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クリニックのホームページの表現規制とは?医療広告ガイドラインを守りながら集患をはかる法的ポイントを弁護士が解説

2026.04.23

クリニックのホームページは集患を後押しする重要な導線である一方、医療広告規制の対象となるため、表現の仕方に配慮が求められます。制作会社に任せている場合でも、その内容が適法かどうかは最終的に医療機関側が責任を負うことになります。本記事では、クリニックのサイト制作時に押さえておきたい表現規制の基本と、実務上問題になりやすいポイントを弁護士がわかりやすく解説します。

 

第1章 クリニックのホームページ表現が規制される理由

1-1 なぜホームページも医療広告として扱われるのか

かつて、医療機関のホームページは、利用者が自ら検索して辿り着くものである性質から、広告には該当しないと解釈されていました。しかし、自由診療等を中心に、虚偽や誇大な表現による消費者トラブルが相次いだことを背景に、2018年の改正医療法によって、医療機関のホームページは規制の対象に含まれることとなりました。
現在は、医療法に基づく運用基準である医療広告ガイドラインにおいて、広告に該当するかどうかは、誘引性(患者を呼び寄せる意図があること)と特定性(医療機関名が特定できること)によって判断されると整理されています。
クリニックのホームページは、診療内容や治療方法を紹介し、来院につなげる役割を持つことから、これらの要件を満たし、広告として評価される場面が多い媒体です。ホームページ上のすべての情報が一律に広告として規制されるわけではありませんが、治療内容や効果、自由診療に関する案内など、患者の受診判断に直接影響する情報については、広告として規制が及ぶ点に注意が必要です。

1-2 行政指導から是正命令までの流れ

ホームページが規制対象となったことで、厚生労働省によるインターネット上の広告監視も行われています。不適切な表現が発見された場合、まずは自治体や保健所から連絡があり、内容の修正を求める行政指導が行われます。
この段階で速やかに対応すれば直ちに罰則が科されることは稀ですが、指導を放置したり、悪質な虚偽を繰り返したりした場合には、是正命令や広告の中止命令の対象となる可能性があります。

1-3 法改正後のルールと限定解除の考え方

2018年の法改正以降、医療機関のウェブサイト上の情報についても、広告に該当する場合には、医療法で禁止されている表現を掲載することはできなくなりました。一方で、医療は情報の専門性が高く、患者が適切な選択をするためには十分な情報が必要であるという側面もあります。
そのため、一定の条件(限定解除要件)を満たした場合に限り、広告可能な範囲を広げることができるという柔軟な運用が認められています。
しかし、この「原則禁止」と「限定解除による例外」の境界が分かりにくく、意図せず原則禁止の領域に踏み込んでしまうケースも少なくありません。次章以降で詳しく見ていきます。

 

第2章 クリニックのサイトで問題になりやすい禁止表現

2-1 「日本一」「最高」といった表現が問題になる理由

医療広告ガイドラインでは、「日本一」「最高」「トップクラス」といった表現については、その内容を裏付ける客観的かつ合理的な根拠があるかどうかが問題となります。また、こうした表現は他の医療機関と比較して自院が優れていることを示すという点で比較優良広告としての規制も受けます。
例えば、「日本一の症例数」といった表現については、客観的かつ合理的な根拠があり、その調査方法や対象範囲が適切に示されている場合には、直ちに違法と評価されるわけではありません。しかし、実際はそのような根拠を適切に示すことは容易ではなく、調査条件や対象範囲が不明確なまま表示した場合には、誤解を招く表示として問題視される可能性が高いといえます。

2-2 「絶対安全」「必ず治る」といった断定表現のリスク

医療行為には常にリスクや副作用が伴うため、「絶対」「確実」「100%」といった断定的な表現は、誇大広告と評価される可能性が高いとされており、実務上は使用を避ける必要があります。「副作用はありません」「痛みが全くない治療」といった訴求も同様です。
こうした表現は、医療法違反となるだけでなく、実際にトラブルが発生した際には、説明義務違反や不法行為として損害賠償請求を受ける要因にもなります。医学的に不可能な期待を抱かせる表現は、法的にも倫理的にも避けるべきです。

2-3 「今だけキャンペーン」はどこから問題になるのか

期間限定の割引や、無料相談の実施を過度に強調する表現は、医療の性質に照らして不適切とされる広告(品位欠如広告)として制限を受けることがあります。医療は必要性に基づいて提供されるべきであり、費用による誘引を主眼に置くことは不適切と考えられているためです。
例えば「今月中に来院すれば半額」といった煽り文句は、患者の冷静な判断を妨げるとして指導の対象になり得ます。ただし、自費診療における適正な価格表示や、常設の初診料割引などの周知であれば、適切な方法で掲載することで認められる場合もあります。

2-4 データや実績の見せ方で誤解を招くケース

成功率や満足度などの数字を掲載する際、分母となる対象者数や期間を伏せたまま「満足度98%」「成功率95%以上」といった数値のみを強調する表示は、虚偽広告や誇大広告を疑われる原因となります。
また、特定の有利なデータのみを抽出してグラフ化し、治療効果を過大に見せる手法も不適切です。例えば、治療を受けた患者全体では一定割合で効果が出ていないにもかかわらず、効果が高く出た一部の症例のみを抜き出してグラフ化し、あたかも全体で高い効果が得られているかのように見せるようなケースがこれに該当します。

 

