業種 | IT業(システム・ソフトウェア開発) |
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企業規模 | 従業員50名以上 |
カテゴリ | 契約書・規程整備・解雇・退職 |
担当弁護士 | 久富 達也 |
ご契約方法 | フレックス顧問契約 |
ご相談時のご状況
今回ご紹介する案件の依頼者様は、弊所の顧問先からご紹介いただいた企業様です。
ご相談のきっかけは、代表取締役の交代を円滑に進めたいというご依頼でした。急を要する事案であり、次の決算のタイミングに合わせてスムーズに進行させる必要がありました。また、現状揉めているわけではなかったため可能な限り、話合いによる円満な解決を望まれていました。
解決・改善に向けた当事務所のアドバイス・対応
当事務所では、まず急ぎのスケジュールを踏まえた進行計画を立案しました。
対応策としては、社内での話合いがまとまらなければ解任の手続をとることも考えられる状況ではありましたが、旧代表者と新経営陣との対立が先鋭化していたわけではなかったため、旧代表者が納得できそうな条件を提示して、解任ではなく自ら辞任してもらうことが望ましいと考えられるところでした。
そこで、旧代表者の希望も踏まえ、辞任の条件として相当の退職慰労金を支払うこと、一定期間は役員又は従業員の立場で社内にとどまってもらい、報酬又は給与を支払うこと等の条件を提示することとし、それぞれの金額や支払時期、支払方法等を詰めていきました。
旧代表者は、当初は、取締役からの辞任は概ね了承したものの、雇用契約の形態に拘っていました。それでも、最終的には、一定期間継続して報酬を支払うこと等を約束し、業務委託契約を新たに締結して、「外部顧問」という役職に就いてもらうこととなりました。なお、今後の会社経営の安定化のため、旧代表者が保有していた株式は、段階的に新代表者へ譲渡してもらうことも併せて合意しました。
この過程で、旧代表者に外部顧問の職に就いてもらうための業務委託契約書、株式譲渡契約書、新代表者を選任するための株主総会の招集通知や議事録をはじめ、必要な書類を当事務所で作成し、法的手続を円滑に進めました。併せて、会社の変更登記手続(旧代表者の辞任登記と新代表者の就任登記)も、当事務所のグループ法人である司法書士法人に依頼し、期限内に手続を完了しました。
また、本件の対応を行う中で、ご依頼者様には役員退職金規程が整備されていなかったことが分かったため、役員退職金規程の作成及び関連する規程のリーガルチェックを行いました。
適正な事業運営にあたってのポイント
企業の成長に伴い、経営体制の見直しやガバナンスの再構築が必要となる局面は、必ずといってよいほど訪れます。特に創業者や長年代表を務めてこられた方からのバトンタッチは、企業にとって極めてセンシティブな事案であり、手続の透明性と円滑な合意形成の双方が求められます。
当事務所では、法的観点からのリスクマネジメントのみならず、当事者間の信頼関係を損なわない柔軟な調整を重視し、企業様の実情に即した提案と対応を行っております。役員の交代を含めた企業運営、取締役会や株主総会の運営と関連する諸手続、また役員報酬・退職金の制度をはじめとする各種規程の整備等を検討されている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。