2016.08.23
16 労働条件の不利益変更②(就業規則による変更)
使用者が就業規則の作成または変更によって一方的に労働条件を不利益に変更することは原則として許されません(判例、労働契約法9条)。
但し、当該変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉状況その他の就業規則の変更にかかる事情に照らして合理的なものであり、変更後の労働条件が労働者に周知された場合は、当該不利益変更は有効となり、不利益変更に反対する労働者も変更後の就業規則の内容に拘束されます(労働契約法10条)。
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2016.08.23
15 労働条件の不利益変更①(個別的合意)
労働条件を従来より不利益な内容に変更する場合、当該内容について労働者と個別的に合意が取れている場合には、労働契約法8条により有効です。
ただし、その場合も、就業規則の最低基準効(労働契約法12条)は働くため、就業規則を下回る合意は無効となります。
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2016.08.22
14 就業規則が労働契約に及ぼす効力③
前回、就業規則を下回る労働条件については無効であることについては述べました。
それでは、就業規則を上回る労働条件についてはどのように解すべきでしょうか。
労働法は、合意の原則(労契法1条、3条)を基本としていますので、就業規則を上回る個別的合意に関しては有効であり(労契法7条但書)、個別の合意が優先することになります。
投稿者:
2016.08.22
13 就業規則が労働契約に及ぼす効力②(最低基準効)
前回述べた通り、就業規則は労働契約の内容を規律する効力があります。
それでは、就業規則が労働契約の内容を下回る場合、当該労働者の労働条件はどのように解すべきでしょうか。
この点、就業規則と労働契約との関係については、労基法93条及び労働契約法12条に規定があり、同規定によると、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、当該無効部分は就業規則の定める基準による旨規定しています。
よって、就業規則を下回る労働条件に関しては、就業規則が優先することになります。
投稿者:
2016.08.22
12 就業規則が労働契約に及ぼす効力①(契約規律効)
労働者が就業規則の内容を知らないまま会社と労働契約を締結した場合、就業規則の内容は当該労働者を拘束するのでしょうか。
この点に関しては、従来は争いがありましたが、就業規則の内容が合理的であり、当該内容が労働者に周知されている場合には、就業規則が労働契約の内容を規律するという判例が積み重なり、ついに労働契約法7条においてその旨が立法化されました。
したがって、①当該就業規則の内容が合理的で、②就業規則が周知されている場合には、労働者が就業規則の内容を知らなくとも、就業規則の定めに拘束されることになります。
投稿者:
2016.08.22
11 周知義務(労基法106条)
使用者は、作成した就業規則を労働者に周知させる義務があります。
周知方法としては、事業所に備付けをしたり、労働者に書面を交付したり、コンピューター内にデータを備え付ける等、労働者がその内容を知りうる状況を作出することが必要となります。
この周知要件を欠く場合は、就業規則の効力は無効となります。
投稿者:
2016.08.22
10 就業規則作成上の意見聴取義務(労基法90条)
就業規則の作成又は変更の際には、使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合には、その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聞かなければならないとされています(意見聴取義務)。
]この義務は、意見を聴けばよく、労働者の同意まで得る必要はありません。
そのため、労働者全員が反対したとしても、意見聴取義務は果たされており、就業規則の効力には影響しません。
なお、使用者は、就業規則の作成又は変更を労基署に届出する際には、意見聴取結果の書面を添付しなければならないとされています。
投稿者:
2016.08.22
9 就業規則作成・届出手続上の使用者の義務
使用者が就業規則の作成・届出義務を果たしたというためには、必要的記載事項を具備するだけでなく、作成手続において労働者の意見を聴取し(意見聴取義務)、作成した就業規則を事業所に備え付ける等してその内容を労働者に周知させなければなりません(周知義務)。
なお、必要的記載事項の具備と意見聴取義務は、これを欠いても就業規則が無効になるわけではなりませんが、周知要件を欠いた場合は無効になります。
投稿者:
2016.08.19
8 必要的記載事項を欠く就業規則の効力
必要的記載事項を全部または一部欠く就業規則の作成は、労基法89条の作成義務に違反し、30万円以下の罰金対象になります(労基法120条)。
もっとも、就業規則の効力に関しては、就業規則のその他の効力発生要件を具備する限り有効と解されています(昭和25年2月20日基収276号)。
投稿者:
2016.08.19
7 就業規則の相対的記載事項
相対的記載事項は以下の通りです。
①退職手当、賞与、臨時の手当て(決定、適用労働者の範囲、計算方法、支払時期等)
②労働者の食費、作業用品その他の負担に関する事項
③安全及び衛生に関する事項
④職業訓練に関する事項
⑤災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
⑥表彰・制裁に関する事項
⑦事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合はその事項(ex福利厚生、旅費規程、休職、配転、出向等)
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