業種 | 不動産業 |
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企業規模 | 従業員10名以下 |
カテゴリ | 契約書 |
担当弁護士 | 久富 達也 |
ご契約方法 | フレックス顧問契約 |
ご相談時のご状況
ご依頼いただいた企業様では、自ら土地及び建物を所有して第三者に賃貸する事業を実施されていました。自社で所有している建物(以下「本件建物」という。)を賃借して介護付き有料老人ホームを営む賃借人(株式会社)から、「経営が苦しい」という理由から賃料の減額を繰り返し求められているとのことで、対応方法についてご相談をいただきました。
安易に要請どおりの減額に応じてしまうとキャッシュフローが悪化し、借入金返済にも支障が出かねないことが見込まれたため、対応策として、不動産会社等の協力も得ながら、当該土地建物の評価額及び適正な賃料額を算出しながら、依頼者が最低限確保すべきと考えられる賃料等の収入の額を想定しつつ、これとの比較でどの程度まで賃料の減額に応じるかを検討する必要がある状況でした。
解決・改善に向けた当事務所のアドバイス・対応
上記の方針を踏まえて、当事務所では、建物の建築や維持管理のための費用、その他投下資本や借入金額等との関係で、賃料減額の許容幅は小さい状況でしたが、本件建物の現行賃料額は概ね適正といい得範囲内に収まっており、必ずしも減額に応じる必要があるものではないという結論を出しました。この見解を下に、依頼者においては賃料減額要請には応じない方向でご提案を行い、度重なる減額要請に疲弊してしまっていたことから、減額要求を断るとともに今後のやりとりを踏まえた交渉を全て弁護士が対応をさせていただくことになりました。
その後、賃借人側からグループ内の事業の再編の関係で賃借人をグループ内の別会社に変更したいとご連絡をいただきました。
その際にもまずは当事務所の弁護士が変更可否について検討をさせていただきました。調査をしたところ、現賃借人と比較して新賃借人の信用リスクが高いといった事情等はなく、より経営状態が良好な新会社が賃借人として権利を承継することは問題ない状況でした。
しかし、現在の賃借人と新賃借人の新会社は別法人である新賃借人の経営状態が悪化しても、現在の賃借人には新賃借人の債務の弁済を請求することができないのが原則となってしまうので、賃借人に物的又は人的担保の供与を求めました。
その結果、現賃借人は連帯保証人として契約関係に残り続け、かつ執行認諾文言つきの公正証書によって定期建物賃貸借契約書を新たに取り交わすことにより、賃料不払い等により生じ得る財産的損害のリスクを可能な限り低減するための体制を築くことができました。
上記のやりとりを全て当事務所に一任いただいたことで、賃料減額をせずに済んだだけではなく、円満に契約関係を一新することも実現することができました。
適正な事業運営にあたってのポイント
上記のように法的問題は1つのみではなく、継続的に発生することが多い傾向です。現状を十分に把握した上、法的リスクを想定してこれに対処することは、健全かつ効率的な企業運営を図る上で欠かせない対応となります。重要な事業や資産に関する取引をするときなどは、弁護士に背景事情等を理解してもらったうえで、リスクの洗い出しや計画の策定・修正、締結予定の書面の確認等を経るようにすることが望ましいといえます。
当事務所では、背景事情も踏まえたうえで法的課題の根本的な解決に関与できるようなヒアリングを心がけております。300社を超える顧問先対応からの相談対応実績をもとに発生しうる法的リスクを踏まえたご提案が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。