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未収金対策コンサルティング

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未収金ゼロ体制を確立することの重要性

医療機関の“売掛金”は一般企業と違い “診療終了=債権確定” という特殊性があります。患者がその場で診療報酬を支払わなかった場合は、病院側としては患者に対して任意での支払いを交渉するか、それでも支払ってもらえない場合は支払督促や訴訟で債務名義を取り、民事執行法に基づく差押えをかけるしか強制的に回収する方法がありません。
保険診療であっても自己負担3割が回収不能となれば、実質的に粗利が直接減少するため、経営にも大きな影響が出ます。未収金の防止と早期対応は収益確保だけでなく、経営基盤を守る重点課題といえるでしょう。

未収金が発生する典型パターンとリスクポイント

1)救急外来や時間外で身元確認が不十分なまま診療を行い、保険証不備・連絡不能になる。
2)美容・自由診療で料金説明が曖昧なまま施術を行い、支払い拒否やクレジットカード限度額超過で未払い化。
3)慢性疾患の長期通院で少額未払いが累積し、患者側に「払っても払わなくても同じ」という認識が定着する。
4)入院時の連帯保証・家族へのコンタクトが取れておらず、退院時に患者本人が費用を残したまま所在不明となり入院費用の回収ができなくなる。

これらに共通するのは「診療前に債権保全策が講じられていない」「請求・督促手順が属人化している」ことです。仕組みで塞げる穴は多く、“治療を止めずに未収金を止める” ための管理体制を構築することが未収金を発生させないための本質となります。

未収金を発生させない仕組みづくりの例

①支払条件・保証人についての同意取得

自由診療の場合は、診療報酬が高額になる場合も多いため、診療内容説明・同意書を取得する際は「支払期日」「分割条件」「延滞時の利息・保証人」を明記し、署名を得ておくようにする。加えて、自由診療はクーリングオフ対象外である場合は、その点も説明し後日の返金トラブルを防ぎます。
なお、保険診療の場合は「応召義務」があるため、保証人不在や利息面を理由に診療を停止・拒否しないことが絶対条件です。法律に抵触しない範囲で運用を行う必要があります。

②保険証提示の徹底

初診受付・受診月が変わった段階で必ず健康保険証を提示させ、保険証の提示が無い場合は「保険証確認後に差額返金します」と説明し10割負担での一時立替払いを案内します。10割負担での支払いを拒否する場合、緊急性なし+患者が支払い意志ゼロで診療契約が成立しない場合などは「正当な事由」として診療を断る余地がありますので、支払いの意思が全く見られない場合に限っては診療を提供しないという選択もあります。

③キャッシュレス決済導入・外部分割ローン利用

クレジットカード・電子マネー・QR決済など、現金支払い以外の決済方法を導入することで、「現金の手持ちがない」という理由での未払いを防止します。また、高額な自由診療を分割払いにする際は、自社での分割ではなく決済代行会社のローンを導入することで、分割時の債権を外部化できます。

④督促ワークフローを自動化

未払金の督促業務を自動化することができると、督促業務の属人化を解消し、督促業務の滞りも防ぐことができます。
例えば、医療費の未収対象者のリストを管理システムから自動で抽出→SMSやメールで一定回数督促→未払い継続の場合は督促状発送→最終的に弁護士名義での通知というような段階的な督促をシステムやITを活用して最大限自動化する方向でフロー構築ができると理想です。

⑤事前デポジット(預り金)の確保

容体が安定した後の入院・高額自由診療に限っては、患者の同意を得たうえで「費用見積額の範囲内でデポジットを仮押さえ→費用確定後に一括精算・確定請求」という方法が認められています。
クレジットカードでの仮押さえを行うことで、最終的な精算の際もカードの有効期限切れ等でない限りはそのまま支払いに進めますので、未払いリスクが低減されます

未収金の発生に関するご相談はNexill&Partnersへ

当事務所では、未収金を発生させない仕組みづくりから最終的な法的回収まで一貫してサポートを行っております。
未収金は、請求→督促の初動スピードで回収率が大きく変わってきます。
時間が経過するほど回収可能性が下がりますので、放置せずに適切な対応が必要です。
顧問弁護士としてご活用いただくことで、日常的に発生する未収金に対して継続的なサポートも可能です。
未収金の回収でお困りの先生は、まずは初回無料相談をご利用ください。