不動産を購入したり、相続の手続きをしたりするときに「登記簿謄本（とうきぼとうほん）」という書類を目にすることがあります。現在では正式には「登記事項証明書（とうきじこうしょうめいしょ）」という名称が使われていますが、いまだに「登記簿謄本」という呼び方のほうが一般的かもしれません。では、この書類にはどのような情報が書かれているのでしょうか？今回は登記事項証明書の基本について、できるだけわかりやすくご説明します。

1．登記事項証明書とは？

登記事項証明書とは、不動産の登記記録の内容を証明する公的な書類です。法務局で取得することができ、現在の内容だけを記載した「現在事項証明書」と、過去の履歴も含めた「全部事項証明書」の 2 種類があります。住宅や土地などの不動産が、誰のものであるか、またどのような権利が設定されているかを確認するために使われます。

2．書かれている内容

登記事項証明書は、大きく分けて以下のような情報が記載されています。

2-1. 表題部（ひょうだいぶ）

この部分には、その不動産の物理的な情報が書かれています。たとえば、

• 不動産の種類（宅地、建物など）
• 所在地や地番
• 土地の面積や建物の床面積
• 構造（木造、鉄筋コンクリート造など）
• 建築年

などが記載されており、「どのような不動産か」を特定するための情報がまとめられていま
す。

2-2. 権利部（けんりぶ）

権利部はさらに「甲区（こうく）」と「乙区（おつく）」に分かれています。

甲区：所有権に関する事項

甲区には、その不動産の所有者に関する情報が記載されています。たとえば、

• 所有者の氏名・住所
• 所有権を取得した原因（売買、相続、贈与など）
• 所有権が移転した日付（登記された日）

などです。登記された順番に番号が振られているため、所有権がどのように移り変わったかの履歴もわかるようになっています。

乙区：所有権以外の権利に関する事項

乙区には、抵当権（住宅ローンの担保など）、地役権、賃借権など、所有権以外の権利が記載されています。たとえば、住宅ローンを借りる際に銀行が抵当権を設定する場合、その内容がここに記録されます。
「この不動産の所有権にどんな権利が付いているか」がわかる重要な部分です。売買や相続の際にも必ず確認される項目です。

3．どんなときに必要になるの？

登記事項証明書は、以下のような場面でよく使われます。

• 不動産を売買するとき
• 相続の手続き
• 住宅ローンを組むとき
• 不動産の所有権を証明したいとき

たとえば、家を購入する際には「売主が本当にその家の所有者なのか」を確認する必要があります。登記事項証明書を見れば、現在の所有者が誰なのかがはっきりと記載されているため、安心して取引を進めることができます。

4．どこで取得できる？

登記事項証明書は、全国どこの法務局でも手数料を支払えば取得可能です。また、オンラインで申請して郵送で受け取ることもできます。

5．最後に

登記事項証明書には、不動産に関する非常に重要な情報が詰まっています。難しそうに見えるかもしれませんが、構成や意味を知っておくと、不動産取引や手続きの際に役立つことが多くあります。日常生活ではあまり馴染みがない書類かもしれませんが、「いざというときのために、何が書いてあるのか」を知っておくだけでも安心感が得られるはずです。