弁護士コラム

2016.07.06

ケース別離婚問題

医師や会社経営者、高所得者は、財産分与において
一般的な事例が適用されない場合があります。

離婚においては、職業やご依頼主さまの置かれている立場によって特有の問題が起こります。特に収入の高い方は、財産分与の面で後になって後悔しないために、離婚を考えたらまず、離婚問題に強い専門家のアドバイスを一度受けられることをおすすめします。まずは離婚における金銭トラブル解決に数多くの実績を持つ当事務所にご相談ください。

◎医師特有の離婚問題
収入が高いために起こる財産分与の問題もさることながら、医師の離婚が複雑化・長期化する原因は、妻が医療法人の理事を務めていたり、妻を従業員として雇用していたり、病院と個人宅が兼用である、開業時に資金を妻の親が提供しているなど、公私の切り分けが複雑なことにあります。離婚の際は婚姻関係の解消と併せて、ほとんどの場合で解任手続きや雇用関係の解消手続きが別途必要となるためです。

詳しくは、こちら「医療専門サイト 医師特有の離婚問題」をご覧ください。

◎会社経営者の離婚問題
会社経営者の場合、総じて収入が高い上に不動産、ゴルフ会員権、高級車、貴金属、美術品など保有財産の種類が多岐にわたることが多いため、離婚の財産分与にあたって紛争が起こりがちです。

財産分与においては、会社経営者も一般的な夫婦に適用される、婚姻関係の間に築いてきた夫婦の財産を平等に分ける「2分の1ルール」にあたらない場合が多くあります。たとえば、結婚前の必死の努力と投資をもとにして会社を興した場合や、夫の経営手腕によって事業拡大して莫大な財産を得たものの妻はこれまで一切経営にタッチしていない場合、妻よりも夫に対して多くの財産分与が認められることがあります。

また、法人の財産は経営者の財産とは別個のものですので、離婚の際の財産分与の対象とはなりません。ただし、法人の株式・出資持分を経営者が所有している場合の株式・出資持ち分は経営者個人の財産となりますので、財産分与の対象になり、株価などの算定が必要となります。

◎所得が高い方の離婚問題
所得が高い方の離婚問題では、医師や経営者と同様、財産分与の問題と併せて、養育費の金額で紛争となるケースが多くあります。

養育費に関しては、裁判所の「養育費算定表」が公開されており、子どもの人数や年齢、養育する親と養育費の支払い義務のある親の双方の年収を当てはめることで、義務者が負担する標準的な養育費の月額を知ることができます。

算定表は、基本的に年収が高くなるほどそれに応じて養育費も高くなるように設定されていますが、上限も設定されています。年収が給与所得者の場合で2,000万円、自営業の場合は1,400万円となっており、それ以上の所得者のケースは記されていません。

たとえば上限である年収2,000万円の給与所得者の養育費は、14歳以下の子どもが2人いる場合で月額28~30万と算定表に記載されています。養育費とは贅沢をするためのお金ではなく、子どもを扶養するためのお金であるため、算定表に記載されていないどんな高所得者でも、月々の養育費が30万を超えることはなかなかありませんが、この点は裁判例が分かれております。

高所得者を夫に持つ妻のほうからのご依頼も多く受けますが、まず知っておいていただきたいのは、年収が高いから養育費も青天井であるという認識は誤りだということです。逆に、妻から高額な養育費を請求されてお困りの高所得者の方も、言われるままの金額を支払う必要はありません。

当事務所では、算定表に記載のない高所得者または妻からのご相談も承っております。ぜひ一度ご相談ください。

◎借金が残っている方の離婚問題
借金などの金銭トラブルは離婚でよくある原因の一つです。借金があっても、夫婦で合意した協議離婚であれば離婚は可能です。

夫名義で金融機関からお金を借りている場合、債務者はあくまで夫ですから、金融機関からの取り立ては夫のみに行うことができ、妻に対して行うことはできません。

ただし、借りたときの名義は夫になっていても、夫婦の生活費として使用した場合は、夫婦共同の債務として財産分与において考慮されるか、または妻に支払う養育費の減額で調整することとなります。

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