医療業界の経営・法務・労務に精通した総合リーガルファーム
病院 診療所 クリニック 歯科医院 薬局
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医療事故や医療過誤は、どれだけ入念な対策を講じても完全にゼロにはできない現実があります。高度化する医療技術や複雑化する治療法に加え、医療行為にはある程度の不確定要素が伴い、患者が抱える潜在的な合併症や不可逆的な病状進行を完全に予測しきることは難しいのが現状です。さらに、医療現場は常に時間との闘いであり、救急対応や夜間体制など、環境要因による負荷やチーム内でのコミュニケーションエラーも事故発生リスクに影響を及ぼします。
このように、医療事故や医療過誤は「起こりうる」という前提でリスクを認識し、早期発見や被害最小化に向けた体制づくりを行うことが重要です。実際に事故が発生した際の適切な初動対応や、その後の再発防止策の整備などについて日頃より備えておくことは医療機関としての責務と言えます。安全と信頼を守るためにも、医療事故・医療過誤が起こり得るリスクを正面から受け止め、組織全体で対策を進める姿勢が求められます。
医療事故が起きた際の初動対応は、院内外の信頼を守るうえで極めて重要です。まずは患者の安全確保と容体把握を最優先とし、そのうえでカルテや看護記録、モニターデータなど、後々に法的証拠となり得る資料をきちんと保存することを実施します。加えて、チーム内での連絡を徹底し、状況認識を共有することで、上記データ・証拠保全の確実な実行、事実関係の整理などを含めて、後日の説明や紛争対策に備える土台を作れます。不測の事態で混乱していることが想定されますが、落ち着いて対応を行ってください。
次に、患者やご家族への説明とコミュニケーションを密に行うことです。ここの対応次第では事態が深刻化するため、どのような経緯で事故が起き、どう対処しようとしているのかを誠実に伝え、質問や懸念にきちんと向き合う姿勢が求められます。医療過誤の可能性がある場面ほど、説明責任の重要度は高まります。逆に、誤解を恐れて説明を避けたり、曖昧な形で対応を終わらせたりすると、責任追及の強硬化や訴訟リスクの上昇につながるため真摯な対応を徹底しましょう。
さらに、院内での事故調査と再発防止策の立案も初動対応の一環です。背景には単なるヒューマンエラーだけでなく、組織体制や機器管理など制度的な要因が絡むことが多いため、できるだけ早く原因を分析し、改善策を打ち出すことが大切です。万が一法的手続きに発展しても、「院内調査を迅速かつ徹底的に実施した」という事実があれば、医療機関側の誠意やリスク管理姿勢を示すうえでの一つの指標となります。
医療事故・医療過誤を最小化するうえでは、組織的なリスクマネジメントが欠かせません。まずはインフォームドコンセントの徹底が重要です。患者への治療方針やリスク、代替手段などを明確に提示し、了承を得る過程をきちんと文書化しておくことで、後日「説明不足」を主張されても医療機関側が正当性を証明しやすくなります。また、カルテや検査結果の正確な記載は、万が一の法的紛争で医療側の適切な対応を裏付ける根拠となるでしょう。
次に、院内の事故予防策としては、スタッフ教育と多職種連携の強化が必要です。深夜帯や手術前後など、ヒューマンエラーが起こりやすい場面には、ダブルチェックや緊急時対応の手順を明文化し、チーム全体が同じ基準で動けるようにしておきます。医療機器や新薬の使用に際しては、メーカーとの協力を得ながらトレーニングを実施し、「慣れ」や「マニュアル誤読」が引き金となる事故を回避。こうした取り組みの積み重ねが、結果的に法的リスクの低減にもつながります。
万が一事故が起こった際の危機管理マニュアルも、あらかじめ整備しておくことが肝心です。報告ルートや証拠確保の方法、患者・家族への連絡手順といった具体的なフローを院内全体で把握し、緊急時に混乱しないようにするわけです。さらに、早期に外部の専門家へ相談できる体制を築いておけば、法的アドバイスやリスク評価を迅速に受けられ、医療機関としての負担を最小化しつつ、トラブルの拡大を防げる可能性が高まります。
手術後に合併症を発生した患者が「手術リスクについて十分な説明がなかった」とクレームを主張。医師が謝罪や再説明を試みるも、話がこじれたため弁護士が介入。弁護士がカルテや術前説明の記録を洗い出し、どの段階で何を説明していたかを整理・立証の上で患者へ説明した結果、患者側も説明不足の主張を撤回し早期の和解にて解決。
医療事故が発生し、患者側の家族から訴訟を検討中と伝えられたため、弁護士での対応に移行。院内調査委員会にて迅速な原因究明を行ったほか、当事務所もサポートのもと、カルテや看護記録の改ざん・隠蔽が一切なかった事実を含め、発生した事故要因や再発防止策を具体的に家族へ報告したところ、「病院が透明性を確保している」との認識に至り、適切な範囲での補償と対策報告により合意が成立。訴訟回避にて解決。
当事務所は医療機関側の弁護士として、医療事故・医療過誤が発生した際の初動対応や法的リスク分析、患者・家族との交渉などを包括的にサポートします。診療そのものは医師の専門領域ですが、トラブルが起こった場面では、法的視点で事実関係やカルテ記載を精査し、適切な説明責任を果たしながら事態の拡大を防ぎます。
また、当事務所は社労士・税理士など複数士業が在籍していることから、医療事故・医療過誤を防ぐためのリスクマネジメントの観点だけでなく、医療機関経営を行う上での法務・労務・税務面でのご相談まで幅広くご対応可能です。
医療機関特有の事情を理解し、診療現場の実情に沿った課題解決策をご提案いたしますので、医療事故・医療過誤の対応でお困りの先生、リスクマネジメント対策を早めに行っておきたいという先生は、できるだけ早めにご相談ください。