解決事例一覧

【不動産業】業務上横領をした従業員に対し損害賠償請求をした事例

2025.05.10
業種 不動産業
企業規模 従業員50名以下
カテゴリ コンプライアンス・その他(業務上横領)
担当弁護士 所属弁護士
ご契約方法 フレックス顧問契約

ご相談時のご状況

当事務所の顧問先である不動産会社において、元従業員(当時店長)が会社に在籍中に賃貸物件の仲介業務を行った際、会社と提携関係にない業者(インターネット接続サービス業者、電力小売業者等)に対し、賃貸物件の顧客情報を会社に無断で提供し、当該業者から紹介料等を不正に受領していたという問題が発覚しました。

元従業員は、特定の業者から自身の紹介料等を受け取っていただけでなく、複数の部下社員に同様の不正行為を命じて、部下社員の紹介料等も自己の個人口座で受領しており、発覚時累計約500万円が元従業員の個人口座に入金されておりました。

ただし、会社で調査を行った結果、元従業員から、不正に荷担していた複数の社員に対し、うち約200万円が分配されていました。

会社側は、元従業員が店長の立場にありながら複数の部下社員に不正行為を命じていたことを重く見て、元授業員の個人口座に振り込まれた約500万円を、不正競争防止法違反ととらえて会社に返還させることとし、「債務承認・弁済兼抵当権設定契約書」を元従業員との間で締結し、元従業員の所有マンションに抵当権の設定をさせ、部下社員には返還を求めませんでした。また、会社の人事処分としては、元従業員は降格処分、他の営業社員は軽微な処分に留めました。

しかしながら、その後、元従業員は、退職を目前にして、会社に対して、抵当権実行禁止を求める「仮処分命令の申立て」を行いました。これに対し、会社は、そもそも元従業員の行為が不正であったのであり債務承認は有効であること、仮処分の目的とされている抵当権は住宅ローンに次ぐ二番抵当権であって実行は現実的でなく保全の必要性がないことを主張しました。そうしたところ、裁判所から元従業員に対して強い勧告があり、仮処分命令の申立て」は取り下げられました。

しかし、その後、会社を退職した元従業員から「債務不存在確認等請求事件」の訴訟が提起されました。

解決・改善に向けた当事務所のアドバイス・対応

当事務所では、会社側の代理人としてこれらの事件に対応しました。

当初の仮処分命令申立てにおいては、先に述べたとおり、そもそも元従業員の行為が不正であったのであり債務承認は有効であること、仮処分の目的とされている抵当権は住宅ローンに次ぐ二番抵当権であって実行は現実的でなく保全の必要性がないことを主張し、裁判所もこれを受け入れてくれました。

しかし、債務不存在確認請求訴訟に対しては、会社として、支払請求の反訴をすることになるのですが、そうすると、立証責任が会社側になるので、会社において、元従業員の不正行為によって会社が損害を被ったことを立証せざるを得ず、また元従業員から部下社員に分配した金額の分まで元従業員に支払請求できるのかという困難な問題がありました。

そこで当事務所では、主張立証が一段落した段階で、会社に和解意向があることを確認し、裁判所に対し、和解での解決が考えられるとの意向を伝え、裁判所から元従業員に対して、そもそも元従業員の不正行為が原因であり元従業員全面勝訴の結論にはならないこと、和解で分割払いを求めたほうが懸命であることなどを粘り強く説得してもらいました。ただし、裁判所から当事務所には、部下社員に分配した金額についての請求は諦めるよう求められていました。

そして、最終的には、裁判所に元従業員本人を呼び出してもらって、裁判官から元従業員本人に対して直接の説得もしてもらい、なんとか和解が成立することになりました。

和解の内容としては、元従業員が最終的に取得した紹介料等約300万円を一括で会社側に返還する代わりに、会社は元従業員から他の営業社員に分配されていた約200万円分の請求等を諦め、抵当権登記の抹消にも応じるというものでした。

適正な事業運営にあたってのポイント

当事務所は、企業が適正な事業運営を行うための包括的な法的サポートを提供しています。企業の内部規定や契約書の整備をサポートし、不正行為や利益相反を防ぐための具体的なアドバイスを行います。万が一、問題が発生した場合には迅速に対応し、事実確認とリスク評価を行ったうえで適切な法的措置を提案し、企業の信頼性を守りながら、持続可能な事業運営をサポートします。当事務所は、企業様の法的リスクを最小限に抑え、健全な運営を実現できるようお手伝いします。

事業運営において、企業様で何かご不安やお困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

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