2016.10.17
32 東京地判H9.5.26(長谷工コーポレーション事件)
修学費用返還制度が賠償予定禁止原則に反し無効かどうかが争われた裁判例の一つとして、東京地判H9.5.26があります。これは、社員留学制度で留学し、帰国後2年3ヵ月で退職した社員に対し、会社が留学費用の返還を求めた事例です。社員の留学は希望制であり、社員は留学に先立ち、「帰国後、一定期間を経ず特別な理由なく会社を退職することとなった場合には、会社が海外大学院留学に際し支払った一切の費用を返却する」と記載された誓約書を会社に差し入れていました。
会社側は、留学費用についての貸金契約の成立を主張し、社員側は、誓約書には返済額や返還を免れる勤続年数の記載もなく不明確であること、留学後何年間在籍しなければならないのか不明であり、退職の自由を制限するものとして、労基法16条に反し無効と主張しました。裁判所は、留学が、業務命令ではなく自由意思に基づいて行われたもの、勤務を継続するか否かにかかわらず、有益な経験、資格となることを重視し、会社側の主張を認め、社員に対し費用の返還を認めました。
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