相続登記の手続きを進める中で、「数次相続(すうじそうぞく)」という言葉を耳にすることがあります。日常生活ではあまり馴染みのない言葉ですが、不動産の相続登記においては決して珍しいケースではありません。
数次相続とは、ある相続が発生した後、その相続手続きが完了しないうちに相続人の一人が亡くなり、さらに新たな相続が発生することをいいます。
相続登記が長年行われていない不動産では、数次相続が発生していることも少なくありません。今回は、数次相続の概要と相続登記への影響について解説します。
数次相続とは
例えば、父が亡くなり、その相続人が母と子ども2人であったとします。
本来であれば、父名義の不動産について相続登記を行うことになります。しかし、相続登記をしないまま数年が経過し、その間に母が亡くなった場合はどうなるでしょうか。
この場合、父の相続手続きが終わっていないにもかかわらず、母について新たな相続が発生しています。
つまり、
1. 父の相続
2. 母の相続
という二つの相続が連続して発生している状態です。
これが数次相続です。
なぜ数次相続が問題になるのか
相続登記を行わずに放置している期間が長くなるほど、関係する相続人が増える可能性があります。
例えば、父の相続を放置している間に母が亡くなり、その後さらに子どもの一人も亡くなった場合、相続関係はさらに複雑になります。
相続人が増えれば、その分だけ戸籍収集や相続関係の確認に時間を要することになります。また、遺産分割協議が必要な場合には、協議に参加する人数も増える可能性があります。
その結果、当初は比較的シンプルだった相続手続きが、数年後には大きく複雑化していることもあります。
相続登記はどのように進めるのか
数次相続が発生している場合、まずはそれぞれの相続について相続人を確定する必要があります。
先ほどの例であれば、
- 父の相続人は誰か
- 母の相続人は誰か
をそれぞれ確認します。
そのため、通常の相続登記よりも多くの戸籍謄本などが必要になることがあります。
また、遺産分割協議を行う場合には、どの相続について協議を行うのかを整理しながら手続きを進める必要があります。
代襲相続との違い
数次相続と混同されやすいものに「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」があります。
代襲相続とは、本来相続人となるはずだった人が被相続人より先に亡くなっている場合に、その子どもが代わって相続人になる制度です。
一方、数次相続は、被相続人が亡くなった後に相続人が亡くなることで発生します。
どちらも相続人が増えるという共通点がありますが、制度としては異なるものです。
相続登記の義務化との関係
令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。
不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行うことが原則として求められています。
相続登記を長期間放置すると、数次相続が発生する可能性が高くなります。関係者が増えることで手続きが複雑化し、必要書類も増える傾向があります。
そのため、相続が発生した際には、できるだけ早い段階で相続関係を確認しておくことが重要です。
まとめ
数次相続とは、相続手続きが完了しないうちに相続人が亡くなり、新たな相続が発生することをいいます。
相続登記を長期間行わないままにしていると、関係する相続人が増え、戸籍収集や相続関係の整理が複雑になることがあります。
また、代襲相続と混同されることがありますが、発生する場面や内容は異なります。
相続登記を検討する際には、まず誰の相続が発生しているのか、現在の相続人は誰なのかを整理することが大切です。特に長年名義変更が行われていない不動産については、数次相続が発生している可能性もあるため、相続関係を丁寧に確認しながら手続きを進めましょう。