医療業界の経営・法務・労務に精通した総合リーガルファーム
病院 診療所 クリニック 歯科医院 薬局
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保険診療を行う医療機関として、厚生局から保険医療機関の指定を受けることは不可欠ですが、最も重視しておかなければならない点は、「原則として月に1回しか指定を受けられない」というところです。もし書類不備や提出遅延で手続きを逃すと、再申請までの期間、保険請求できない状態が続く可能性があり、経営的なインパクトは非常に大きくなります。
また、厚生局が求める書面や要件は、医療知識とは異なる行政的・法的観点を重視するため、医療行為そのものよりも「どのように書類を整備し、どう説明するか」という手続き面が指摘対象となることが珍しくありません。
もし保険医療機関指定を受けないまま、あるいは指定が切れた状態で診療を行い続けると、後々のペナルティや行政指導に直面する危険性が高まるため適切な対応が必須となります。
保険医療機関として指定を受けるためには、新規開業から既存施設の変更手続まで、複数のシチュエーションに応じた申請手順を踏む必要があります。
まず基本となるのは、新規開業時に提出する「保険医療機関指定申請書」で、開設者情報(個人または法人)や診療科目、医師免許、施設基準を証明するための書類などを厚生局へ提出します。この時点で不備があると、審査に時間がかかり、月1回のみの指定日を逃してしまいかねません。
特に確認すべきポイントとしては、診療所の構造設備が基準を満たしているか(たとえば診療室面積や感染防止策の整備など)、医師や看護師などの配置基準が法令どおりか、そして「診療報酬を算定する際の各種加算要件を満たすか」の3点が挙げられます。医療現場で問題なく稼働していても、行政書類上は「この台帳や図面が不足している」「医師免許の写しが古い」など、小さな不備が指摘されるケースが後を絶ちません。
また、既存施設で診療科を増設する、法人化・移転などの組織変更を行う場合にも、再申請や変更届が必要となります。こうした場合、単純に「診療科を加える」だけでは済まないことが多く、人員配置や医療設備、法人形態に応じた添付書類が追加で求められます。提出先の厚生局によって運用ルールや提出期限が微妙に異なることもあるため、早い段階から担当官に確認を取り、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが必要です。
厚生局対応が想定以上に煩雑化する理由のひとつに、診療報酬ルールや施設基準との関連性が挙げられます。医師の方であれば、日常的な保険請求の中で診療報酬点数や加算要件はある程度把握しているはずですが、厚生局手続の段階で「この加算を算定するには特別な届出が必要」となる場合があります。こうした事前届出を忘れていて、開業や増設後に「本来得られるはずの加算を算定できない」という事態も珍しくありません。
書類不備や提出期限の認識不足による申請遅延がよくあるトラブルのひとつです。月に1回しか指定日がないため、仮に提出期限を1日でも過ぎると、翌月以降の指定に回されるリスクが高くなります。その間は保険請求が行えないため、実質的な売上が得られなくなる恐れもあります。また、人員配置や症例数などの基準をクリアしている場合でも、厚生局が要求する具体的なエビデンス(労働契約書の写し、勤務表、実際の症例リストなど)が不足していると、追加資料を求められて再審査が必要になります。
さらに、個別指導や監査との結びつきも無視できません。厚生局手続の過程で、担当官が疑義を抱いた場合、後々に個別指導の対象として選定される可能性が高まることがあります。開設当初から書類不備や要件の説明不足が目立つと、「本当に適正に保険請求しているのか」という疑念を招きやすく、不必要に医療機関の信用を低下させる原因にもなり得ます。こうした監査や追加調査を回避するためにも、最初の申請段階でミスや漏れがないよう万全の態勢を整えておくことが重要です。
当事務所では、こうした厚生局手続に関わる複雑な書類作成や実務サポートを、行政書士をはじめとする複数士業が協力して提供しています。厚生局手続に伴う書類作成・申請代行から、担当官との窓口対応、個別指導への派生リスクの管理まで、一連の流れを一括でフォローできる体制を整えております。
先生方が診療に集中できるよう、煩雑な申請手続きについては当事務所にお任せください。
また、当事務所を顧問弁護士としてご活用いただくことで、定期的なリスクモニタリングや医療法人化に伴う法務・税務サポートなど、長期的な視点で医療機関の安定経営を支援させていただくことも可能です。
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