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プロマーケット上場時の監査とは?よくある指摘事項と事前の対策方法を解説

2026.02.15

プロマーケットは東証プライムやスタンダードと比べると、形式的な数値基準や書類要件は簡素です。

しかし、それは監査やチェックが緩いという意味ではありません。実務上は、会社の実態や内部管理の状況が、別の角度から丁寧に確認されますので、上場時には適切な対応が必要です。

本記事では、プロマーケット上場時に想定される監査の考え方を整理したうえで、実際によく指摘される事項と、その背景を解説します。

プロマーケット上場における「監査」とは何か

本則市場の監査との違い

本則市場では、一般投資家に広く株式が流通することを前提としているため、会計情報の正確性や継続性を担保するための監査が重視されます。その結果、監査法人による厳密な会計監査が、上場プロセスの中核を占めます。

一方、プロマーケットは特定投資家向け市場であり、制度設計の前提が異なります。
そのため、本則市場と同じ水準・同じ形の監査が、そのまま求められるわけではありません

プロマーケット市場における監査の位置づけ

プロマーケット上場においては、証券取引所が一律の基準で審査を行うのではなく、J-Adviserや監査法人など、複数の関係者が役割を分担しながら、上場適格性を確認していきます。

まず、監査法人が担うのは、主として監査業務になり、会計・税務面に関する確認です。財務数値が適切に処理されているか、会計処理や税務処理に重大な問題がないかといった点が中心となります。

一方で、J-Adviser/F-Adviserは、これよりも広い範囲での会社全体の実態で、以下のような点を中心に確認し、上場の適格性を判断します。


●会社の事業内容や収益構造が合理的に説明できるか

●内部管理体制やガバナンスが実態として機能しているか

●経営判断のプロセスが整理され、説明可能な状態にあるか


監査・確認が本格化するタイミングと注意点

プロマーケット上場に向けた監査や各種確認は、最初から一斉に厳しく行われるわけではありません。
実務上は、上場検討の初期段階では全体像のヒアリングや方向性の確認にとどまり、個別論点についての指摘は限定的であることが一般的です。

しかし、上場のスケジュールが具体化し、J-Adviserや監査法人とのやり取りが本格化する段階に入ると、確認の深さは一気に変わります
このタイミングで、ガバナンス、労務、契約関係、会計処理といった各分野について、「これまでの説明と整合しているか」「実態とズレていないか」という観点から、詳細な確認が行われるようになります

この段階で初めて体制や資料の整理に着手すると、必要な情報が社内に分散していたり、判断の根拠が明確でなかったりすることが表面化し、対応に時間を要するケースが少なくありません。

プロマーケット上場を円滑に進めるためには、監査や確認が本格化する前の段階で、どの分野をどの順序で整理するかを見極めておくことが重要です。タイミングを誤らず、早い段階で全体の整理に着手できるかどうかが、上場準備の成否を大きく左右します。

プロマーケット上場時によくある監査・チェックの指摘事項

プロマーケット上場を目指す企業が、監査や確認の過程で指摘を受けやすいポイントには、一定の傾向があります。ここでは、実務上よく見られる代表的な指摘事項を整理します。

ガバナンス・内部管理体制に関する指摘

プロマーケット上場時の監査や確認において、ガバナンスや内部管理体制に関する点は指摘を受けやすい部分です。

具体的には、以下のような点が問題とされやすくなります。


●取締役会は設置されているが、実質的な議論が行われていない

●重要な経営判断が、特定の個人の判断に大きく依存している

●規程は整備されているものの、実際の運用と乖離している


プロマーケット市場では、経営判断やリスク管理について、J-Adviser/F-Adviserや投資家を含めた第三者に対してどのようなプロセスで意思決定がなされているのかを説明できることが重要視されます。

そのため、形式的に体制を整えていても、意思決定の流れや牽制の仕組みを具体的に説明できない場合、ガバナンスが形だけにとどまっていると評価されてしまい、監査・確認の過程で指摘につながりやすくなります

労務管理・人事制度に関する指摘

労務管理や人事制度に関する指摘も、多く見られます。
特に、以下のような点はほぼ必ず確認されますし、現状に不備がある場合は是正が必要です。


●就業規則と実際の働き方が一致していない

●管理職・一般従業員を問わず、残業代の取扱いが不明確

●勤怠管理のルールが部署ごとに異なっている


特に未払い残業代のリスクや将来的な労務トラブルにつながる可能性を含んでいるような場合は、たとえ現時点で紛争が発生していなくても潜在的な金銭的・法的リスクが顕在化し得る状態と評価されます。

労務管理や人事制度については、今現在の問題だけでなく、上場後も法令遵守の上で安定して運用できる体制になっているかという観点での指摘が入ることにも留意が必要です。

契約書・業務フローに関する指摘

契約書や業務フローの整備状況も、プロマーケット上場時に重点的に確認されます。

主要取引先との契約書が未整備であったり、契約条件やルール、業務の流れが属人的になっており全社的な基準が不明瞭であったりと、主要な取引関係や業務プロセスが曖昧な場合は、上場審査までに事業の継続性やリスクを第三者に説明できる状態で整理されていることが求められます。

会計・税務面での指摘

会計・税務面についても、単に数字が合っているかどうかだけが重視されるわけではなく、その数字がどのような経営判断の結果として形成されているのかが見られます。

そのため、役員報酬の決定プロセスが明確になっていない、会社の数字の動きと経営判断の関連性が合理的に説明できないというような場合は、経営の透明性や説明可能性に欠けると受け取られ、指摘につながることがあります。

監査において指摘が出やすい理由とは?

