド価値の維持と同義となります。
1-2. 悪質な口コミを放置するとどうなるか?
悪意ある口コミや根拠のない低評価をそのままにしておくと、以下のようなリスクが現実のものとなります。
- 新規顧客が減少し、売上に直結する
- 求人応募者が激減し、人材確保に支障が出る
- 既存顧客の信頼を失い、解約・離脱に至る
- 風評被害がエスカレートし、SNS炎上・マスコミ報道につながる
加えて、口コミを見た他のユーザーによる「便乗投稿」が続けば、企業側が沈黙していることが“暗黙の承認”と受け取られ、さらなる拡散・信頼低下を招くことにもなりかねません。
2. 口コミの削除依頼の基本的な考え方
2-1. 削除できる口コミと削除が難しい口コミの違い
口コミの削除を検討する際に、まず理解しておきたいのが「すべてのネガティブな投稿が削除対象になるわけではない」という点です。
削除されるかどうかは、各プラットフォームのガイドラインや、日本の法律(名誉毀損・信用毀損・侮辱・プライバシー侵害など)に照らして判断されます。
削除が認められやすい投稿の例
- 実在しない出来事を事実のように記述している
- 特定の従業員や個人を誹謗中傷している
- 営業妨害を目的とした明らかに悪意ある投稿
- 個人情報(氏名・電話番号・住所など)を含む投稿
削除が難しい投稿の例
- 接客やサービスに対する「印象」「感想」
- 表現がややネガティブであっても事実に基づいている内容
- 投稿者が実際の利用者で、批判の根拠が明示されているもの
重要なのは、「嫌だから」「納得できないから」という理由だけでは削除されないという点です。
削除されるかどうかは、表現の自由とのバランス、客観的な違法性の有無がカギになります。
2-2. プラットフォーム別に異なる削除基準とは?
口コミを削除できるかどうかは、投稿されているプラットフォームによって大きく異なります。
それぞれの運営会社が独自の「コンテンツポリシー」や「ガイドライン」を定めており、削除基準もまちまちです。
| プラットフォーム | 削除対応の傾向・特徴 |
|---|---|
| Googleマップ | 削除基準は明確。AI+人力審査。即時対応は困難なことが多い。 |
| 食べログ・ホットペッパー | 運営会社への申し立てが可能だが、明確な証拠が必要。 |
| SNS(X・Instagram) | ルール違反の報告可能。だが“意見”は削除されにくい。 |
| 求人口コミサイト(OpenWork等) | 削除難易度が高め(特にOpenWorkは一度投稿された内容の削除は不可というシステムになっている)。法的請求が必要になるケースが多い。 |
口コミを見つけたら、まずはそのサイトの削除ルールを確認することが第一歩です。運営が日本企業か、海外企業かによっても対応のスピードや柔軟性に差があります。
2-3. 削除ではなく返信や逆SEOを選ぶべきケース
すべての悪評に対して「削除」だけを目指すのは現実的ではありません。
むしろ、次のようなケースでは削除にこだわるよりも“うまく返信する”または“目立たなくする”という対応のほうが合理的です。
- 批判の内容が事実に基づいており、誠実な対応が求められる場合
- 削除を試みても対応される可能性が低い場合
- 削除申請によって投稿者の怒りを逆なでし、炎上するリスクがある場合
このようなときには、
- 丁寧な返信で誤解を解消し、誠実な姿勢を見せる
- 良い口コミを増やして、全体の評価を改善する
- 検索順位を下げる「逆SEO」で風評の可視性を下げる
といった方法も選択肢となります。“削除すること”がゴールではなく、“信用を守ること”が本来の目的であることを意識しましょう。
2-4. 削除依頼の“やりすぎ”が招く逆効果に注意
口コミ削除に関して注意したいのが、「削除依頼が多すぎる」「あらゆる投稿に過剰反応してしまう」といった対応です。
このような過剰な削除依頼は、以下のような逆効果を招く可能性があります。
- プラットフォーム側から「不適切な報告」と見なされ、審査が通りにくくなる
- 投稿者に“削除を強要された”と認識され、報復的な書き込みが増える
- インターネット上で「隠蔽しようとしている企業」と拡散される
したがって、削除対応はあくまで“戦略的に選択的に行う”ことが大切です。
対応の是非に迷う場合は、初期段階から弁護士などの専門家に相談し、法的妥当性を判断してもらうのが安全です。
3. 削除依頼の方法7選|目的・状況別に分類して解説
口コミの削除方法には、「自分でできる方法」から「法的手段による対応」までさまざまな選択肢があります。
ここでは、対応の難易度・効果・注意点などを踏まえながら、実務で使える削除方法を7つに整理してご紹介します。
3-1. 【方法①】Googleマップ上の口コミを自分で報告する
最も手軽で基本となる対応方法が、Googleマップの口コミの「違反報告機能」を使って、削除依頼を出す方法です。
手順
- Googleマップで対象の口コミを開く
- レビュー右上の「︙(縦の3点マーク)」をクリック
- 「レビューを報告」を選択
