医療業界の経営・法務・労務に精通した総合リーガルファーム
病院 診療所 クリニック 歯科医院 薬局
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医療機関では、患者さんへのケアやチーム医療が円滑に進むよう、スタッフ同士の連携が不可欠です。しかし、上司の指示を守らない、自己流の方法を繰り返すなどのスタッフがいると、業務の効率が下がるだけでなく、患者さんの安全確保が難しくなる恐れがあります。こうした態度は早期の段階で適切に注意しないと、周囲に「問題行動が見過ごされる」という感覚を与えてしまいます。
言動が荒い、説明不足、協調性に欠けるといった要因から、患者や同僚とのトラブルを繰り返すスタッフも問題です。医療サービスはスタッフ全員が協力し合うことで成り立っているため、特定の個人が患者対応や職場の人間関係を乱すと、現場全体の雰囲気が悪化してしまいます。これが続くと、クレームの増加やスタッフ離職につながる可能性も高く、結果として病院・クリニックの評判が下がるリスクがあります。
医療機関ではシフト制が多く採用されているため、一人の遅刻や欠勤が他のスタッフに負担をもたらします。特に特殊な技能を持ったスタッフが不在の場合、診療そのものに支障が出る可能性があるのが医療現場の特徴です。こうした状況が常態化すると、そのしわ寄せは他のスタッフに集中し、業務負担が増えます。結果として、フォロー側のスタッフに負担が蓄積し、不満が募る一方で、問題を起こしているスタッフ本人には「少々の遅刻や欠勤は許される」という甘えが生まれやすくなります。
問題行動を起こす職員への対処が遅れると、不公平感を覚えた周囲のスタッフのモチベーションが下がり、気づかぬうちに退職を考えるケースが増えます。医療機関は医師や看護師、コメディカルなどの専門職が多いだけに、貴重な人材流出のリスクが深刻化しがちです。さらに、現場責任者や院長が適切な措置を取らないまま時間が経過すると、リーダーシップや組織統制力自体が疑われる状況にもなります。放置すればするほど、問題は複雑化し、職場環境が悪化していくリスクが高まるでしょう。
患者さんは医療の専門知識だけでなく、「スタッフの態度や雰囲気」からも医療機関の印象を判断します。問題行動が続けば、口コミや評価サイトなどでマイナスの評判が広がり、結果として患者数の減少や収益の低下につながる恐れがあります。
解雇や懲戒処分などで不適切な手続きを踏むと、逆に医療機関側が労働審判や裁判で争われる可能性もあります。また、ハラスメントや違法行為を見過ごしていた場合、使用者責任を問われるリスクも高まるため、早めの段階で適正な対応をとることが求められます。
問題が発覚したら、まずは当該職員に対して具体的な事実確認を行い、どのような行動や態度が問題なのかを明確に伝えます。早期の段階で注意や指導を行うことで、職員自身が行動を改めるきっかけになることも多いです。注意や指導をする際には、客観的な証拠や事実経緯を整理し、納得感をもって伝えることが大切です。
また、複数回にわたり同じ問題が繰り返される場合は、指導記録を残し、改善の方向性を本人と共有していく過程が必要になります。単なる叱責ではなく、改善に向けた具体的な目標設定や行動計画を話し合うことで、問題解決へと進むケースも一定数は見受けられます。
問題職員への対応を誤らないためには、就業規則や雇用契約書で定められた処分方法・手続きに則ることが重要です。曖昧なルールのもとで懲戒処分を下すと、後々「規定がないのに不当な処分をされた」として法的に争われるリスクが高まります。
逆に、就業規則や雇用契約書に明確な規定がある場合、公正かつ透明性のある手続きで処分を進めやすくなります。医療機関特有のルール(守秘義務や適切な接遇など)を就業規則にきちんと織り込むことで、スタッフが遵守すべき行動指針を明確に示し、問題を未然に防ぎやすくなります。
どうしても改善が見込めず、業務に深刻な支障をきたす場合には、解雇や退職勧奨を検討することも避けられません。しかし、医療機関における解雇は慎重に進めなければ、解雇無効や労働審判、裁判などのトラブルに発展するリスクがあります。
退職勧奨を行う際には、職員が「自主的に退職するかどうかを選ぶ意思決定プロセス」が尊重されることが原則です。強引なやり方や脅迫的な言動での退職強要は違法とみなされる可能性があり、紛争に発展しやすくなります。法的リスクを回避するためにも、労務につよい専門家の助言を得ながら事実関係を整理し、適切な手続きを踏むことが不可欠です。
Aクリニックでは、あるスタッフの遅刻・欠勤が頻発し他スタッフの不満が高まっていました。クリニックの管理者は専門家に相談の上で就業規則に則った注意と指導を実施し、通勤手段や勤務スケジュールの見直しを本人と共に検討。改善が見られなかった際には懲戒処分を含めた対応を明確に示したところ、本人は問題意識を持つようになり、最終的に遅刻・欠勤が改善されました。
B病院では、ハラスメント行為が続発。院長が早期に専門家へ相談し、複数のスタッフから証言を得て事実を精査。該当職員を懲戒処分とする一方、全スタッフ向けにハラスメント対策研修を行い再発防止の意識を高めた結果、職場環境が大幅に改善されました。
Cクリニックでは、業務態度の不良やコミュニケーション不足が目立つ職員に対し、管理者が複数回にわたって面談を実施。面談の場では、勤務条件や職務内容を改めて確認し、本人の要望と職場が求める姿を丁寧にすり合わせました。結果として、職員本人が「退職が最善」という結論を自主的に導き、最終的には両者合意のうえで円満に解決。深刻なトラブル化を回避し、院内の業務体制も早期に立て直すことができました。
問題が表面化した段階でご相談いただければ、早期の注意指導や対話による解決策を提示します。解雇はあくまでも最終手段であり、その前段階でできることを一つずつ検討し、トラブルの拡大を防ぎます。
医療機関特有の就業規則や運営形態に精通した弁護士が所属しており、実際の相談事例を踏まえて具体的な助言を行えます。診療報酬やシフト管理など、医療現場特有の課題を踏まえた対応策を提示可能です。
トラブル解決後も、定期的な就業規則の見直しやスタッフ研修、労務監査を通じて、根本原因を改善し再発を防ぎます。当事務所では弁護士顧問契約にて長期的かつ継続的に医療機関をフォローアップする体制を整えております。
問題社員の対応にお悩みの先生、職員やスタッフとの労務リスクを最小限に抑えた医院運営をしたいとお考えの先生は、ぜひ当事務所の顧問契約サービスをご検討ください。法的問題から労務に至るまで、総合的なサポートを提供いたします。