電通が社員に違法残業をさせたとして労働基準法違反罪で略式起訴された事件で,東京簡易裁判所は,7月12日,正式裁判を開かずに書面審理で刑を科す略式命令は「不相当」と判断し,正式裁判を開くことを決定した。検察側は,改めて罰金刑を求刑すると見られる。略式命令は検察が簡易裁判所に略式起訴した事件で,刑が「100万円以下の罰金」,当事者が起訴内容を争わない場合等に,簡易裁判所が正式裁判を省略して書面審理で刑を科す手続きである。もっとも,簡易裁判所が略式命令を出すのは「不相当」と判断した場合,正式裁判を開かなければならない。これまで,同種の労働基準法違反事件では,検察の略式起訴を受け,簡易裁判所の略式命令で罰金となるケースが多かった。東京簡易裁判所は,今回の判断理由を明らかにしていないが,社会に与えた影響や事実の複雑さ等から,電通の経営幹部らが出廷する公開の法廷で審理すべきだと判断したと思われる。 起訴状によると,電通は2015年10月~12月にかけて,社員4名に対し,労使協定で定めた1カ月の残業時間の上限を最大19時間超えて働かせたとしている。
今回の事件は,政府が進めている一連の働き方改革の議論にも影響を与えています。そして,今回,電通は,厚生労働省によって,同省発注のイベント等の入札に参加できなくなる指名停止を受けており,また,経済産業省によって,1カ月間の指名停止を受けるなど,厳しい措置を受けています。政府の働き方改革では,残業時間の上限が設けられており,違反企業には罰則が定められているため,企業としては,労働者の労働時間を適切に管理する必要があります。当然ながら,残業時間に対する割増賃金を支払うことも求められます。
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