解決事例一覧

【医療機関】健康上の理由による長期休職職員への復職・雇用継続についての対応事例

2025.06.09
業種 医療機関
企業規模 従業員50名以下
カテゴリ その他(復職)
担当弁護士 中山 恵
ご契約方法 フレックス顧問契約

ご相談時のご状況

顧問先様より、私傷病による病気療養中の職員に関する雇用継続についてのご相談がありました。
当該職員はこれまでにも体調不良により入退院や長期の休養を繰り返しており、ご相談当時も数カ月にわたって休職している状況でした。本人からは復職の意思が示されていたものの、過去に体調の急変により救急搬送された経緯もあり、通常どおりの業務復帰を認めることが適切か判断に悩まれていました。また、今後の体調次第では休職期間が延長される可能性もある一方で、復職可否に関する意思表示を行うことで、本人が無理に退院・復職を希望するリスクもありました。さらに、過去の緊急時において、当該職員が業務用機器を無断で持ち出したまま倒れ搬送されたこともあり、情報管理面での懸念が生じていたことから、その点についてどのように対応すべきかというご相談も併せていただきました。

解決・改善に向けた当事務所のアドバイス・対応

まず、雇用契約書・診断書・休職期間および救急搬送の状況について情報共有をいただき、就業規則に照らして検討を行いました。特に本件のように、入退院を繰り返し、情報管理上の問題も生じている場合においては、たとえ本人から復職の申出があったとしても、直ちに復職を認めるのではなく、復職にあたって一定の条件を設け、復職時に健康状態や勤務継続の可否を再評価する仕組みを整えることが適切と判断しました。また、同様の不調により欠勤・休職となった場合には、休職措置や雇用形態の見直しを行う旨をあらかじめ定めておくことで、今後の対応方針を本人にも明確に伝えておく必要があると考え、これらの内容を反映させた合意書を作成しました。
さらに、再度休職の申出があった場合に備え、これまでの経緯や就業規則の定めに基づき、休職期間満了時までに復職できなければ自然退職となる旨を通知しておくことが望ましいと判断し、休職通知書を作成しました。これらの対応により,安全配慮義務を果たしつつ,労務リスクや情報管理リスクへの備えを講じるとともに,今後の雇用継続に関する整理を円滑に進める体制を整えました。

適正な事業運営にあたってのポイント

健康上の理由で勤務継続の困難が繰り返される場合、雇用を継続するか否かの判断は、事業者側にとって非常に難しいものです。特に、復職に関する判断を誤ると、安全配慮義務をめぐるトラブルや、他の職員への影響にも繋がりかねません。そのため、復職の可否については、医師の診断内容のみならず、業務内容や勤務環境との適合性、過去の勤務状況等を総合的に勘案し、事業者として慎重に判断していく必要があります。また、再発リスクや勤務継続の見通しが不透明な場合には、条件付きでの復職としたり、合意書等により今後の取り扱いを明示しておくことで、トラブルの予防や対応の一貫性確保にも繋がります。当事務所では、就業規則や雇用契約に基づいた制度運用の整理をはじめ、個別の事情に応じた対策のご提案が可能です。事業運営上の判断に迷われた際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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