プロマーケット特有の「説明責任」の考え方

プロマーケットにおける説明責任の特徴は、「何を整備しているか」ではなく、「どのような考え方・順序で整備しているか」が見られる点にあります。

本則市場では、提出すべき書類やチェック項目がある程度定型化されているため、「この書類がそろっているか」「この手続が踏まれているか」という形式的な確認を中心に上場審査が進められるのが一般的です。

一方、プロマーケットでは、定型的な開示書類の提出が少ない分、企業側がどのような前提で体制を構築し、リスクを把握しているのかという考え方そのものが確認の対象になります。

そのため「個別の論点について具体的に説明できない」「全体としての整理方針が見えない」

「分野ごとの対応は進んでいるが、判断の軸が明確に決まっていない」というような場合、

「その対応だけで本当に十分なのか」「判断基準はどこにあるのか」という観点で審査時に深掘りされやすくなります

個々の対応の良し悪しだけではなく、会社としての説明や整理が構造的に組み立てられているかが、プロマーケットにおいて説明を求められる部分であることを理解しておきましょう。

指摘が増えやすくなる会社の共通点

このようなプロマーケット特有の確認構造の中で、企業側が以下のような状態にあるとJ-Adviser/F-Adviserからの指摘事項が増えやすくなってしまいます。


●上場準備を「指摘を受けてから個別に直す作業」と捉えている

●どの分野を優先的に整理すべきかの判断基準が定まっていない

●法務・労務・会計などの対応が、部署や外部専門家ごとに分断されている

上場適格性を判断する過程においては、「この点は対応できているが、関連する別の論点はどうか」「その判断は、他の分野と整合しているか」といった形で、追加の確認が発生することも多いです。

その際に、前述したような確認・是正対応を個別に進めるような形を取っていると、一つの指摘に対応するたびに指摘が連鎖的に増えていく構造になりやすく、準備期間も長期化しがちです。

プロマーケット上場において重要なのは、個別の指摘に場当たり的に対応することではなく、全体を見渡したうえで、整理の順序と考え方をあらかじめ設計しておくことだといえます。

監査・チェックでつまずかないための事前対策

これまで見てきたとおり、プロマーケット上場時の監査・確認で指摘が出やすいポイントには、一定の構造があります。
重要なのは、指摘内容そのものよりも、「なぜ指摘が増える状態に陥るのか」を理解したうえで準備を進めることです。

「指摘されてから直す」を避けるために

実務上、上場準備が難航するケースの多くは、指摘を受けてから、その都度対応する」という考え方で準備を進めてしまっている点に原因があります。

この進め方では「ある論点を修正すると、別の論点との整合性が問題になる」
「部分的な対応が、かえって全体の説明を難しくする」といった事態が生じやすくなります。

プロマーケット上場において重要なのは、個々の指摘に対する対症療法ではなく、「どのような考え方で体制を整え、どのような順序で整理を進めるのか」を、事前に設計しておくことです。

この設計ができていれば、確認の過程で細かな指摘を受けたとしても、「全体としてはこの方針で整理している」という軸をもって説明することができ、指摘が連鎖的に増える事態を防ぎやすくなります

スモールDDによる事前チェックの有効性

こうした事前設計を行う手段として有効なのが、スモールDD(簡易デューデリジェンス)です。

スモールDDは、フルスケールのデューデリジェンスほどの負担をかけずに、法務・労務・会計・税務といった観点から、「上場を前提に見た場合、どこに整理不足や説明上の弱点があるのか」を俯瞰的に確認するプロセスです。

この段階で「どの分野から優先的に整備すべきか」「どの論点が他の分野と連動しているか」を把握しておくことで、監査・確認の場面での対応が、場当たり的になりにくくなります。

プロマーケット上場に関するご相談はNexill&Partners Groupへ

プロマーケット上場においては、J-Adviser/F-Adviserが重要な役割を担います。

本則市場のような形式的な手続きとは異なるため、上場準備の早い段階で企業実態の全体像を整理し、指摘事項に対してどのような考え方で体制を整えているのかを説明できる状態を作っておくことが、監査への最大の対策となります。


当事務所は、J-Adviser/F-Adviserへの相談の前段階にて、企業側の上場準備を支援しています。

弁護士だけでなく社会保険労務士、税理士など複数士業が社内連携の上で、上場準備に必要な土台整備を分野ごとに分けず、全体として整理することで、
その後のJ-Adviser/F-Adviserや監査法人が上場適格性を確認・評価するフェーズにおいて、
企業側が自らの体制や考え方を、無理なく説明できる状態まで整えることを目的としています。

スモールDDや上場準備コンサルティングを通じて、
プロマーケット上場を検討する企業の初期段階からサポート可能
ですので、まずは一度ご相談ください。

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