企業年金連合会と三菱UFJ信託銀行など大手金融機関4社は,企業への発言力向上を目指して連携する。昨年、企業統治の改善などを求めて連名の書簡を投資先の数十社に送り,6月の株主総会シーズンに向けて共同で企業との対話に臨む。こうした機関投資家の連携は「集団的エンゲージメント(対話)」と呼ばれる。欧米では一般的だが,日本では初の試みとなる。 連携投資家の合計日本株運用額は30兆円を超え,日本株全体の5%を保有する機関投資家グループとなる。この結果,個々に動くよりも上場企業に対する発言力は増す可能性が高い。経営者らが企業価値向上により真剣に取り組むようになれば,株価の長期的な上昇につながるとみる。 投資先企業には資本効率の改善や独立した社外取締役の増加のほか,環境問題への取り組みについての情報開示の拡大も求めていくことになりそう。対話の具体的な議題の設定は,企業年金連合会OBなど運用の専門家で構成する一般社団法人「機関投資家共同対話フォーラム」で支援する。株主総会での議決権行使はそれぞれが独自に判断し,共同の株主提案などもしない方針だ。
集団的エンゲージメントは企業の透明性確保や社会的価値の向上につながりうる点で企業にとっても有益なものといえますが,一方で,連携投資家の強力な発言力により,経営者の意思に反し,企業固有の価値観や企業の個性が薄れていく恐れを高めることも予想されます。 株主が企業の所有者であることは事実ですが,経営者が企業経営の要であるのもまた事実です。今後も株式保有形態の多様化は進んでいくものと予想されますが,企業において株主と経営者がどのように付き合っていくべきかは永遠の課題であるといえます。
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