- 適切な報告理由(スパム、不適切な内容、なりすまし等)を選んで送信
ポイントと注意点
- 報告理由はGoogleのコンテンツポリシーに即して選ぶことが重要です。
- 明確な違反がないと削除は認められません。感情的な不満ではなく、“ルール違反の証明”が必要です。
- AIと人力審査が行われ、数日〜2週間程度で対応されることが多いですが、通知は来ないことが一般的です。
Googleの審査に通るかどうかは、「違反の明白さ」と「報告の論理性」によって大きく左右されます。
3-2. 【方法②】運営会社・プラットフォームへ直接申立て
Google以外の口コミサイトや比較サイト、ポータルサイトなどでは、運営会社が独自に設けている「問い合わせフォーム」や「違反報告窓口」から直接削除申請を出すことができます。
例
食べログ・ホットペッパー
レビュー違反報告フォームあり
病院なび・EPARKなど
電話・Web経由での申し立て可
SNS(X、Instagram)
ツイート・投稿単位で報告可能
申立ての際に必要な情報
- 問題のURLまたはスクリーンショット
- 削除を求める理由(どのガイドラインに違反しているか)
- 投稿者の虚偽記載や悪意を具体的に説明する文言
注意点
- ガイドラインに明確に反している場合は削除される可能性あり
- 「サービスに不満だった」「印象が悪かった」といった主観的な感想に対する削除は非常に通りにくいです
- 複数回の通報や、専門家からの申立てのほうが対応されやすい傾向もあります
3-3. 【方法③】悪質な投稿者に直接連絡(慎重な選択肢)
投稿者が明らかに実名・企業名などで書き込みをしている場合、直接コンタクトを取って削除を依頼する方法もあります。
ただし、これは非常にデリケートな対応であり、以下のような条件が整っていない限り推奨されません。
向いているケース
- 投稿者が実際の顧客や元従業員で、身元が判明している
- 記載内容が明らかな誤解や勘違いに基づいている
- 事実関係の訂正や説明で納得が得られる可能性がある
注意点
- 感情的な対応は逆効果。丁寧かつ冷静なやりとりが必要です
- 返信や謝罪が逆に“認めた”と取られるリスクもある
- 交渉に失敗すると、口コミの修正どころか追加投稿される可能性もある
弁護士が介入して内容証明郵便や警告書を送付することで、より穏当かつ効果的な交渉ができるケースもあります。
3-4. 【方法④】内容証明郵便での削除要請(弁護士関与)
投稿者の身元が判明している場合、内容証明郵便を使って「削除を求める正式な通知」を送る方法もあります。
これは、弁護士から法的な根拠を基に削除依頼を求めることで、投稿者にプレッシャーをかける効果があります。
内容証明郵便とは?
- 差出人が、いつ、誰に、どんな内容を送ったかを郵便局と第三者(裁判所など)に証明できる特殊な文書送付方法です。
- 特に弁護士名義で送付された場合、「放置すれば法的手続に移行する可能性がある」と受け止められやすく、抑止効果が高いです。
この方法の効果
- 投稿者が削除に応じる可能性が高まる
- 内容によっては投稿を取り下げた上で謝罪を申し出るケースもある
注意点
- 脅迫的にならないよう文面には慎重な配慮が必要
- 法的拘束力はないため、応じてもらえない場合はさらに手続が必要
3-5. 【方法⑤】発信者情報開示請求(法的手続)
投稿者が匿名である場合、直接口コミの削除を求めたり、損害賠償請求を行ったりするには、まず「誰が書いたのか」を特定する必要があります。
そのための法的手続が「発信者情報開示命令申立」です。
これは、情報流通プラットフォーム対処法に基づき、裁判所を通じて、口コミサイト運営者(コンテンツプロバイダ)に対して口コミが書き込まれた際のIPアドレスや投稿日時(タイムスタンプ)を、通信事業者(アクセスプロバイダ)に対して投稿者の氏名や住所などの開示を求める手続きです。
開示請求の対象となる情報例
- IPアドレス
- 投稿日時
- 契約者氏名・住所・連絡先(プロバイダ経由での開示)
開示請求の流れ(概要)
- サイト運営者(Google、食べログなど)に対し、IPアドレス等の開示請求
- 開示されたIPアドレスをもとに、インターネットプロバイダに契約者情報の開示請求
- 契約者(=投稿者)が判明し、訴訟や交渉へ移行可能に
開示請求のポイントと注意点
- 弁護士でなければ対応不可の専門的な手続です
- 発信者情報は保存期間が限られており、早期の対応が極めて重要です(最短で3か月程度で消去される)
- 裁判所の許可が必要で、数か月〜半年以上かかるケースもあります
投稿者を特定できれば、削除請求や損害賠償請求への道が開けますが、対応には費用・時間・法的知見が必要となるため、専門家への相談は必須です。
3-6. 【方法⑥】仮処分・訴訟による削除請求
口コミが名誉毀損・信用毀損・業務妨害など、法的に違法と評価される場合には、裁判所を通じて「削除命令」や「損害賠償命令」を求めることが可能です。
中でも、削除を急ぐ場合には「仮処分」という手続が有効です。
仮処分とは?
