労災で配偶者を亡くした場合の遺族補償年金を巡り,夫だけは55歳以上でないと受給できない規定が憲法違反かどうかが争われた訴訟の上告審判決で,最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)は21日,規定は合憲とする初判断を示した。「男女の賃金格差などを踏まえれば,(妻に手厚い)規定に合理性がある」と指摘した。
今回の訴訟では,地方公務員災害補償法の規定が憲法14条に反するとして合憲性が争われました。第1審である大阪地裁では「現在の一般的な家庭のモデルは共働き世帯で,配偶者の性別による差別的な扱いには合理性がない」として,当該規定を違憲としていました。
しかし,合憲と判断した大阪高裁に続き,今回の最高裁判決でも合憲との判断が下されました。最高裁は,男女間の労働人口の違いや平均賃金の格差,雇用形態の違いを挙げ,「妻の置かれている社会的状況に鑑みれば,妻に年齢の受給要件を定めない規定は合理性を欠くものではない」と判断しました。
長年問題になっていた婚外子問題でも違憲の判断がなされるなど現代の潮流は,差別問題に対して再検討する流れだったように思われます。今回問題となった地方公務員災害補償法は1967年に施行したものであり,同法について再度,検討する機会だったと思われますが,今なおその根拠には合理性があると判断されてしまいました。しかし,今後も差別問題についての問題提起はしばらく続きそうです。
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