こんにちは
本日は、当事務所で多く見られる遺言の問題点についてお話ししたいと思います。
遺言の訂正
当事務所には、多くのお客様が遺産分割などのご相談にいらっしゃいますが、その中でも遺言を持って来られる方がかなりいらっしゃいます。しかし、その半数程度は、書き方を間違っているために無効となってしまっています。
最も多い問題点は、訂正の仕方を間違っているパターンでしょう。
民法第968条2項には、「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」と規定されています。つまり、訂正の仕方は法律で決められており、これを守らずに訂正をした遺言書は、全体として無効となる可能性があるということです。
一番多いパターンは、一般的な文書と同じように、単に訂正印が押されているだけというものでしょうか。中には、修正液や修正テープを使ってらっしゃるものも見受けられます。
遺言は書き方が決まっているだけではなく、訂正の仕方まで細かく法律で定められており、これを守らないと、遺言を書いたとしても何の意味もなくなってしまいます。
遺言の変更の方式
遺言の書き加えまたは文言の削除、その他変更すべき箇所がある場合には、遺言全部を書き直す必要はなく、その遺言に変更を加えることができます。遺言に変更を加える場合には、遺言者はその箇所を指示し、その箇所を変更した旨を付記して署名したうえ、変更した箇所に押印しなければいけません(民法968条2項)。これは、遺言の変更が遺言者自身によるものを担保する(他人による変造を防ぐ)趣旨です。変更の方式は、偽造・変造のおそれのない公正証書遺言を除くすべての遺言方式に適用がなされます(970条2項・982条)
遺言内容の変更を伴わない明らかな誤記の訂正には、この方式は適用されません。また、変更に関して方式違反があった場合には、その変更のみが無効となり、遺言は変更のない遺言として効力を有することになります。しかし、例外的に、変更によって変更前の遺言が方式違反になってしまった場合や、変更前の文言が判読できない場合には、遺言全部やその条項全部が無効となります。
一般の方々がこの決まりを100%守って、的確な遺言を書くことは、なかなか難しいものです。
遺言書の作成をお考えの方は、菰田法律事務所まで、一度ご相談ください。
作成を依頼しないとしても、相談で法的なアドバイスは受けておくことをお勧めします。