解決事例一覧

職場内でのハラスメント申告を受け、被害者配慮と適切な対応の在り方が問われた事例

2026.01.30
業種 小売業
企業規模 従業員50名以下
カテゴリ ハラスメント
担当弁護士 中山 恵
ご契約方法 フレックス顧問契約

ご相談時のご状況

女性従業員から、男性従業員によるセクシュアルハラスメント被害の申告があり、会社としてどのように対応すべきか分からないとのご相談を受けました。

被害の申告内容は、業務中に、身体に触れられる行為が複数回あったというものでした。
会社としては、従業員からのハラスメント申告を重く受け止め、被害者が安心して就労できる環境を確保する必要があると認識していました。
一方で、当事者間で認識に相違がある可能性も踏まえ、事実関係を慎重に確認したうえで、感情的・拙速な判断を避け、職場全体にとって適切な対応を検討したいという意向を持っていました。
また、被害申告があった時点では、明確な面談記録の整備や社内調査が十分に行われておらず、どのような順序・方法で事実確認を行うべきかについてもノウハウがなく、悩まれている状況でした。

解決・改善に向けた当事務所のアドバイス・対応

当事務所では、感情的な評価や結論を急ぐことを避け、まずは当事者双方に再度ヒアリングを実施して客観的な事実確認を慎重に行い、判明した事実に基づき必要な処分を検討するといった段階的なプロセスを講じる必要性をお伝えしました。
また、ヒアリングに関しては、社内の担当者による聞き取りでは、被害者としては、「会社が加害者をかばうのではないか」「自分の立場が悪くなるのではないか」という不安を抱く場合も多く、また、会社の担当者としても、自らヒアリングを行った際の不適切な言動で二次被害を引き起こしたりするリスクを恐れていたため、弁護士による当事者への直接のヒアリングを実施しました。
なお、ヒアリングにおいては、「発生日時」「場所」「当時の状況(立ち位置、距離、会話内容等)」「これまでに同様の被害の有無及びその内容」等の客観的事実を中心に確認しました。特に加害者に対しては、「わざとかどうか」という主観ではなく、「触れたか否か」「どの部位にどのように当たったのか」といった客観的事実を丁寧に確認し、両者の認識に食い違いがある場合は、その点を明確に整理するようにしました。
なお、被害者からは、「謝罪してほしい」との要望が出ていましたが、事実関係について当事者間で認識の一致がない状況で、一方的に謝罪を強制することはできない点についても、法的観点から説明を行いました。

適正な事業運営にあたってのポイント

ハラスメントへの対応については、「これまで問題がなかった」という認識のまま、ルールや対応フローが未整備の状態で運営されているケースも少なくありません。
しかしながら、ハラスメント問題はどのような会社でも起こりうる問題であり、体制整備は必要不可欠です。特に、セクシュアルハラスメントは、非常にセンシティブな性質のため、対応を誤れば、被害者の精神的な苦痛を広げるだけでなく、職場の秩序崩壊や、会社の信用失墜につながりかねず、迅速かつ適切な初動が求められます。他方で、一方当事者の言い分を鵜呑みして拙速な判断をしてしまうと、他方当事者からの不満を募らせ、後日新たな紛争に発展するリスクもあり、客観的で公平な手続の担保が必要です。
そのためには、「相談を受けた際、誰が・どの順序で・どのように対応するのか」「当事者双方からのヒアリングをどのように行うのか」「懲戒や配置転換等を検討する際の判断基準をどう設けるのか」といった点を事前に整理しておくことが重要です。
ハラスメント対応における予防法務のポイントは、「問題を起こさないこと」ではなく、
「問題が起きたときに、適切に対応できる体制を整えておくこと」にあります。

当事務所では、「ハラスメント相談が生じた場合の対応フローの整理」「社内規程・相談窓口体制の整備」「実際の事案を想定した運用面でのアドバイス」などを通じて、トラブルが深刻化する前段階でのリスク管理を重視したサポートを行っています。

ハラスメント対応に不安がある場合や、「何か起きたときに、今の体制で本当に対応できるのか」と感じたときは、問題が顕在化する前の段階でのご相談をおすすめします。

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