- 本訴訟を起こす前に、一定の緊急性があるときに裁判所が暫定的な救済措置を命じる制度
- サイト運営者に対し、裁判所から削除命令が下されることもあります
削除請求が認められるための要件
- 投稿が虚偽である、または真実でも社会的評価を不当に低下させる内容である
- 名誉毀損や業務妨害と評価できる程度の悪質性
- 削除による回復が必要かつ緊急性がある
仮処分と本訴訟の違い
| 手続 | 特徴 | 所要期間 |
|---|---|---|
| 仮処分 | 緊急性重視。削除を一時的に命じる | 約1〜3ヶ月 |
| 本訴訟(民事) | 名誉毀損等を理由とした損害賠償・恒久削除を求める | 約6ヶ月〜1年以上 |
注意点
- 弁護士による申立てが必須です
- 費用は20万円〜50万円以上かかることが一般的です(内容・地域による)
- 手続に時間と労力がかかるため、効果・費用対効果を事前に検討すべきです
3-7. 【方法⑦】逆SEOや風評対策会社の活用
口コミの削除が困難な場合や、すでに広く拡散されている場合には、「削除ではなく“見えにくくする”」というアプローチも有効です。
その一つが「逆SEO(リバースSEO)」という手法です。
逆SEOとは?
- ネガティブなページよりも、ポジティブなページを検索上位に表示させることで、悪評のページの可視性を下げる対策手法
- 悪評ページを“埋もれさせる”というイメージです
具体的な対策内容(業者によって異なる)
- 公式サイトやブログなどの発信強化
- ポジティブな口コミ・記事・メディア露出の増加
- 検索エンジン最適化(SEO)に基づいたコンテンツ設計
メリットと注意点
メリット
• 削除できない口コミにも対応可能
• 拡散・炎上リスクを下げられる
• 自社のブランド価値を高める広報戦略にもつながる
注意点
• 実施には時間とコストがかかる(数十万円〜)
• ステルスマーケティング(やらせレビュー)など違法行為に関与しないこと
弁護士との併用が有効
逆SEOだけでは違法性のある投稿を根本的に排除できないため、弁護士が対応する法的措置と併用することで、より実効性の高い風評対策が可能です。
4. 削除できる口コミと削除できない口コミの境界線
口コミの削除対応を進める上で、多くの方が疑問に感じるのが、「どの口コミが削除の対象になるのか?」「これは本当に違法と評価されるのか?」という点です。
削除の可能性を見極めるには、投稿内容の性質・表現方法・違法性の有無を、法律的な視点から丁寧に判断する必要があります。
4-1. 表現の自由とのバランス
口コミ削除の可否を判断する上で欠かせない考慮要素が、「表現の自由」とのバランスです。
日本は憲法で国民に表現の自由を保障しています。そのため、たとえ企業にとってネガティブな内容であっても、消費者の正当な意見や感想であれば、原則として削除対象にはなりません。
一方で、表現の自由にも限界があります。以下のような投稿は、法的保護の範囲を超えると判断され、違法な名誉毀損や業務妨害、侮辱などとして削除の対象になることがあります。
- 明らかに虚偽の事実を書いている
- 特定個人を中傷・攻撃している
- 営業を妨害する意図が読み取れる
- 他の読者に誤解を与えるような悪意ある表現
4-2. 「事実」と「意見」はどこが違う?
