医療業界の経営・法務・労務に精通した総合リーガルファーム
病院 診療所 クリニック 歯科医院 薬局
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開業医として診療を行っていると、患者数の増加や診療範囲の拡大に伴い、経営の安定性や税務対策が課題となります。以下のようなケースでは、医療法人化が経営の選択肢となるでしょう。
■診療報酬が増え、税負担が重くなってきた場合
医療法人化により、法人税の適用を受け、個人事業よりも税率が低くなる可能性があります。
事業を拡大し、複数のクリニックや診療所を運営したい場合
医療法人であれば、複数の医療機関を運営できるため、グループ展開が可能になります。
■従業員の福利厚生を充実させたい場合
法人化することで、社会保険や退職金制度の整備がしやすくなるため、従業員の満足度が上げられるほか、優秀な人材の確保にもつながります。
医療法人化は、税制面のメリットだけでなく、経営の安定性や事業承継のしやすさという側面でも有効です。法人化により、院長個人のリスクを軽減し、組織的な経営へ移行できます。
• 診療報酬の増加により税負担が大きくなっている
• 複数の医療機関を運営し、法人として事業拡大をしたい
• 医師以外の経営陣(理事)とともに、組織的な経営をしたい
• 事業承継を円滑に進める必要がある
• 開業して間もなく、事業規模が小さい(税制メリットが少ない)
• 診療報酬の増加が見込めず、法人の運営コスト負担が大きい
• 自由度の高い経営を維持したい(医療法人は剰余金の分配が不可)
医療法人化は、税制メリットや経営の安定化という大きな利点がある一方で、規制や運営コストの増加などの注意点もあります。
■税制優遇を受けられる
個人診療所の最高税率は最大55%に対し、医療法人の法人税率は最大23.2%と、大幅に税負担を抑えることができます。
■経営の安定化
法人化することで、理事会を設置し、組織的な運営が可能になります。
■事業承継がスムーズになる
個人開業医では院長の逝去や引退時に事業を継続しづらいですが、法人であれば後継者へスムーズに事業承継できます。
■剰余金の分配ができない
医療法人は配当が禁止されているため、個人診療所のように自由に利益を分配することができません。
■設立・運営の手続きが煩雑
都道府県の認可が必要であり、設立までに半年以上の期間を要することもあります。
医療法人化を検討する際は、クリニックの規模や将来の経営方針を踏まえ、慎重に判断することが重要です。当事務所では、法人化の適否についてのアドバイスも行っております。
医療法人の設立には、約6ヶ月~1年の準備期間が必要です。
• 設立目的・事業計画の策定
• 必要書類の準備(定款・理事名簿など)
• 都道府県との事前協議
• 都道府県に認可申請を提出
• 必要に応じて修正対応
• 設立登記申請
• 医療法人としての運営開始
医療法人設立には、都道府県の認可が必要です。以下の点に注意しましょう。
申請時期に注意
都道府県によっては、年に数回しか申請を受け付けないため、法人化のスケジュール管理が必須です。
審査のポイント
• 医療の公益性(営利目的ではないこと)
• 理事の適格性(一定の資格や経験が求められる場合がある)
• 財務基盤の健全性(運営が安定しているか)
医療法人化した後は、以下のような運営上の義務が発生します。
理事会の設置・運営
医療法人では、最低でも年1回の理事会開催が義務付けられています。
財務管理の透明性の確保
法人の会計処理は、個人事業主よりも厳格に行う必要があります。
行政への報告義務
都道府県への事業報告書の提出など、定期的な報告義務があります。
医療法人の設立には理事3名以上、監事1名が必要ですので、要件を満たすための人員計画の策定とスケジュールに余裕を持った人員確保を実現しましょう。
医療法人設立の際は、「医療法人社団」と「医療法人財団」の選択で悩むケースが多いため、専門家に相談のうえで最適な法人形態にて設立を行いましょう。実務上では、医療法人財団の設立は要件面でのハードルが高いため、医療法人社団で設立をする場合がほとんどです。
(参考)
医療法人社団:医師や関係者が出資し、社員の意思決定で運営する形態
医療法人財団:個人や法人の寄付により財産を拠出し、その資産をもとに運営する形態
医療法人には理事会を設置する義務があり、以下の点に注意のうえで法人運営が必要です。
・理事の選定
理事は3名以上必要ですが、経営陣と利害が対立しないメンバーを選定することが重要です。
・ガバナンス体制の整備
法人運営が適正に行われるように、就業規則や内部規程の整備を行う必要があります。
法務リスクの管理
医療法人は労務・契約トラブルが発生しやすいため、日常的なリーガルチェックが欠かせません。
Aクリニックは、患者数の増加とともに税負担が大きくなり、事業拡大に課題を抱えていました。
・当事務所のサポート内容
■法人化に適したタイミングのアドバイス
■認可申請のサポート
■法人設立後の契約書整備・労務管理
結果として、Aクリニックは税負担を最適化し、経営の安定化に成功しました。
B医院は、院長の高齢化と後継者不在という課題を抱えていました。個人開業医のままだと、後継者への引き継ぎが難しく、将来的なクリニック存続のリスクがありました。
・当事務所のサポート内容
■後継者の関与を前提とした医療法人設立
■事業承継計画の策定と法務・税務アドバイス
■法人化後の運営体制の整備
結果として、B医院はスムーズに法人化し、後継者が安定した経営を引き継ぐことに成功しました。
医療法人設立は、税制メリットの享受、経営の安定化、事業承継の円滑化など、クリニック運営において多くの利点がありますが、設立手続が煩雑であるほか、事業状況によっては医療法人化に適していないケースもあります。都道府県の認可や規制面を含めて専門家のサポートを受けながら1つずつ進めていきましょう。
当事務所では弁護士・司法書士・税理士・社労士が在籍している強みを生かして、設立手続きから法人運営までトータルサポートが可能です。都道府県の認可や規制面を含めた法人化手続のほか、法人化後の法務リスク管理も対応します。ぜひお気軽にご相談ください。