医療業界の経営・法務・労務に精通した総合リーガルファーム
病院 診療所 クリニック 歯科医院 薬局
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患者からのクレームは、職員・スタッフの一時的な負担増だけにとどまりません。クレームがエスカレートすれば、従業員のモチベーション低下や離職につながりかねず、組織全体の運営に支障が出る恐れがあります。また、悪質なクレームで地域の評価や口コミサイト等で評判が悪化してしまうと、再来院率だけでなく新患の来院にも大きなダメージが及びかねません。
患者が気軽に病院やクリニックの評判を投稿できるようになり、特に口コミサイトやSNS上でのクレームは一気に拡散する可能性があるため、医療機関としては無視できないリスクです。
たとえば、診療の説明不足や待ち時間の長さへの不満がSNSに書き込まれた場合、多くの潜在的な患者さんに不信感を与える恐れがあります。オンライン上の評価についても定期的にチェックし、クレームが出た際には早急に対処する体制を整えておくことが重要です。
クレーム対応において最も重要なのは、初期対応です。まずはクレームの内容を正確に把握し、そのうえで、院内に設けた対応フローに沿って、担当部署や責任者が適切かつ速やかに対応することが必要です。
医療機関によっては、クレーム内容や緊急度に応じて対応部署を振り分ける仕組み(例:事務的な問題なら総務課担当、診療関連なら医事課・看護管理者 など)を設定しているところもあります。誰がいつ、どのような対応を取るのかを院内で共通理解をつくっておくことが大切です。
クレームを受けた際、言葉遣いや態度は非常に重要です。患者さんが怒りを露わにしている状況でも、丁寧で落ち着いた対応を心掛けることが、感情的な対立を避ける鍵となります。院内スタッフに対しては、適切な言葉遣いや話し方のポイントをまとめたマニュアルを共有し、定期的な研修を行うことが望ましいでしょう。
また、対応に時間を要する場合でも、患者さんに「現在の状況」や「対応の見通し」をこまめに伝えることで、無用な不安や不信感を軽減できます。誠実さと分かりやすい説明があるだけで、患者さんの気持ちが和らぐケースも少なくありません。
クレーム内容によっては、医療過誤や個人情報保護など、法的な観点での問題が含まれることがあり、「治療の結果に納得できない」として損害賠償を求める、個人情報を不当に扱われたと主張するようなケースもあります。
万が一、患者側が弁護士を介して交渉してくる場合や、すでに内容証明等の書面が届いているような場合は、早急に弁護士に相談の上で対応を進める必要があります。
院内でトラブルが発生した際にどの部署がどのような対応を行うのかをマニュアル化しておくと、現場の職員・スタッフが混乱せずに対応できます。
マニュアルには、以下のような項目を盛り込んでおくとよいでしょう。
• 初期対応の手順(クレーム発生段階で誰がどこまでを対応するのか)
• 院長や管理者へのエスカレーション基準
• クレーム対応時の言葉遣い・態度の注意点
• 対応記録の取り方(日時・内容・対応結果など)
• 想定されるトラブル別の対処法
現場側でどこまで対応をしてよいのか、どのラインを超えたら上司に報告・指示を仰ぐのか、どの段階で対応を引き継ぐのかという基準を明確化し、それに沿って運用をすることで対応スピードと質が大幅に向上します。
クレームが発生したときに備え、日ごろから患者対応の記録をこまめに残しておくことは非常に大切です。具体的には、来院日時・対応内容・スタッフ名・患者の反応などを簡潔にまとめ、電子カルテや院内システムに保管しておくとよいでしょう。
このような客観的な記録があると、後日患者が「言った・言わない」のクレームを主張してきた場合でも、過去の記録をベースに早期に事実関係を整理できます。また、万が一法的な対応まで発展した際にも、有力な証拠として役立つケースが多く、院側の正当性を立証しやすくなります。
初期対応から弁護士が適切に介入することで、院長や管理者が感情的なやり取りに巻き込まれるのを避け、客観的な第三者として冷静かつ適切に交渉・説明を行うことでトラブルの拡大を防ぎます。
問題が深刻化してから対応するのではなく、クレーム発生直後の段階でご相談いただくことで、トラブル拡大を防ぎやすくなるのが大きなメリットです。
過去のクレーム事例を踏まえた院内マニュアルの作成や従業員研修の提案など、院内で問題が起きづらい仕組みづくりをサポート。医療機関の現場に合った実践的な対策を講じることで、クレーム自体を未然に防ぎます。
また、SNSやインターネット上でのクレームや誹謗中傷など、オンライン上でのリスク因子が無いかどうかを定期的にスクリーニングするサポートも行っています。
医療機関におけるクレーム対応は、単に一時的な問題解決では終わりません。
初期対応の徹底はもちろんですが、マニュアル整備、接遇研修の実施といった未然防止策をしっかり打ち出すことで、クレーム自体の発生率を下げるだけでなく、トラブルが起きた際にも最小限の影響で収束させることができます。
患者側からのクレーム対応にお悩みの先生、クレーム対応の体制整備を考えておられる先生は一度当事務所にご相談ください。法的な対応面を弁護士が引き受けることで、先生方が本業に集中できるようサポートいたします。
弁護士顧問契約をご活用いただくことで、より継続的なサポートも可能です。ぜひお気軽にご相談ください。