法的に重要なのが、「事実の摘示(じじつのてきじ)」と「意見・論評」の違いです。
| 区分 | 内容例 | 削除可能性 |
|---|---|---|
| 事実の摘示 | 「このクリニックは診療ミスで患者を死なせた」 | 高い(虚偽であれば名誉毀損) |
| 意見・論評 | 「この店の接客は最悪だった」 | 低い(感想・印象にとどまる) |
事実の摘示は、書かれている内容が真実かどうかが争点になります。一方、意見・感想は、それがたとえ強い批判を含んでいても、表現の自由として保護されやすい傾向にあります。
4-3. 感情的ではなく、法的に整理する
企業側が口コミを読むときには、「不快」「納得いかない」といった感情が先行しがちですが、法的な対応をとるためには“客観的視点”が重要です。
対応を検討する際は、以下のようなチェックリストで整理するとよいでしょう。
- 投稿内容に事実の誤りや虚偽があるか?
- 具体的な被害や損害が発生しているか?
- 投稿者は実際の顧客か、なりすましか?
- 言葉遣いは中傷的・脅迫的ではないか?
冷静に内容を見極めることで、感情的な衝突を避け、適切な手段を選択する判断が可能になります。
5. 削除依頼を成功させるためのポイントと注意点
口コミの削除対応は、一見シンプルに見えても、実際には判断の難しいポイントや見落としやすい落とし穴が多数存在します。
この章では、削除依頼を成功させるために重要な考え方や実務的な注意点を整理して解説します。
5-1. 感情的な対応を避ける
最も大切なのは、「感情的にならないこと」です。口コミを読んで腹が立ったり、納得できない内容に対して衝動的に連絡を取ったりすると、投稿者との対立が深まり、さらに悪化した口コミを生む“報復投稿”や“炎上”に発展するおそれがあります。
あくまで「事実ベース」で、法的・倫理的に正当な対応を行うことが信頼を守るうえで不可欠です。
5-2. 証拠を集め、事実に基づいて申し立てる
削除依頼を行う際には、「主観的な主張」よりも、「客観的な証拠」が何よりも重視されます。
例
- 店舗側の記録(予約状況、来店履歴、接客対応の履歴)
- レシート、メール、チャット履歴などのやりとり
- 投稿が虚偽であることを示す内部情報や書類
- 同様の悪質投稿が複数確認されている証拠
これらの証拠を提示することで、運営側や裁判所が“削除の正当性”を判断しやすくなるため、事前の情報整理が極めて重要です。
5-3. プラットフォームの規約を理解した上で対応する
削除依頼を出す際には、各プラットフォームが定めている「投稿ガイドライン」や「利用規約」を正確に理解しておくことが成功の鍵になります。
たとえば、Googleのコンテンツポリシーでは以下のような行為を禁止しています。
- 虚偽の内容やなりすまし
- 嫌がらせ、差別、暴力的表現
- 個人情報の不適切な公開
- スパム的な大量投稿、営業妨害
これらに該当するポイントを、削除依頼時に的確に指摘することで、「ルール違反として削除対象である」と判断されやすくなります。
5-4. 自社での対応限界を見極め、外部専門家を活用する
削除依頼は、最初の段階では自社でもある程度対応可能ですが、以下のような場合は専門家(弁護士など)を早めに活用すべきです。
- 投稿者が匿名で、誰か分からない
- 通常の削除申請では対応されなかった
- 投稿が明らかに名誉毀損・信用毀損のレベルに達している
- 一度削除依頼した投稿が再投稿・拡散されている
弁護士に相談すれば、削除可能性の判断→開示請求→仮処分→損害賠償まで、必要に応じた対応を一貫して行えます。
また、投稿者との直接のやりとりを避けられるという意味でも、冷静かつ安全な対応が可能です。
6. 弁護士に依頼するべきタイミングと理由
口コミ削除の対応を検討する中で、「どの段階で弁護士に相談すべきか」が分からないという方は少なくありません。
この章では、弁護士に相談すべき代表的な場面や、依頼するメリット、他のSEO対策会社との違いをわかりやすく解説します。
6-1. 削除交渉・仮処分・開示請求をスムーズに進めるために
口コミ対応の中でも、次のようなケースでは法的手続を前提とした対応が必要になります。
- 削除申請をしても運営会社が応じてくれない
- 投稿者が誰か分からず、開示請求を検討したい
- 名誉毀損や業務妨害が明らかで、速やかに削除したい
- 再投稿や拡散など、悪質な二次被害が出始めている
こうした場合、弁護士による対応でないと前に進められない段階に入っていると判断できます。
