遺留分減殺請求を、遺贈・贈与に対して行うことができるとお話ししましたが、遺贈はともかくとして、贈与はどこまでさかのぼってその対象となるのでしょうか。
この点について民法は、一般的な贈与と、相続人に対する特別受益とを分けた上で、一般的な贈与については、相続開始前の1年間に行われた贈与に限って、減殺の対象となるとしています(1031条、1030条)。
10年前に贈与され、10年間その物を使用してきたのに、突然遺留分が侵害されているから返せと言われても納得できないでしょうから、1年間という期間を区切ることにしたのです。
もっとも、被相続人と贈与を受けた者の両方が、遺留分を侵害することを知っていて贈与を行った場合には、1年以上前に行われた物であっても減殺請求の対象となります。
侵害することを知っていてされたのであれば、それを理由に取り返されても仕方がないということです。
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