ヤマトホールディングス(HD)がトラック運転手などのサービス残業の実態を調査し,給料の未払い分を支給する方針であることが分かった。インターネット通販で急増する荷物をこなそうとすることで,現場が混乱をきたし,労働時間を正確に把握する仕組みが機能していなかった。集配拠点の管理職を増やすなどして労働時間の管理体制を厳格化し,再発防止に取り組む。
ヤマトHDは,子会社のヤマト運輸のトラック運転手などグループ全体の約4割にあたる7万6,000人の従業員を対象に労働時間の聞き取り調査を開始したようです。労働基準法は未払い残業代について2年間まで遡って支払うことを義務付けていますので,ヤマトHDの支払総額は数百億円に上る可能性があります。
他方で,ヤマトHDの2017年3月期の営業利益は,580億円程度となる見通しですので,数百億円の残業代の支払いをしても致命傷にはならないものと思われます。
なぜヤマトがこのような決断に至ったかについては推測の域を超えませんが,2016年8月にドライバーから訴えられ横浜北労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けたことも一因にはなっていると思います。
今回のような残業代の支払いは,ヤマトHDのような資本力のある会社であったため致命傷にはなりませんでしょうが,一度に2年分の残業代を支払うというのは通常の企業であれば倒産の危機に瀕してもおかしくないものです。そのため,事前に法律に従った給料の支払いをするなど適切な会社経営をすることが必要だと思います。
当事務所は,労務の無料チェックも行っており,社会保険労務士事務所も併設する弁護士事務所ですので,残業代などでお困りの企業経営者の方は一度ご相談くださいませ。