弁護士は、開示請求・仮処分・訴訟・交渉など、あらゆる法的手段を駆使して迅速な削除や賠償請求が可能です。
6-2. 弁護士に依頼する場合の費用感と流れ
弁護士に依頼した場合の費用は、事案の難易度や対応範囲によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 削除可能性の調査・アドバイス | 3〜5万円(単発相談) |
| 内容証明郵便による削除要請 | 5〜10万円前後 |
| 発信者情報開示請求(簡易裁判) | 15〜30万円+実費 |
| 仮処分申し立て(削除請求) | 20〜50万円+実費 |
| 損害賠償請求訴訟(本訴) | 着手金20万円〜+報酬金制 |
上記はあくまで目安であり、地域や事務所によって異なりますので、実際に依頼する前に各事務所の報酬規程を確認されるようにしてください。
6-3. 弁護士と逆SEO対策会社をどう使い分けるか
口コミ対応では、「弁護士に法的削除を依頼する」「逆SEO対策業者に可視性を下げる対策を依頼する」という2軸のアプローチを組み合わせることが有効です。
弁護士が得意な対応
- 違法性の判断
- 削除命令(仮処分・裁判)
- 投稿者への直接請求(開示・賠償など)
逆SEO業者が得意な対応
- ネガティブ情報の検索順位下げ
- 自社コンテンツの上位表示対策
- ポジティブレビューの促進・運用支援
つまり、「削除すべき内容」には弁護士、「削除できないが目立たせたくない内容」には逆SEOという使い分けが効果的です。
7. FAQ|口コミ削除に関するよくあるご質問
Q1. 削除依頼は個人でもできますか?専門家に頼まないと削除されませんか?
A. 個人で削除申請を行うことは可能です。特にGoogleやポータルサイトなどでは、一般利用者でも「違反報告」や「フィードバック」を通じて申請を出すことができます。ただし、削除の可否は投稿内容がプラットフォームのガイドラインに明確に違反しているかどうかに依存します。対応文言や証拠の整理が不十分だと却下されやすいため、法的な主張や客観的証拠の整理が必要な場合は、弁護士に相談する方が削除成功率が高まる場合があります。
Q2. 削除された口コミがまた再投稿されたら、どうすればよいですか?
A. 削除された投稿と同様の内容が再投稿された場合、それは“執拗な投稿による名誉毀損”や“業務妨害”と評価される可能性が高くなります。再投稿のたびに対応するのではなく、発信者情報を特定した上で、差止請求や損害賠償請求を含む法的対応に移行することが望ましいです。また、再投稿の証拠(スクリーンショット・URL・タイムスタンプなど)を残しておくことが大切です。
Q3. 従業員や元従業員が書いた口コミでも削除できますか?
A. 可能です。ただし、内部事情を知っている関係者による投稿は、“信ぴょう性がある”と受け取られやすいため、削除のハードルはやや高めです。一方で、業務上知り得た情報を公開している場合や、会社の信用を不当に落とす内容であれば、十分削除対象となります。また、退職トラブルが背景にある投稿は、個人攻撃や私怨による投稿とみなされやすく、法的削除請求が通る可能性も高いです。
Q4. 一度でも削除された投稿者からの新規投稿を防ぐ方法はありますか?
A. 技術的に投稿自体を事前にブロックすることは困難ですが、発信者が特定されている場合には「接触禁止」や「再投稿禁止」を内容とする通知文や合意書を交わすことで一定程度防ぐことが可能です。また、繰り返し悪質な投稿を行う人物については、警察や裁判所を通じて差止命令や刑事告訴を検討できる場合もあります。再投稿を防ぐためにも、最初の段階で毅然とした対応を取ることが重要です。
8. 当事務所の口コミ削除対応サポートのご紹介
口コミ対応は、「削除できるかどうか」だけでなく、「どう見られるか」「どこまで対応するか」「再発をどう防ぐか」まで考えるべき総合戦略です。
当事務所では、弁護士による法的な対応にとどまらず、IT対策・広報戦略・運用サポートを組み合わせた実践的な支援を提供しています。
特に裁判所を通じた削除請求や開示請求は、法的知見と実務経験がなければ対応が困難であるため、できるだけ早急に弁護士へ依頼をされるほうがスムーズです。
また、顧問契約による継続的な風評管理支援として、継続的なネットモニタリング・発見即対応・従業員教育支援など、企業の風評管理全体をサポートしています。
「この口コミ、放置していいのかな?」「一度削除申請して断られたけれど、まだ手はある?」口コミについての不安を抱えている企業の方は、ぜひ一度ご相談ください。
