法定後見制度のうち「補助」は、「精神上の障害により判断能力が不十分である者」、すなわち、意思能力(自己の行為の結果を弁識する能力)はあり、行為能力の前提となる取引社会での利害計算能力も“著しく不十分”とはいえない(保佐を受けるまでには至らない)が、“不十分”である者を保護しようとする制度です。
ここでも、本人や配偶者、四親等内の親族、検察官などが家庭裁判所に申立て(これに対して家庭裁判所は審判をします)を行うことにより、本人をサポートする「補助人」が選任されます。ただし、本人の自己決定の尊重という観点から、本人以外の請求による場合は、本人の同意がなければ、補助開始の審判は行われません。
「補助」の制度は、成年後見制度の中でも最も本人の判断能力の衰えの程度が軽い場合の制度ですので、日常生活に関する行為を本人が単独で行えるのはもちろんのこと、その他の行為についても、補助人が本人に対するサポートとしてできることは、補助開始の審判の際に代理権や同意権を与えられた特定の法律行為のみ、ということになります。たとえば、代理を要する行為として「被補助人の所有するすべての財産の管理・保存・処分」と定めたり、同意を要する行為として「新築,改築,増築又は大修繕をなすこと」と定めたり、といった具合です。
補助人の同意を要するものと指定された行為を、本人が勝手に行ってしまった場合は、当該行為を取り消すことが可能です。
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