上場における会計・税務面整備の重要性
プロマーケット市場への上場においては、投資家や取引先、金融機関に対して開示される財務情報が、プロ投資家を前提とした市場に耐えうる内容かどうかが確認されます。
そのため、プロマーケット市場への上場準備においては、単に直近の決算数値が整っているかではなく、上場企業としての会計基盤が十分に整っているか・上場後も維持できるのかという観点での整備が必要です。
特にプロマーケット(東京プロマーケット・TOKYO PRO Market/福岡プロマーケット・Fukuoka PRO Market)では、形式的な数値基準以上に、会計・税務をどのように管理し、経営判断に活かしているかが重視されるため、事前整備の質が上場準備全体を左右します。
上場時に会計・税務面がチェックされる理由
上場企業は、投資家や取引先、金融機関に対して継続的に正確な財務情報を開示する責任を負います。
プロマーケット市場への上場においても上記は必須となるため、上場準備においては、次のような点を重点的に確認し、上場後も継続して正確性のある税務・財務処理ができるのかが審査されることとなります。
●会計処理が一定の基準に基づいて一貫して行われているか
●税務上の処理について、将来的なリスクを内包していないか
●会計・税務の処理が、経営の意思決定と整合した形で行われているか
J-Adviser/F-Adviserの役割と関与方法
プロマーケット市場に上場するにあたっては、J-Adviser(FPMではF-Adviser)といわれる上場前の審査・確認や上場後の助言・指導を委託された機関が関与することとなります。
そして、会計・税務面については、他の法務面・労務面と比較するとJ-Adviserの方で深めに確認をしてくれる部分となっています。
ただし、実務の実行責任や数値の改善(例:売上や利益の改善)は、企業自身や監査法人・税理士側の支援領域となります。
そのため、売上や利益水準が極端に低い、あるいは会計・税務処理に重大な不整合があるような場合には、審査段階で上場の適格性に疑義が生じる可能性がありますが、その改善自体をJ-Adviser /F-Adviser が直接支援する範囲には含まれません。
売上利益の改善や会計数値の是正については、最初の段階で監査法人や税理士等の専門家と連携し、内部で整備しておく必要があります。
会計・税務面で整備すべき事項
では、具体的に自社で整備・修正対応等が必要となりやすい点はどういった点でしょうか?
ここでは、J-Adviser/F-Adviserへのご相談段階で、企業として大枠を決めておく必要がある整備すべき事項の例をご紹介します。
会計基準の整備
プロマーケット市場への上場準備において、まず確認すべきは会計基準が適切に定められているかという点です。
上場審査では次のような点を確認することで、会社の会計処理が毎期同じ基準で適切に処理されているかを判断します。
●売上計上のタイミングや方法が明確に定まっているか
●原価や費用の計上ルールが部署や担当者によって異なっていないか
●会計処理の判断を、特定の担当者の経験や勘に依存していないか
過去の決算処理が正しいかという点だけではなく、上場後も同じルールで継続的に財務情報を作成できるかという点を見極める目的もありますので、現時点で決まった画一的な会計処理基準がない場合はまずはルールの策定が必要です。
税務戦略の策定
プロマーケット市場では、税務上の処理が過去に問題とされていないかどうかだけでなく、上場後の事業運営や資本政策を前提としたときに、将来的なリスクを内包していないかという視点で確認が行われます。
例えば、組織再編や資金調達を想定した場合に税務上どのような影響が生じるのか、過去に採用した税務処理がその足かせにならないか、といった点は、上場準備の過程で確認しておかなければなりません。
次のような点は、特に重点的に整理をしておきましょう。
●過去に採用してきた税務処理やスキームが、上場後のリスクにならないか
●過去の組織再編や資本政策が上場後の税務影響にならないか
●税務調査を受けた際に、処理の根拠を説明できるか
資金調達と税務面の調整
上場準備の過程では、増資や借入といった資金調達を行うケースも少なくありません。
プロマーケット市場への上場準備では、その資金調達が、上場後の財務・税務管理と矛盾しない形で行われているかという点が確認されます。
これは新株予約権などの株式発行を行う場合についても同様となりますので、資金調達や株式発行を行う場合は次のような点を踏まえた対応を行う必要があります。
●資金調達の方法と会計処理・税務処理が整合しているか
●株式発行に伴う税務上の論点(評価・課税関係)が整理されているか
●将来の株主構成や資本政策を見据えた処理になっているか
財務諸表の監査
プロマーケット上場にあたっては、監査法人による最低でも1期分の会計監査を受けることが必要となります。
また、監査を通じて指摘事項があった場合は、J-Adviser /F-Adviserによる審査の前に改善対応を行うことが求められます。
【要チェック】プロマーケット上場で指摘を受けやすいポイント
ここからはプロマーケット市場への上場に特化して、特に指摘を受けやすい点についての具体例をご紹介します。
指摘後に改善を行う際には多くの時間を要する内容もあるため、早い段階から確認をして改善に向けた対策を検討しておく必要があります。
ポイント①:会計監査の実施
監査を形式的に受けているだけで、指摘事項が放置されている場合、上場準備において大きな懸念材料となります。
また、監査対応が毎期その場しのぎになっていて、指摘事項について社内ルールや運用に反映されていない、同じような指摘が毎期繰り返されているといった場合も指摘を受けやすくなります。
ポイント②:過去の税務問題の整理
過去の税務調査や是正指摘について、経緯や対応方針が整理されていない場合、税務リスクとして指摘される可能性があります。
過去に採用した税務処理については判断理由を明確に説明できるようにしておく、税務調査が入った場合は指摘事項について対応結果を含めて記録しておくなど、
J-Adviser /F-Adviserから確認を求められた際に齟齬なく説明できるようにしておきましょう。
ポイント③:上場後の税務申告・開示対応
上場後は、税務申告や税務情報の開示についても、安定した対応が求められます。
上場準備段階で、その体制が想定できていない場合、指摘を受けやすいポイントとなります。
上場後の開示スケジュールを前提とした決算体制になっていない、会計・税務に関する判断が、特定の個人に依存しているといった点は、上場審査の前に改善をしておくことが望ましいでしょう。
上場に向けた事前整備は当グループにご相談ください
Nexill&Partners Groupでは、法務・労務・会計・税務を横断した視点から、プロマーケット市場への上場準備に必要な事前整備を総合的に支援しています。
監査法人や公認会計士、税理士との連携体制を構築しており、会計・税務面についても、ワンストップでの対応が可能です。
「会計・税務のどこが上場準備として不足しているのか分からない」「監査法人や税理士との役割分担に悩んでいる」といった段階からでも、ご相談いただけます。まずは一度お問い合わせください。
