弁護士コラム

2016.06.13

7.相続欠格と廃除(1)

「相続欠格」とは、本来相続人となるべき者に一定の不正事由があった場合に、法律上当然に相続権が剥奪される制度です(民法891条)。

 これに対し、「相続人の廃除」とは、遺留分を有する推定相続人が相続人に対して虐待したり、重大な侮辱を加えたとき、又はその他著しい非行をしたときに、被相続人の意思感情を尊重し、被相続人の請求に基づいて、家庭裁判所が審判又は調停によって相続権を剥奪する制度です(民法892条、893条)。

 相続欠格と排除の主な相違点は以下のとおりです。

  なお、「遺留分」とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に留保された相続財産の割合のことをいいます。上記の相続人には、相続開始とともに相続財産の一定割合を取得しうる権利(「遺留分権」といいます。)が認められます。

相続欠格
①被相続人の意思とは無関係に一定の事由があれば、当然欠格となる。
②欠格の対象は、相続人となるべき者であれば、遺留分を有する相続人か否かを問わない。
③欠格者は受遺者になれない。
④戸籍の届出は不要。

廃除
①被相続人の請求により、廃除の調停の成立又はその審判の確定が必要。
②廃除の対象は、遺留分を有する推定相続人に限る(遺留分を有しない兄弟姉妹は廃除の対象とならない)。
③被廃除者は受遺者になれる。
④戸籍法の定めるところにより、戸籍の届出が必要(排除の裁判の確定日から10日以内)。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.06.13

6.代襲相続(2)

被代襲者が被相続人の「子」の場合には、被相続人の子に代襲原因が発生すれば、被相続人の「孫」が代襲相続人となりますが、この孫についても代襲原因が発生すれば、「孫の子(被相続人の曾孫)」が代襲相続人になります(「再代襲相続」、民法887条3項)。

 これに対し、兄弟姉妹の場合は、その子(被相続人の甥・姪)までしか代襲相続が認められず、再代襲相続は認められません。

 兄弟姉妹について代襲相続を規定した民法889条2項は、再代襲相続を規定した民法887条3項を準用していないため、兄弟姉妹が被代襲者となる場合には、再代襲相続が認められないのです。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.06.13

5.代襲相続(1)

 代襲相続とは、①相続の開始以前に相続人となるべき子・兄弟姉妹が死亡し、又は②相続人に欠格事由があり、若しくは相続人が廃除されたため相続権を失った場合に、その者の直系卑属(代襲者)がその者に代わって相続することをいいます(民法887条2項3項、889条2項)。

 また、相続人となるべき子又は兄弟姉妹が被相続人と同時に死亡した場合にも代襲相続が認められます。

なお、相続の放棄は、代襲の原因とはなりません。

したがって、子の全員が相続を放棄したときは、孫以下の直系卑属は相続人とはならず、第2順位の直系尊属が相続人となります。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.06.13

4.相続人の法定相続分

 相続人の法定相続分については、民法900条、901条に定められているところ、法定相続分は、相続人が誰であるかによって異なります。

 ①子(血族相続人の第1順位)と配偶者が相続人の場合は、それぞれ2分の1です。子が複数人いる場合は、各自の相続分は均等です(民法900条4項)。非嫡出子と嫡出子がいる場合も同様です。

 ②直系尊属と配偶者が相続人の場合には、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1です。直系尊属が数人いる場合は、実父母と養父母の区別なく、いずれも均等の相続分となります。

 ③兄弟姉妹と配偶者が相続人の場合は、配偶者は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1です。兄弟姉妹が数人いる場合は、各自相続分は原則として均等ですが、半血兄弟姉妹の相続分は全血兄弟姉妹の相続分の2分の1となります(900条4項)。

 ④配偶者がなく、子、直系尊属又は兄弟姉妹だけが共同相続人である場合は、これらの者の相続分は原則として均等です。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.06.13

3.指定相続分と法定相続分

 相続分とは、共同相続において、各共同相続人が相続財産上に有する権利義務の割合(分数的割合)をいいます。

 そして、相続分には「指定相続分」(民法902条)と「法定相続分」(民法900条、901条)があります。

前者は、遺言や第三者に相続分を定めることを委託するものであって、後者は上記の相続分の指定がない場合において、民法の規定により決定される相続分のことをいいます。

 したがって、遺言による相続分の指定が法定相続分に優先し、相続分の指定がある場合には、法定相続分の規定が適用されないことになります。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.06.13

2.内縁の妻の相続

 「被相続人の配偶者」は、常に相続人であることは、前に述べたとおりです。では、いわゆる内縁の妻は内縁の夫の相続人となることができるのでしょうか。

 ここでいう「配偶者」とは、法律上の婚姻関係にある夫婦の一方(夫又は妻)といいます(民法739条)。

したがって、内縁の妻は「配偶者」には含まれないため、相続人になることはありません。

 内縁の夫の遺産は、すべて内縁の夫の法定相続人に相続されることになるため、内縁の妻に遺産を取得させるためには、内縁の妻に「遺贈」(民法964条)又は、内縁の妻との間で「死因贈与契約」(民法554条)を締結する必要があります。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

2016.06.13

1.相続人

「相続人」とは、被相続人が死亡した場合に、その財産に属した一切の権利義務を承継する者のことをいいます(民法896条)。

民法では、相続人になる者の範囲を定めており、これを「法定相続人」といいます。

 「法定相続人」は、①子、②父母その他の直系尊属、③兄弟姉妹のように一定の親族関係にある血族相続人(以下「血族相続人」といいます。)、及び、「被相続人の配偶者」です(民法887条、889条、890条)。

 なお、「親族」とは、6親等内の「血族」、配偶者、および3親等内の「姻族」のことを言います(民法725条)。

 血族相続人は、①被相続人の子、②被相続人の直系尊属、③被相続人の兄弟姉妹の順の順位であり、血族相続人間においては、最優先順位の相続人のみが相続権を有します。

 他方、「被相続人の配偶者」は、常に相続人となり、血族相続人があるときは、それらの者と同順位の相続人となります(民法890条)。

投稿者: 弁護士法人菰田法律事務所

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