電通の違法残業事件で,東京地検が法人として電通を労働基準法違反罪で略式起訴したことが7月6日,関係者への取材で分かった。 同地検は,書類送検された同社本支社の複数の幹部については,残業を強制するなどの悪質な行為を確認できなかったとして,不起訴処分(起訴猶予)とした。 東京地検はこれまでに山本敏博社長ら同社幹部を任意で事情聴取。山本社長らは法人として責任を認めており,同地検は電通の刑事責任を問えると判断した。 一方,個人については違法残業の強制などは確認できず,起訴するほどの悪質性はないと判断した。 労基法は労働時間を1日8時間,週40時間までと規定。これを超えて働かせるためには,残業の上限時間を定めた労使協定を結ぶ必要がある。 違法の場合,6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となる。
電通の違法残業事件は,日本社会の働き方改革を進めるきっかけとなり,事件は電通にとどまらず,労働環境の改善という重い課題を社会全体に求めたともいえます。 過去の違法残業事件でも法人を略式起訴して,個人を起訴猶予とするケースが大半でしたが,今回も過去の事件を踏まえた判断だったといえます。 この背景には,長時間労働は組織の慣習として行われているケースが多く,個人の刑事責任を問うのは困難という事情があります。
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