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生前の相続対策

相続税の節税対策について

2021.03.07

近年、相続税法の改正に伴い、テレビや雑誌等、多くのメディアで相続に関する話題が取り上げられるようになりました。

相続税を負担する層がより広がった(相続税がかからないボーダーラインである「基礎控除」のラインが大きく引き下げられました。)ことで、関心を持たれ方も多いのではないでしょうか。

なかでも今回は、「相続税の節税対策」についてお話したいと思います。

そもそも相続とは?

1.「相続」と「贈与」の違いとは?

「相続」と「贈与」の違いは、「相続」が「亡くなった人」から財産を受け取ることに対し、「贈与」とは「生きている人」から財産を受け取ることです。
そして相続には「相続税」が、贈与には「贈与税」が課税される場合があります。ちなみに、「相続税」と「贈与税」を単純に比較すると、「贈与税」の方が税率が高く設定されています。これは、生前贈与を行うことで、結果として相続税が安くなってしまうと、死亡する直前にまとめて財産を贈与してしまえば、相続税の課税を免れられてしまうため、そのような不都合がないように、贈与税の方を高く設定しているのです。

2.相続財産とは?

相続税の対象となる財産を「相続財産」といいます。相続財産は、死亡した人が残した財産、死亡した人の名義で登記・登録されている財産、死亡したことにより遺族が受け取る金銭などが当たります。

3.相続税がかからない財産もある

中には、下記のように相続税がかからない財産もあります。

①墓地、墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物
②地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者扶養共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利(受給権)
③相続によって取得したとみなされる生命保険金のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分
④相続や遺贈によってもらったとみなされる死亡退職金等のうち500万円に法定相続人の数を掛けた金額までの部分

相続税対策

せっかく財産を相続するのであれば、相続税を減らしなるべく自分の手取りを増やしたいという思いが誰しもあるでしょう。また、財産を遺す側からすれば、なるべく多くの金額を遺してあげたいと考えるはずです。
この相続税対策、要するに「相続財産が多ければ相続税が多額に発生しますし、相続財産が少なければ相続税も少ない」という関係にあり、結局は「相続財産を減らす」作業が必要になります。

では、具体的にどうすれば良いかというと、相続財産を減らす方法は、主に2つしかありません。「売却」か「贈与」の2つです。つまり、相続財産となるはずの財産を減らす作業ですね。

1. 生前贈与された資金

まず、 最も分かりやすい生前贈与としては、ご本人の財産の中から相続人に対して毎年贈与税の基礎控除の範囲内でコツコツと生前贈与を続ける方法でしょう。

これを暦年贈与と呼び、多くのご家庭でよく行われていることです。 ただ、この暦年贈与を行うにあたって、あくまで贈与である以上は、財産を渡す側ともらう側がその意思を合致させなくてはなりませんので、何も知らない子供名義の口座を作って、その口座に親が勝手にお金をコツコツ入れておくなどの形は生前贈与にはなりません。

また、その口座が誰の財産なのかは、銀行印の取扱いや通帳やクレジットカードの取り扱いなど、現実的にその口座を誰が管理していたかが極めて重要になります。この辺を税務署に指摘されることもあるかもしれませんので、生前贈与と評価できるかどうかは専門家に相談しながら進めましょう。
また、相続財産の対象となる預金については、法定相続人に対する相続開始前3年以内の贈与が含まれるほか、少なくとも過去5年以内の預金取引についての詳細を確認する
必要がありますので、注意が必要です。

2.保険料の贈与

贈与税の非課税範囲(基礎控除)は、年間110万円です。

例えば、夫が妻に年間保険料を非課税範囲内で贈与する場合も、一種の節税対策といえます。

保険料相当額を夫の銀行口座から妻の銀行口座に振替えることで贈与の事実を明確にし、妻の銀行口座から保険料を引き落の支払いを行う処理を繰り返す手法です。贈与契約書の作成が不要になることも考えると、保険料が110万円以内の年間契約にする方法がいいかもしれません。

3.相続財産の売却

相続税をあらかじめ支払うために士地を売却する場合があります。

譲渡所得として所得税や住民税が課税され、以下の式によって求められます。

「売却額-取得費-譲渡費用=譲渡所得」

(建物の場合は、購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた額です。)

 

4.不動産投資

「相続財産」で「土地」を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか。

しかし、土地の価値は多様化しており、「固定資産税評価額」「相続税評価額(路線価)」「実勢価格」など様々な種類の評価額が存在します。

相続税の算定をする場合、土地の相続税評価額は、実勢価格より低い金額になるものです。

そのため現金・預金で保持しておくより、土地を購入し評価額を圧縮することが節税対策になるケースも多々見受けられます。
土地や建物を相続財産として保持するにはそれなりのメリット・デメリットがあります。

例えば、不動産投資としてメジャーな例として、マンション経営があります。家賃収入が継続・安定していることが必須な上、維持管理費や災害リスクも考慮しなければなりません。

その場合、本当に相続人に引き継ぐ意思があるのか?十分に話し合う必要があります。

まとめ

故人から残された遺産を少しでも多く手元に残したいという思いは誰しもあるでしょう。とはいえ、脱税や申告漏れはれっきとした犯罪です。

相続税を申告・納税した後、税務署による税務調査が行われることがありますが、調査はおおよそ申告期限後6か月から2年以内に多いようです。所得税や法人税に対する調査より、相続税に関する調査の頻度は高いといわれています。税務調査で指摘を受けないためにも、お困りの際は弁護士や税理士に相談してみてはいかがでしょうか。
  
  

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