弁護士コラム

2016.08.08

33.借地権・借家権の相続性(2)

前回、借家権の承継に関して内縁の夫婦について述べましたが、借地借家法36条1項は、事実上の養親子関係にあった者についても同様の規定をおいています。

 そのため、事実上の養子は、建物への居住権を主張でき、相続人から借家の明渡し請求をされた場合には、権利濫用に該当するとして、その明渡し請求を拒否できるものと考えられます。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.08

32.借地権・借家権の相続性(1)

借地権・借家権はいずれも相続の対象となります。

 では、いわゆる内縁の妻は、内縁の夫が賃借人となっていた建物に居住を継続することができるのでしょうか。

 この点、死亡した内縁の夫に相続人がいない場合には、借地借家法36条1項により、内縁の妻は建物の賃借人の地位を承継することになります。

 これに対して、死亡した内縁の夫に相続人がいる場合は、立法的措置は図られていませんが、判例により、内縁の妻が賃貸人との関係で相続人の賃借権の援用を認め、建物への居住の権利を認めています。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.08

31.遺族給付の相続性

 遺族年金や遺族扶助料等は、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法等に基づいて、遺族に支給されるものです。

 したがって、遺族が法律の規定に基づき、固有の権利として受給するものであり、相続財産とはならないと解されます。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.05

■年金分割の請求

合意分割の場合において、年金の分割割合が定まり、離婚が成立したときは、当事者の一方から厚生労働大臣に対し、年金分割の請求(「標準報酬改定請求」といいます。)を行わなければなりません。これは、日本年金機構に提出して行うものとされています。

 この請求をする際には、以下のいずれかの書類を添付する必要があります。

①当事者が標準報酬改定請求をすること及び請求すべき按分割合について合意している旨が記載された公正証書の謄本もしくは抄録謄本又は公証人の認証を受けた私署証書

②請求すべき按分割合を定めた確定した審判の謄本又は抄本

③請求すべき按分割合を定めた調停についての調停調書の謄本又は抄本

④請求すべき按分割合を定めた確定した判決の謄本又は抄本

⑤請求すべき按分割合を定めた和解についての和解調書の謄本又は抄本

 この他にも、基礎年金番号を明らかにすることができる書類(年金手帳など)、当事者の身分関係を明らかにすることができる書類(住民票など)等の添付が必要です。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.05

■年金分割のための情報通知書

合意分割による年金分割に関しては、その許容範囲が法定されており、これを逸脱する分割割合の定めは不適法なので、まず、その許容範囲を確認する必要があります。この許容範囲を含め、年金分割に必要な情報は厚生労働大臣に請求し、提供を受けることができます。この情報提供の請求は、「年金分割のための情報提供請求書」を日本年金機構に提出して行います。

 そして、この請求により提供される情報の内容が記載された文書のことを「年金分割のための情報通知書」といいます。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.05

■離婚前に裁判手続によって分割割合を定める場合

離婚時年金分割制度は、離婚した場合に限り、年金の分割を行うことができる制度です。そのため、離婚とは無関係に年金の分割割合を定めるための裁判手続の申立てはできないものと解されています。そこで、合意分割に該当する場合で、離婚の話し合い中に年金の分割割合について合意ができないときは、以下のような裁判手続をとることになります。

①離婚調停の付随的事項として、離婚についての協議に併せて年金の分割割合について同調停において協議する方法

②離婚訴訟の附帯処分として判決又は和解で年金の分割割合を定める方法

 これらの場合、年金分割のための情報通知書を提出しなければなりません。ですので、離婚前でも年金分割のための情報通知書の請求をすることが可能です。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.04

■合意分割

合意分割の制度は、離婚当事者の合意によって、年金の分割割合を決め、婚姻期間中の年金を分割する制度です。

 合意分割をするためには、①平成19年4月1日以降に離婚したこと、②当事者間の協議で年金分割を行うこと及び年金分割の割合を定めること、③前記②で定めた分割割合による年金分割を厚生労働大臣等(年金の種類によって請求先は異なります)に請求することが必要です。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.04

■分割対象の年金

現在、日本の年金制度は、すべての国民が加入する国民年金、民間のサラリーマンや公務員などが加入する被用者年金(厚生年金)及び企業年金等の私的年金があり、このうち離婚時年金分割制度の対象となる年金は、被用者年金のみです。

国民年金や企業年金などの自主年金は分割の対象ではありません。

 したがって、年金分割は、被用者年金(厚生年金)の額にのみ影響し、基礎年金の額、厚生年金基金の上乗せ給付や確定給付企業年金などの給付には影響しません。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.04

■離婚時年金分割制度

離婚時年金分割制度とは、平成16年の年金制度改革によって創設されたものです。

この制度により、離婚をした場合に当事者間で年金を分割することができます。

この制度には、平成19年4月1日以降に離婚した場合に利用できる「合意分割」と平成20年5月1日以降に離婚した場合に利用できる「3号分割」の2つがあります。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.08.03

■財産分与の法的性質(3)慰謝料的要素

離婚の際に、慰謝料請求が問題になることがあります。慰謝料は、財産分与とは性質が異なるものなので、別々に算定して請求するのが原則です。

しかし、両者ともに金銭が問題になるものなので、慰謝料と財産分与を明確に区別せずにまとめて「財産分与」として請求をしたり、支払いをすることがあります。この場合の財産分与は「慰謝料も含む」という意図があるので、慰謝料的財産分与と呼ばれています。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

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