医療業界の経営・法務・労務に精通した総合リーガルファーム
病院 診療所 クリニック 歯科医院 薬局
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医療機関は、医師や看護師、事務スタッフなど多数の専門職が連携し、チームで患者さんを支える現場です。その分、上下関係や役職間の力関係が明確になりやすいという特徴があり、パワーハラスメント(パワハラ)が起きやすい土壌となりがちです。
男女比や年齢層、夜勤の有無など、勤務環境によってはセクシャルハラスメント(セクハラ)も発生しやすく、プライバシーにかかわる質問や不必要な接触、言動などが問題となるケースがあります。
医療機関ならではの事例として、患者さんから看護師やスタッフに対するハラスメント(暴言、暴力、しつこい嫌がらせなど)が挙げられます。患者さんとの距離が近く、終日対応する場面が多いゆえにトラブルが起きやすいことは、他業種のサービス業に比べても顕著です。
ハラスメント行為が放置されると、直接の被害者のみならず、周囲のスタッフにとっても精神的な負担が増大します。患者からのハラスメントについても同様で、これを原因として看護師やスタッフが疲弊し、結果として離職率が上昇し、人材不足の医療現場では診療体制に深刻な影響を及ぼす可能性があります。ハラスメントは組織全体の士気を低下させるだけでなく、院内の運営や経営にも波及するため、早めの対策が不可欠です。
ハラスメント問題は、適切な対応を怠ったことにより被害者が法的手段をとる可能性があるだけでなく、労働局や行政機関の指導・勧告につながる場合もあります。医療機関の場合、社会的な責任が大きいがゆえに、ニュースなどで報道されれば大きなダメージを受けかねません。
さらに、職場内でセクハラを放置していた場合には、男女雇用機会均等法の観点から企業(医療機関)が適切な防止措置を怠ったと判断されるケースもあります。いずれにせよ、医療機関としてのリスクを考慮すると、ハラスメントを未然に防ぎ、早期に対処する体制づくりが非常に重要となります。
ハラスメント申告がなされた場合、最初に確認するべきは自院の就業規則や院内規定です。就業規則でハラスメント行為の定義や懲戒処分の規定が明確化されていれば、適切な初動対応が取りやすくなります。また、厚生労働省のガイドライン等に基づき、ハラスメント防止指針を院内で策定しておくことが望ましいでしょう。
ハラスメント申告があった場合は、客観的事実の確認が不可欠です。被害者・加害者双方からのヒアリングを行い、メールやチャット、目撃証言などの証拠を収集して、状況を客観的に把握しましょう。調査を行う場合は、公平性の確保やプライバシーへの配慮を行うことが重要です。そのうえで、被害者には心身のケアや、業務上の配置転換などを検討しつつ、加害者へも指導や懲戒処分を適切な範囲で実施する必要があります。いずれにしても、一方の主張だけを鵜呑みにするのではなく、証拠に基づき中立的かつ迅速に対応することが重要です。
ハラスメント問題が明るみに出た後は、再発防止策をしっかり打ち出す必要があります。例えば、院内研修の実施や、内外の相談窓口の整備、就業規則の改訂などを行うことで、スタッフに「本気で改善に取り組んでいる」と示せます。患者さんに対しても、適切な説明や広報を行い、信頼回復につなげる姿勢が大切です。
特に医療機関では、一度のハラスメント事案が大きく報じられる可能性があり、長期的な評判の低下を招きかねません。迅速な事後対応と再発防止策の提示が、職場環境を健全に保ち、経営リスクを最小限に抑えることにつながります。
当事務所は、医療機関でのハラスメント事案を多角的にサポートする体制を整えています。弁護士が被害内容や証拠を精査し、加害者・被害者双方のヒアリングや調整において中立の立場から問題解決を図ります。場合によっては懲戒処分や解雇手続きの進め方、再配置の検討なども含め、初動から迅速な対応を行います。
当事務所では、複数の医療機関の顧問経験をもとに、過去の相談事例を豊富に蓄積しています。単なる法解釈だけでなく、病院・クリニックの実際の運営を踏まえたうえで、どのような対処が最善かをアドバイスします。医療機関の規模や職員構成などに応じた柔軟なサポートが可能です。
ハラスメント問題は一度対応して終わりではなく、再発防止に向けた対策が不可欠です。当事務所では、企業労務問題に特化した弁護士も在籍しているため、就業規則の定期チェックや職場研修の企画、ハラスメント相談窓口の運営補助など、医療機関が継続的に労務トラブルを予防できる体制構築に向けて多様な形でサポートいたします。
弁護士顧問契約をご活用いただくことで、継続的なリスクチェックやハラスメント研修など法務・労務の両方の面でのサポートが可能です。
ハラスメントの相談窓口の外部委託をご依頼いただくこともできますので、自社内での相談窓口対応にリソースが確保できない等のお悩みをお持ちの先生は、外部委託もご検討ください。