医療業界の経営・法務・労務に精通した総合リーガルファーム
病院 診療所 クリニック 歯科医院 薬局
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個別指導は、行政機関(厚生労働省・都道府県など)が医療機関の診療報酬請求や運営実態を精査するために実施する点検制度です。指導対象は、疑わしい算定項目が多いケースや、特定の診療科・請求内容で高い指摘率がある場合など、「疑義が生じた」場面を中心に優先されます。
個別指導では、請求の正当性やカルテ記載の妥当性を厳しくチェックされ、返還金や是正措置につながるリスクがあります。万が一「不正または重大な不備」と判断されれば、保険医療機関の指定取り消しという極端な処分もあり得るため、法的視点からの事前準備が極めて重要です。指導の一環ではカルテやレセプトの記載を精査されるだけでなく、面接や現場視察を通じて診療体制や請求フローに問題がないかまで確認されます。
個別指導の実施には「疑義を抱かれた場合」と「定期サンプリング」の2種類がありますが、いずれも医師としての説明責任を果たす必要がある点に変わりはありません。事前通知が届いた時点で、必要な書類や記録を迅速かつ的確に用意できないと、説明不足を理由に不備とみなされる恐れがあります。
特に、カルテ記載の不足や保険算定ルールの逸脱は指摘されやすい部分です。ルール違反の度合いによっては高額の返還金に発展するだけでなく、指導結果次第で「行政監査」に移行し、さらに詳細な調査を受けるリスクも。監査では、過去の請求まで大きく遡って点検されるケースがあり、医療機関として相当な負担を強いられます。日頃から請求ルールを正確に把握し、法的リスクを想定した備えを怠らないことが肝要です。
医療機関としての専門性は十分であっても、法的観点からのチェック体制が整備されていないと、個別指導での指摘項目が増える可能性があります。カルテの記載やレセプトの作成工程では、医療行為の必要性・根拠を明確に示すことが求められ、さらに算定ルールが頻繁に改定されるなかで不備が残らないようにしなければなりません。
まず、カルテやレセプトの作成工程を見直し、スタッフ全員が必要事項を正確に記入する習慣を徹底しましょう。具体的には、医師自身がカルテに診断根拠や実施した検査・処方を明確に記載し、事務スタッフがレセプトを作成するときにチェックリストを活用するなど、複数の目で確認する体制を構築することが効果的です。
また、定期的なレセプト点検やカルテ監査も欠かせません。月ごとや四半期ごとに専門家の意見を取り入れながら診療報酬請求をチェックすることで、不備や過剰請求・算定もれを早期に発見して修正できれば、個別指導時に慌てずに済みます。先生自身だけでなく、事務スタッフも最新の診療報酬改定情報を把握し、問題点を柔軟に修正していけるような仕組みを構築しておけるとよいでしょう。
このように、個別指導への対応は単発的な対策だけでなく、日頃からの積み重ねが大切になってきますので、いざという時に備えた社内体制作りが大事になってきます。
カルテの記載方法やレセプト管理に不備があり、個別指導の通知を受けた際に膨大な書類整理が間に合わないという問題が浮上しました。根拠不十分な算定項目が多く、指摘事項が多発するリスクが高まっている状況でした。
弁護士が協力し、個別指導までの間にヒアリングやカルテレビューを集中的に実施しました。算定根拠を補足できる箇所を見直すなどして指摘を最小限に抑えたほか、次回以降の個別指導に備え日常的なカルテ記載ルールやレセプト点検フローを構築し、業務の効率化とリスク対策を同時に実現できました。
過去に不正請求の疑いをかけられたクリニックが再調査対象となり、多額の返還リスクが懸念されておりご相談をいただきました。
レセプトの過去分を精査し、算定根拠の明確化および不備を修正したうえで、指導当日に弁護士立ち合いの下で誠実な説明を徹底して行いました。結果的に大きなペナルティを回避し、是正指導で済ませることができました。
当事務所では医療法務に精通した弁護士を中心に個別指導でのカルテ・レセプト確認や不適切請求の早期発見をサポートします。返還金や処分リスクが高い場合でも、過去の対応実績を活かして可能な限りのリスク回避措置を実現します。
個別指導への対応に不安がある場合や、具体的なトラブルが生じてしまった場合には、できるだけ早めに弁護士へご相談ください。