2016.07.28
25.可分債務・不可分債務の相続性
金銭債務のような可分債務は、共同相続人間において、法定相続分に応じて分割承継されるとするのが判例・通説です。
また、例えば競走馬一頭の交付や建物の引き渡し義務のような不可分債務については、共同相続人が不可分給付義務を負うことになります。
そして、債務者、つまり共同相続人の一人が債務を履行した場合には、総債務者のために債務が消滅することになります。
投稿者:
2016.07.28
24.現金の相続性
判例は、相続人は、遺産分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできないと解しています。
これは、実際の遺産分割の場において、ほかの財産と一緒に遺産分割協議の対象としたほうが合理的な場合が多いことを考慮したものであると考えられます。
したがって、現金については、各相続人に当然分割されるのではなく、遺産分割の手続きをする必要があります。
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2016.06.27
15.寄与分制度(2)
寄与分制度は、前にも述べたとおり、共同相続人間の公平を図る制度であり、相続分を修正するという点では特別受益制度と同様です。
しかし、寄与分制度は、相続財産の中から寄与分の額を控除して相続分を算定したうえ、寄与分を有する相続人に当該寄与分額を加算するのに対して、特別受益制度は、生前贈与額を相続財産に加えて相続分を算定したうえ、生前贈与方は遺贈を受けた相続人につき、その額を控除して具体的相続分とする点で違いがあります。
投稿者:
2016.06.27
14.寄与分制度(1)
民法には、「寄与分制度」というものがあります。
寄与分制度とは、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与(貢献)をした相続人に対して、遺産の分割にあたって法定又は指定相続分にかかわらず、遺産のうちから寄与に相当する額の財産を取得させることによって、共同相続人の公平を図ろうというものです。
投稿者:
2016.06.27
13.特別受益者の相続分(4)
代襲相続がされた場合、被代襲者が被相続人から贈与(特別受益)を得ていたときは、代襲相続人はこの受益分を持ち戻さないといけないのでしょうか。
この点、代襲相続では、代襲相続人は被代襲者と同一の法律上の地位にたち、被代襲者と同一の取り扱いを受けるべきと考えられていますので、被代襲者が得た特別受益については、代襲相続人に持戻しをさせるのが妥当であると解されます。
投稿者:
2016.06.27
12.特別受益者の相続分(3)
民法は、被相続人の意思を尊重するという建前をとっているため、被相続人が特別受益の持戻しの免除の意思表示をしたときは、特別受益を持ち戻すことはせず、具体的相続分の算定において特別受益は考慮されません。
ただし、持戻し免除の意思表示の結果、特別受益者の相続分が他の相続人の遺留分を侵害するときは、当該相続人から遺留分減殺請求権を行使されることがあります。
投稿者:
2016.06.27
11.特別受益者の相続分(2)
では、特別受益者の相続分は具体的にどのように算出されるのでしょうか。
まず、①被相続人が相続開始の時に有していた財産の価額に贈与の価額を加えたものを相続財産とみなします。これを、みなし相続財産といいます。
次に、②みなし相続財産を基礎として、指定相続分又は法定相続分の割合を乗じて各相続人の相続財産額を計算します。
そして、③特別受益者の相続分は、②で算出した各人の相続財産額から特別受益額を引いた残額となります。これを「具体的相続分」といいます。
このように、特別受益者の相続分の算出上、遺贈・生前贈与の対象となった特別受益を遺産の中に回復させることを「特別受益の持戻し」といいます。
投稿者:
2016.06.27
10.特別受益者の相続分(1)
民法は、共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻、養子縁組のために若しくは生計の資本として贈与を受けた者がいるときは、その受けた限度でその人の相続分を縮小させて共同相続人間の公平を図っています。
この制度を「特別受益制度」といい、この遺贈または生前贈与を受けた相続人のことを「特別受益者」といいます。
投稿者:
2016.06.27
9.相続欠格と廃除
民法は、次の廃除事由を定めています。
①推定相続人が被相続人に対して虐待をしたこと
②推定相続人が被相続人に重大な侮辱を加えたこと
③推定相続人が秘蔵族人にその他の著しい非行があったこと
廃除は、相続人の資格を剥奪するという強力な制度なので、家庭裁判所も廃除事由の該当性の判断には慎重な態度をとっています。
また、廃除は被相続人が家庭裁判所に請求することによって行いますが、請求方法には、「生前廃除の申立て」と「遺言による廃除の申立て」があります。
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2016.06.13
8.相続欠格と廃除(2)
民法は、次の5つの相続欠格事由を定めています(民法891条)。
①故意に被相続人又は先順位若しくは同順位の相続人を殺し又は殺そうとしたために、刑に処せられた者
②被相続人の殺害されたことをしっていながら告訴・告発しなかった者
③詐欺・強迫によって被相続人の遺言の作成・取消し・変更を妨げた者
④詐欺・強迫により被相続人に相続に関する遺言を作成させ、又はその取消し・変更をさせた者
⑤相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者
欠格の効果は相対的であり、欠格者を欠格事由と関係ある特定の被相続人に対する関係で相続資格を失うに留まり、他の者の相続人になることはできます。なお、前回述べたとおり、相続欠格に該当する場合には、受遺者になることはできませんが、代襲相続は可能です。
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