第3章 「限定解除」の仕組みと実務での使い方

3-1 自由診療の情報を掲載するために必要な4つの要件

医療法では、医療機関が広告できる事項が定められていますが、以下の4つの要件をすべて満たした場合に限り、本来は広告できない自由診療の内容(未承認薬の使用や詳細な術式など)を掲載することが可能になります。これを「限定解除」と呼びます。

限定解除が適用されるための4つの要件

① 個別のホームページのように患者が自ら必要としてアクセスする情報であり、医療の選択に役立つ内容であること(広告として一方的に誘引するものではないこと)
② 掲載内容について問い合わせができるよう、電話番号やメールアドレスなどの連絡先が明示されていること
③ 自由診療にかかる費用について、通常想定される総額や内容が分かる形で明確に記載されていること
④ 自由診療に伴う主なリスクや副作用について、具体的に理解できるよう明確に記載されていること

これらは原則として、ページ単位で4要件すべてを満たしている必要があります。つまり、サイト全体で全要件を満たしていても、患者が最も関心を持つような診療効果を語るページに費用や副作用などのリスクが明記されていない場合、そのページは医療法に抵触すると判断されるおそれがあります。
ただし、全ページ共通のフッターなどで問い合わせ先やリスク事項へのリンクがあるなど情報が適切に配置されている場合には、サイト全体として限定解除が適用されると評価される場合もあります。

3-2 費用やリスクの記載漏れで無効と判断されるケース

実際、違法と判断されやすいのが費用と副作用の記載不備です。
例えば、手術のメリットを大きく記載している一方で、合併症やダウンタイムのリスクがページの下部に小さく書かれていたり、別ページへリンクされているだけだったりする場合、限定解除の要件を満たしていないと判断されることがあります。
費用についても、「1回5,000円〜」といった最低料金のみを掲載し、実際には総額で数十万円かかるようなコース設定の場合、情報の透明性が欠如しているとみなされる可能性があります。

3-3 情報の出し方で広告と評価されるかが変わる

限定解除はあくまで情報の質を担保するための仕組みです。要件を満たしているからといって、過度な装飾や強調を行えば、比較優良広告や誇大広告の禁止ルールに抵触することになります。
前提として、ホームページは患者が適切な意思決定をするための資料であるという認識を持つことが重要です。客観的な事実に基づき、メリットとデメリットを対等な立場で提示する姿勢が、法規遵守と信頼獲得の両立につながります。

 

第4章 ビフォーアフター・体験談・口コミの扱い方

4-1 ビフォーアフター写真を掲載する際に求められる条件

かつて禁止されていた術前・術後写真(ビフォー・アフター)は、現在では限定解除の要件を満たす場合に限り掲載が可能となっています。具体的には、写真に隣接する形で、治療内容・費用・副作用・リスクを詳細に記載しなければなりません。
また、モニター症例として掲載する場合であっても、一般の患者と同様の結果が得られるかのような印象を与える表示は認められません。モニターであることを明示するとともに、条件や前提が異なる場合にはその内容も適切に説明する必要があります。

なお、写真を加工して効果を誇張することや、成功例のみを掲載して「誰でもこうなる」と思わせるような見せ方は厳しく制限されますので、光の当たり方や角度など撮影条件を統一するなど、比較として適切な表示の仕方が求められます。

4-2 患者の体験談や口コミ掲載で問題になりやすいポイント

患者による主観的な体験談や感想を、医療機関が自らホームページに掲載することは、原則として認められていません。これは、個人の感想が必ずしも他の患者に当てはまるわけではなく、誤認を招くおそれがあるためです。
たとえ患者から感謝の手紙をもらったとしても、それを抜粋して掲載することはできません。また、たとえ「個人の感想であり効果を保証するものではない」という注釈を添えたとしても、掲載自体が禁止されている事実に変わりはありません。

4-3 外部レビューサイトとの関係で気をつけるべき点

Googleマップの口コミや、ポータルサイトのレビューをクリニックの公式サイト内に直接転載したり、良い口コミだけをピックアップして表示させたりする行為も、医療広告ガイドラインに抵触するとみなされる可能性が高いといえます。
また、口コミを投稿してもらう代わりに割引や特典を提供する手法は、景品表示法におけるステマ規制にも抵触するリスクがあります。
外部サイトの評価はあくまで第三者の声であり、クリニック側が関与して管理・操作することは法的リスクが高い行為といえます。

 

第5章 クリニックサイトは公開前のリーガルチェックが重要

クリニックのホームページにおける表現規制は、年々その監視が強まっています。意図せず法に触れてしまうリスクを回避しつつ、自院の強みを適切に伝えて集患につなげるためには、医療広告ガイドラインを正確に理解しておくことが重要です。制作会社から提示された原稿であっても、必ずしも最新の規制に適合しているとは限りません。
仮に行政指導を受けてから修正対応を行う場合には、サイト全体の見直しが必要となる場合もありますし、修正対応の間、サイトが停止されると検索エンジンの評価に影響が生じる可能性もあります。何より一度損なわれた患者からの信頼を回復するには、相応の時間と対応が求められるでしょう。
私たちNexill&Partners(ネクシル&パートナーズ)グループは、弁護士・税理士・社会保険労務士などの専門家が連携するワンストップ体制を整えています。医療法務に精通した弁護士が公開前の内容を確認し、医療広告規制に適合性をチェックするとともに、グループ内のWEBマーケティング部門と連携し、クリニックの特徴を医療法の範囲内で適切に伝えるための表現についてサポートできます。法規制への対応に不安を感じている場合や、ホームページの内容を見直したいとお考えの場合には、お気軽にご相談ください。

 

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