医療業界の経営・法務・労務に精通した総合リーガルファーム
病院 診療所 クリニック 歯科医院 薬局
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医師が個人事業主としてクリニックを運営している場合、事業承継では院長個人の財産や権利をどのように後継者へ引き継ぐかが最重要課題となります。これは単なる患者リストや診療ノウハウだけではなく、クリニックの建物・医療機器・スタッフ雇用など、多岐にわたる資産と負債の引き継ぎを意味します。もし家族(子息など)を後継者としたいと考えている場合は、本人の意向を含めて、事業に必要な許認可や人員配置が円滑に移行できる状態かどうかを早めに確認しておきましょう。
医療法人の場合、個人事業主のクリニック承継とは異なり、法人形態の維持を前提とした事業承継の仕組みを考える必要があります。
ポイントの一つは、理事長や理事の交代手続です。出資持分がある医療法人では、株式に相当する出資持分の移転や理事の改選が必要になります。もし出資持分の評価や買い取り方法で双方の合意に至らない場合、承継スケジュールが大幅に遅れることもあるため注意が必要です。
また、医療法人の運営には定款や寄附行為に定められたルールがあり、理事長の資格要件や院長職との兼務、承継時の手続などが規定されています。事業承継の際は、この規定に沿って漏れなく手続きを進めなければならないほか、複数の診療所や病院を抱える医療法人だと、承継後の理事長が全施設を統括できる体制を構築する目的で、スタッフの配置や組織改編を並行して進めるケースも多々あります。
医療法人の事業承継では法人税法上の優遇制度や出資持分の譲渡・相続に伴う税務の懸念事項が出てくるため、税務面での包括的な戦略が不可欠です。例えば、承継のタイミングで大きな資金移動が発生すると、法人のキャッシュや後継者個人の資産状況に影響が出ることもあるため、こうしたリスクを回避するための施策検討も重要となります。(持分あり法人の持分譲渡、持分なし法人への移行など)
医療機関の事業承継は、院長の意思決定や計画的な引き継ぎだけでなく、相続が発生して初めて顕在化するケースも少なくありません。特に、突然の逝去などで事前準備が十分に行われていない場合、遺族は相続手続と同時に患者対応、スタッフ雇用、債務継承などを含めて、医療機関としての運営をどう継続すべきかを一気に判断して一気に処理しなければならず、精神的・実務的負担は非常に大きなものとなってしまいます。
また、医療法人の場合は出資持分を相続する際の評価や分割方法でトラブルが起こることがあるほか、相続人が複数いると、誰が理事長を引き継ぐのか、出資持分をどのように分配するのかで意見が対立するケースも見受けられます。
もし院長が突然逝去してしまった場合でも、医療機関の継続を図るためにはいくつかの手段があります。まず、相続人が医師免許を所持しているかどうかが大きな分かれ道です。
後継者たる医師がいれば、その者が開設者や理事長として手続きを引き継ぐことを検討します。個人事業主の場合は保健所や厚生局への変更届出を、医療法人の場合は理事の変更や出資持分の承継手続きを早急に進める必要があります。書類が整っていない状態でも、遺産分割協議前に暫定的な担当者を定め、保険請求の停止を最小限に抑える方法を模索します。
一方、相続人が医師免許を持たない場合や、そもそも後継者がいないケースでは、代わりの医師を招いて運営を続けるか、外部とのM&Aや譲渡を検討する選択肢が考えられます。このとき、医療法人の場合は理事会の決定や行政上の認可が必要になることが多いため、弁護士や行政書士に相談の上で速やかな手続きを行うことが不可欠です。また、遺産分割の結果次第では、出資持分が複数の相続人に分散し、経営権の所在が曖昧になるリスクもあり得るため、この辺りについてもできるだけ運営に混乱が生じないような方法での遺産分割ができるよう、弁護士に相談をしながら進めることが望ましいです。
当事務所では、医療機関の事業承継を法的・税務的視点から包括的に支援しています。個人事業主がクリニックを譲り渡すケースから、医療法人における理事長交代や出資持分の移転、さらには相続による承継まで、幅広いシチュエーションに対応可能です。弁護士を中心に、税理士・社労士・行政書士など複数の専門家が在籍しているため、契約書の作成・許認可手続の代行・節税策の提案などをワンストップで行えるのが当事務所の強みです。
また、事業承継後に起こり得る患者離れやスタッフのモチベーション低下など、経営面のリスクを最小化するためのフォローや、M&Aや外部の第三者への事業譲渡についての相談も含めて、医療機関のニーズに合わせた解決策をご提供します。
事業承継は早期の計画策定が成功を左右します。ご自身に万が一があった際の対策も含めて、できるだけ早い段階から着手しておくことが大切です。
「この先の医院運営の方法をどうしたらいいか?」「誰に後継者となってもらうべきか悩んでいる」などに、事業承継についてのご相談がございましたら、初回無料相談をご利用ください。