弁当店「ほっともっと」店長は権限や裁量のない「名ばかり管理職」で,残業代が支払われなかったのは違法だとして,元店長の30代女性が運営会社「プレナス」に未払い賃金など約511万円と懲罰的賦課金約200万円の支払いを求めた訴訟の判決が,2月17日,静岡地裁でありました。関口裁判長は,元店長の請求を認め,約160万円の支払いを命じました。
労働基準法41条により,管理監督者は,労働時間・休憩・休日の法規制の適用が除外されています。つまり,割増賃金の支払義務が免除されており,人件費を抑制する抜け穴としてしばしば「名ばかり管理職」として利用されていました。なお,管理監督者であっても,深夜割増は行わなくてはなりません。
今回の事件において,裁判所は,「アルバイト採用などにおいて限定的な権限しかなく,店舗運営は本社のマニュアルに従っていた」こと,労働時間について「自由裁量で決めることができたとまではいえない」こと,年収についても「(同社の平均年収と比較して)高い待遇を受けていたとは認められない」ことなどを指摘して「管理監督者」に該当しないと判断しました。今までの裁判例を見ても,事件によって結論は分かれているものの,結論としては管理監督者に該当しないと判断している事件が多いように思います(管理職に該当しないと判断した代表的な事件として,マクドナルド店長事件,アクト事件が,管理職に該当すると判断した代表的な事件として日本ファースト証券事件があります。)。
裁判所は,管理監督者について相当に厳しいハードルを設けています。管理監督者制度を維持・導入したい企業は,必ず専門家と協議の上で自社の労務管理体制を構築するようにしてください。
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