| 業種 | 士業事務所 |
|---|---|
| 企業規模 | 従業員50名以上 |
| カテゴリ | 誹謗中傷・風評被害・コンプライアンス |
| 担当弁護士 | 中山 恵 |
| ご契約方法 | フレックス顧問契約 |
ご相談時のご状況
税理士事務所である顧問先様より、相続税申告に関するクレーム対応についてのご相談を受けました。
本件では、相続税申告自体はすでに法定期限内に適切に完了しており、申告内容や税額についても特段の問題は生じていませんでした。しかし、電子申告(e-Tax)に関連する手続の過程において、相続人様が既に保有していた「利用者識別番号」について、新規取得の手続を行ってしまったことにより、従前の番号が上書きされる事態が発生しました。
その結果、過去に当該番号を用いて行われた申告に関する通知書等を、システム上で確認できなくなったことから、相続人様より強いご不満が表明されることとなりました。もっとも、過去の申告内容自体に誤りはなく、書面等により申告内容を確認する手段は残されており、実際に税務上の不利益や損害が発生しているわけではないという状況でした。
顧問先様も税理士事務所として、本件を重く受け止め、完了金の請求は行わない、そして今後、当該相続人様の所得税申告等において電子申告が必要となった場合には無償で対応するといった誠意ある対応を提示していましたが、それでもなお相続人様のご理解を十分に得るには至らず、当事務所が代理人としてクレーム対応にあたることとなりました。
解決・改善に向けた当事務所のアドバイス・対応
当事務所では、まず弁護士が代理人として正式に受任し、受任通知を送付した上で、相手方との窓口を一本化しました。これにより、感情的なやり取りや認識の食い違いが生じやすい状況を整理し、冷静な協議を行うための土台を整えました。
弁護士が相続人様から丁寧にお話を伺ったところ、相続人様の主なご要望は、「今回の手続上のミスについて、きちんと税理士会に報告してほしい」という点にあることが判明しました。
本件については、税理士会への事故報告義務は法令上存在しないものでしたが、顧問先様としては、事態の早期収束と信頼回復を最優先とする方針でした。そこで当事務所は、顧問先のご意向を踏まえ、任意ではあるものの、代理人として管轄税理士会に対し本件の経緯を説明する報告を行う対応を選択しました。
その後、税理士会へ報告を行った事実と今後の対応方針について相続人様に丁寧に説明した結果、相続人様にも一定のご理解をいただくことができました。
最終的には、「本件に関する紛争が解決したこと」「今後、本件について新たな請求や申立てを行わないこと」「顧問先様の信用や業務に悪影響が及ぶことを防ぐための口外禁止条項」などを盛り込んだ合意書を取り交わし、円満に和解が成立しました。
適正な事業運営にあたってのポイント
本件では、税務上の実害が生じていないにもかかわらず、手続上のミスがクレームに発展した、士業において少なからず起こり得る典型的なケースでした。
当事務所が代理人として介入したことで、相手方の感情を受け止めつつ、事実関係を冷静に整理でき、法的義務と任意対応の範囲を明確に区別した上で交渉を進めることが出来ました。また、合意書を締結することで、紛争の再燃や風評被害のリスクを未然に防止できた点も、円満解決につながった大きな要因といえます。
士業事務所におけるクレーム対応では、「法的に正しい対応が出来ているか」という点だけでなく、「どのように収束させ、顧客からの信頼を回復し、事業への影響を最小限に抑えるか」という視点が極めて重要です。
当事務所では、税理士事務所をはじめ、社会保険労務士事務所や行政書士事務所など、士業の顧問先様に対し、クレーム対応やトラブル予防を含めた実務的なサポートを行っております。同様の問題でお悩みの際には、早期の段階で弁護士にご相談いただくことで、リスクを抑えた解決が可能となります。
士業の皆様が安心して業務に専念できるよう、当事務所では引き続き幅広いサポートを提供しておりますので、さまざまな場面でお困りの際には、ぜひご相談ください。
