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人事評価制度コンサルティング

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なぜ今、クリニックに人事評価制度が必要なのか

スタッフ間の賃金格差や昇給基準が曖昧なままでは、優秀なスタッフほど「頑張っても報われない」と感じて離職しやすくなります。採用難が続く医療業界で人材流出は死活問題です。さらに2024年の診療報酬改定では看護職員と看護補助者の「業務分担の明確化・職員育成」が経営改善の評価項目として盛り込まれ、診療報酬上の評価項目としても重視されるようになっているほか、厚労省による「医療法人の適正な運営に関するチェックリスト」に「職員の職務評価・人事評価制度を整備しているか」という項目が明記されているように対外的な評価としても評価制度の有無が影響してくる可能性があります。このように、公正な評価は単なる福利厚生ではなく、経営の信用力とサービス品質を同時に底上げするために重要な戦略となります。
また、ハラスメント防止法が求める「任用・昇進基準の客観性」を担保するうえでも、評価フローを明文化しておくことはリスクマネジメントにおいても重要です。

人事評価制度をつくる5つのステップ

①現状分析

職種ごとの業務範囲・昇給実績をデータ化し、人件費率等を踏まえて賃金テーブルの上限を職種ごとに大まかに設定しておきます。また、院内の風土や今後の社風形成の観点から、何に重きを置いて評価を行うような制度設計とするのか、人事評価制度の方向性を先に決めておきます。

②等級・役割定義

①で決めた職種ごとの賃金テーブル上限を踏まえて、それぞれの職種(医師、看護師、コメディカル、事務など)内で、さらに経験年数や資格などで等級を細分化していきます。等級・役割の定義についても、ここで定義づけをしておく必要がありますので、業務レベルがどのラインまで到達していたらこの等級というように、客観的に見てこの等級ではこのレベルの役割(患者対応力、チーム貢献度など)が求められるというのを定義付けます。
等級・役割の定義とあわせて、各等級の賃金テーブルも設定をします。

③評価基準設計

次に、「何を元に評価をするか」という実際の評価基準を具体的に設定します。
①で決めた、「何を重視して評価をするか」という観点をベースに、以下のような内容を組み合わせて評価基準を作成します。
・企業理念や行動指針に沿った行動ができているか
・実務能力面(成果指標と行動指標の2軸を盛り込めると良い)
・マネジメント面 など

評価項目を設計するうえでは、具体的に数字や成果で見えるタイプの項目と、数字などが無いタイプの項目とが存在するので、できるだけ評価者によって感覚的にならず可能な限り評価者によって評価結果に大きな差が出ないような設定の仕方を検討しましょう。
例えば、「後輩指導ができる」という指標を設定した際に、「問題なくできている」「あまりできていない」「できていない」というような評価者によって解釈が分かれるような評価基準の設定をすると、評価者も評価がしづらくなるほか、従業員側も評価結果に対して何をもってこの判断になっているのかの納得がいきづらくなり不満につながりやすくなります。
そのため、例えば、「問題なくできている」という部分であれば、具体的にどういった状態であれば問題なくできているという判断になるのか?(担当している後輩の報告書ミス件数が〇件以下、担当している後輩の等級が全員〇等級以上であるなど)を数値や成果などで定義づけるようにするとお互いの認識の相違が生まれにくくなります。
また、等級が上がる際の規定(面談、試験などを設けるのか、一回の人事評価で等級の上げ幅に上限を設けるのかなど)を設定する場合は、ここで併せて検討をします。

④運用フロー構築

評価項目まで決まったら、人事評価の頻度、方法、評価者など、人事評価制度を運用するためのフローを設計します。
・頻度(年に1回、4半期ごとに行うなど)
・方法(本人の自己評価と上司評価を両方行う、上司評価のみ、自己評価+面談など)
・評価者(院長がすべて評価するのか、他のスタッフも評価者としてかかわるのか)
など、誰がどう人事評価を行うのかをここで具体的に決めていきます。

人事評価にかかる時間や工数なども考慮したうえで、適切に制度運用ができるような形で組んでいくことが大切です。
また、人事評価を行った際の評価結果をどのように記録して、次回以降の人事評価の際にどのように活用するのかという部分についても、ここであわせて検討をしておきます。

⑤人事評価実施・フィードバック

①~④で策定した人事評価を実際に運用します。実際に人事評価を進めていく中で、制度設計時には見えていなかった課題や改善点が見えてくるでしょうから、従業員からの意見や評価者からのフィードバックについては随時見直しをしていくような体制を整えていくことで、より自社に即した形での効果的な人事評価制度を作ることができます。

人事評価制度構築・運営においてNexill&Partnersができること

人事評価制度に基づいた公正な形での評価を実施し、その評価結果を昇給・賞与に連動させることで、従業員にとっても客観的な評価と処遇が結びつき、待遇に対する納得度が高まります。
公正な人事評価制度は、スタッフの成長を促し、人材の質と経営体力の底上げになるほか、新たな人材の採用にもプラスの影響をもたらします。

当事務所では士業事務所と株式会社のグループ連携を踏まえたうえで最適な人事評価制度の構築・運営に向けたサポートを実施しております。

現状分析・課題整理

現在の人事評価制度や昇給基準等をヒアリング・確認をしたうえで、現状分析を行います。また離職率等の数値の洗い出しを行うことで、現状の評価制度の課題感の整理を実施いたします。病院側では必要情報をご提出いただくことで、こちらで現状分析を行ったレポートの算出を行います。

人事評価制度の運用に向けた改善策の検討

算出した課題感をもとに改善策のご提案を実施いたします。弁護士・社会保険労務士による労務面でのチェックを行ったうえで、優秀な人材の獲得・定着に繋げるための人事評価制度の構築をご提案いたします。

運用後のブラッシュアップ・実装

人事評価制度は策定しただけでは形骸化してしまう傾向にあります。現場への定着に向けて運用後には適宜ブラッシュアップをしながら現場になじむ形に調整をしていくことが重要です。当事務所では、弁護士をはじめとした各士業による顧問契約はもちろんのこと、人事評価制度についてもグループ会社と連携して継続的なサポートが可能です。

「忙しくて制度設計まで手が回らない」「導入したが形骸化した」という院長先生は、ぜひご相談ください。